対話性の境界

対話性の境界

出版社: 法政大学出版局
著者: 金志成
  • 戦後ドイツを代表する作家の文学的創造力が最大限に発揮される瞬間を明らかにし、その文学を貫く「真実への困難な探求」を描き出す。
  • 「対話性の境界」が出来するその瞬間に「文学的創造力」は最大限に発揮される。戦後ドイツを代表する作家を貫く「真実への困難な探求」を明瞭に描き出す。
  • 1934年にナチス政権下の現ポーランド領に生まれ、「ドイツ人追放」により旧東独で育ち、作家デビューに伴い西ベルリンに「転居」、1984年にイギリスで孤独死したヨーンゾン。イデオロギーで分断された世界を対話的に描き、ブランショに称賛されるなど、戦後ドイツを代表する作家としての評価はいまだ揺るぎない。その文学的営為の根本的な「詩学」の問題は「対話性」や「倫理」という図式に回収されてきたが、本書は精緻なテクスト分析と大胆な批評性であえてそれらの「境界」を探り、彼の文学を貫く「真実への困難な探求」を新たな視点から描き出す。
  • 序文
    第1章 詩学
     第1節 導入──ヨーンゾンの「詩学講義」
     第2節 「詩学」の歴史──古代ギリシアからロマン派まで
     第3節 戦後ドイツにおける「詩学」の制度化
     第4節 〈ポスト詩学〉の状況
     第5節 表されるものが表す手段を条件づける
     第6節 方法論についての要約
    第2章 ダイアローグ
     第1節 導入──境界線
     第2節 〈語りの全知性〉をめぐる問題
     第3節 作り出された人物
     第4節 対話性の詩学
    第3章 パフォーマンス
     第1節 導入──小説は革命のための武器ではない
     第2節 二つの政治性
     第3節 文学における「真実」
     第4節 「真実探求」の死角
     第5節 『ベルリンのSバーン』
     第6節 パフォーマンスとしての「真実探求」
    第4章 モダニティー
     第1節 導入──モダニスト・ヨーンゾン
     第2節 『長篇小説を検討するための諸提案』
     第3節 モダニティーの歴史イメージ
     第4節 ボードレールの現代性
     第5節 理想と憂鬱
    第5章 『ヤーコプについての推測』
     第1節 導入──「難解」な小説
     第2節 対話的形式
     第3節 ロールフス
     第4節 ヨーナス・ブラッハ
     第5節 ゲジーネ・クレスパール
    第6章 『イースターの水』
     第1節 導入──「模範的な短篇小説」
     第2節 水と鏡のイニシエーション
     第3節 かつての少女の追憶
     第4節 完結性と破綻
    第7章 『記念の日々 ゲジーネ・クレスパールの生活から』
     第1節 導入──付随状況
     第2節 一年の日々
     第3節 暦と想起
     第4節 コレスポンダンスとアレゴリー
     第5節 言語の問題
     第6節 『記念の日々』における対話性
     第7節 わたしが死んだときのために
     終 節 マージョリーのゆくえ
    結語
    あとがき
    参考文献
    索引

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