ロシア近代文学の青春

ロシア近代文学の青春

出版社: 東京大学出版会
著者: 高橋 知之
  • ロシア文学史・思想史のなかで画期とされつつ,描かれてこなかった1840年代.ドストエフスキーらの時代前夜,巨匠たちを見出し勃興期を牽引したベリンスキー,グリゴーリエフを軸に,大きな時代の潮流の発端を明らかにする.反省と直接性をめぐって新たな時代を探究する軌跡を明快に論じる.
  • はじめに
    序 章 ベリンスキーの構想
     一 「反省」と「直接性」
     ニ 反省の問題圏
     三 直接性の回復
     四 一八四〇年代の〈プロジェクト〉
     五 本書の課題

    第一部 プレシチェーエフの実践

    第一章 人格の変容と再構築――先駆者たちの試み
     一 ハムレットと二人のドン・キホーテ
     ニ ロマン主義における人格
     三 新しい人格の追求――スタンケーヴィチからベリンスキーへ
     四 〈プロジェクト〉の実践をめぐる反省
    第二章 一八四〇年代の〈預言者〉
     一 人格と仮面
     ニ 預言者の復活
     三 〈放浪者〉から〈預言者〉へ
     四 ユートピア社会主義者としての〈預言者〉
    第三章 ペトラシェフスキー・サークルの〈小さな預言者〉
     一 人格の転換と「ロシア的態度」
     ニ 友情ある連帯
     三 〈わたし〉から〈われら〉へ
     四 〈小さな預言者〉
     五 詩と現実
     六 預言者の退役
    第ニ部 グリゴーリエフの漂泊

    第一章 反省と漂泊
     一 毒された真理,毒された愛
     ニ 自己意識の病
     三 反省から無性格へ
     四 グレゴーリエフのニヒリズム
     五 未来への愛
     六 反省の構造
     七 グレゴーリエフとキルケゴールによる「現代の批判」
    第二章 エゴイズムと無性格
     一 反省とエゴイズム
     ニ 〈プロジェクト〉とエゴイズムの問題
     三 空虚な自我と対等な他者――『多数のなかの一人』の分析
     四 偶然・邂逅・対話
      一 〈補論〉隠された偶然――「運命論者」を中心とする『現代の英雄』試論 
      ニ 対話的原理――フォイエルバッハとの共時的な接点
     五 転回――創作から批判へ
    結論
    プレシチェーエフ訳詩集
    アポロン・グリゴーリエフ「未来の人間」(抄)
    The Formative Years of Modern Russian Literature:
    Between Reflection and Immediacy
    Tomoyuki TAKAHASHI

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