欲望のポートレート

欲望のポートレート

出版社: 小鳥遊書房
著者: 松宮 園子
  • 絵画、写真、彫像、人形という媒体を「ポートレート」という枠組みによって連鎖させ、英語圏小説を通して俯瞰する。
  • 画、写真、彫像、人形、そしてヒューマノイドという、新旧さまざまな媒体を「ポートレート」という枠組みによって連鎖させ、それらの出現を契機に、境界を越えて複数化していくキャラクターの自己を、「ヒトとモノ」「自己と…
  • その人を形づくるものは何か
    絵画、写真、彫像、人形、そしてヒューマノイドという、新旧さまざまな媒体を「ポートレート」という枠組みによって連鎖させ、それらの出現を契機に、境界を越えて複数化していくキャラクターの自己を、「ヒトとモノ」「自己と他者」「現実と虚構」「生と死」を鍵に英語圏小説を通して俯瞰する。
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    本書で分析する作品=ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』/ウルフ『オーランドー』/クリスティ『ホロー荘の殺人』/ハストヴェット『リリー・ダールの魅惑』/イシグロ『クララとお日さま』
  • 序章 ポートレート、そして流動する「自己」
    第一章 生命を得る肖像画
           オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』(一八九一)
    ストーリー/「越境」の物語/「無垢」の肖像/生命を得る肖像画/ヒトとモノの感応/ドリアン・グレイの「写真」/心霊写真の科学/三つ巴の力学/ドリアンの最期/註
    ◉コラム  作家たちのポートレート ①—オスカー・ワイルド(一八五四—一九〇〇)
    第二章 「フェイクの証」の図版写真
           ヴァージニア・ウルフ 『オーランドー—ある伝記』(一九二八)
    ストーリー/「フェイク」としての「伝記」/「最長のラブレター」/八枚のポートレート/サックヴィル一族の肖像画/「オーランドー」としてのヴィタ/同一人物?/創られる「生」/ウルフの不在/自己の複数化と「真の自己」/オーランドーの「死」と永遠の「現在」/註
    ◉コラム  作家たちのポートレート ②—ヴァージニア・ウルフ(一八八二—一九四一)
    第三章 抽象を目指す彫像
          アガサ・クリスティ『ホロー荘の殺人』(一九四六)
    ストーリー/クリスティとモダニズム/モダニズム彫刻と人物モデル/「抽象化」の破綻/「芝居」としての殺人/二重の演出/「虚ろな」現実/虚ろさの浸食/嘆きのポートレート/註
    ◉コラム  作家たちのポートレート ③—アガサ・クリスティ(一八九〇—一九七六)
    第四章 中間存在としての人形
          シリ・ハストヴェット『リリー・ダールの魅惑』(一九九六)
    ストーリー/「越境」の作家/「底知れない」他者、そして自己/キャンバスの中の物語/「中間にある」人形/人形愛とその可能性/マーティンと人形愛/エドとマーティンの近似/註
    ◉コラム  作家たちのポートレート ④—シリ・ハストヴェット(一九五五—)
    第五章 「私」になるヒューマノイド
           カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(二〇二一)
    ストーリー

    1 「人工の友」と「想像上の友」/日記帳に宿る「想像上の友」/児童文学における「想像上の友」
    2 ジョジーとクララの出会い/ジョジーの「ポートレート」/「不気味の谷」/機械との距離/「AF」である「ポートレート」/ポートレートの合体と外見の欠如/「見えない」クララ
    3 「母」となるクララ/視覚の混乱と増殖する像/「人工の友」が語る自己の複数性/

    ◉コラム  作家たちのポートレート ⑤—カズオ・イシグロ(一九五四—)
    引用文献
    図版出典一覧
    初出一覧
    あとがき
    索引

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