母の最終講義

母の最終講義

出版社: ミシマ社
著者: 最相葉月
  • あの介護の日々は、母から私への教育だった――。
    『絶対音感』『星新一』など傑作ノンフィクションの書き手であり、新聞の人生案内も人気な著者の、半生にじみ溢れる名エッセイ集。珠玉の47本。
    最相葉月デビュー30周年記念企画
    ●本文より
    「約三十年、介護とそれに伴う諸問題で心身共に限界だった時期もあるが、不思議なことに最近は、母が身をもって私を鍛えてくれていると思えるようになった。いざとなっても人工呼吸器や胃ろうはせず、自然に任せようと思っている。覚悟はあるのか、私。」(p26「母の最終講義が始まった」より)
    「ああもう限界。酸素不足の水槽で口をパクパクさせる金魚のようになったら、一刻も早く東京に戻らねばならない。人に会い、原稿を書き、心を立て直す。その繰り返しである。交通費は、心身を健康に保つための必要経費と考えるようにした。」(p6「『余命』という名の時間」より)
    「ひかえめだけど芯の強い自分と、出しゃばりだけど脆い自分は、一人の人間の中に共存している。仕事や家庭でさまざまな困難に向き合い、へこんだり笑ったりする時間を積み重ねるうちに鍛えられていく。」(p40「揺るがぬ岩より高野豆腐」)
  • 第一章 「余命」という名の時間
    「余命」という名の時間/宗教を語る言葉が欲しい/島育ちのご縁から/ワクチン集団接種を前にして
    第二章 母の最終講義
    第二幕が開いて/母の最終講義が始まった/介護の知恵をつなぐ/手芸という営み/いつもすべてが新しい/揺るがぬ岩より高野豆腐/新しい日常は別世界/リモートで、さようなら
    コラム ごくろうさま
    第三章 相対音感
    相対音感 共に生きていくために/季節ものが消えるゲリラサイン会/バイオミミクリー/宇宙探査を支える人たち/風呂敷に魅せられて/半世紀の恩恵/あえて、見ない、知らない、やらない/支援はいつもむずかしい
    第四章 さみしい一人旅
    さみしい一人旅/未熟な旅行者/枕をもって旅をする/カプセルで見る夢/「森のくまさん」を歌った日/コロナ下の教会で/闇に差す光
    コラム ウソ日記
    第五章 人生相談回答者
    「する/される」を超えて/認知症者の片想い/御用聞きからしか見えない現実/正当にこわがる/歳末助け合いに思う/ヤングケアラーを探せ/心のもちよう、という前に
    コラム 二番手の命
    第六章 ありがとうさようなら
    師/本を捨てる/たそがれの婚礼家具/オリーブの島で世界を考える/ドキドキをくれた人たち/コロナ禍とジャーナリスト/また会う日まで/競技場にて/絵を捨てる
    あとがき  

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