プルースト 受容と創造
出版社: 大阪大学出版会
- プルーストは過去や同時代の文学・芸術をどのように受容し、創造へと転換したのか。一次資料から批評言説を相対的に検証する。
- 文学・絵画・音楽を吸収し、文学に昇華させた軌跡――。
文芸評論『サント=ブーヴに反論する』から発展した『失われた時を求めて』には、ドレフュス事件や第一次世界大戦、レンブラントやフェルメール、ショパン、ワーグナー、べートーベンなど、多くの実在する固有名が登場し、文学・芸術の百科全書の観を呈している。フィクションの姿をした文学・芸術論として独創性を確立するに至るまで、プルーストは過去や同時代の文学・芸術をどのように受容し、創造へと転換したのか。草稿、書簡、新聞や雑誌記事を含めた膨大な一次資料からプルーストの批評言説を相対的に検証し、改めて歴史の中に位置づける。 - はじめに
序章 草稿の中の作家・芸術家たち
第一部 文学篇
第一章 ネルヴァル観の形成―批評と論争
第二章 フローベールの文体をめぐる論争
第三章 ボードレールとノルマンディーの海岸
第四章 『サント=ブーヴに反論する』におけるもう一人の詩人、ルコント・ド・リール
第五章 「ゴンクール未刊日記」のパスティッシュ
第二部 絵画篇
第一章 オランダ絵画―レンブラントからフェルメールへ
第二章 カミーユ・コローの風景画―コンブレーの「二つの方角」の源泉
第三章 モネの睡蓮画―ヴィヴォンヌ川の睡蓮の場面をめぐって
第三部 音楽篇
第一章 変貌するショパン
第二章 ワーグナー派と反ワーグナー派―ワーグナー批評史の中のプルースト
第三章 新世紀のヒーロー、ベートーヴェン
第四章 叡智と宿命のドラマ―ドビュッシー『ペアレスとメリザンド』
補章 写真と記憶―コンブレーの生成過程におけるイリエ
結び
あとがき
付表 草稿における作家・画家・作曲家の言及頻度
註
参考文献
索引