
労働の福祉力
出版社: 明石書店
- 歴史、政策、実践の観点から福祉と労働の関係性を問う本書。移民の社会保障、社会的連帯経済、就労支援の事例を中心に、エンパワメントおよび社会システムへの包摂の可能性を探る。社会福祉の今後を展望する画期的な試み。
- はじめに[仁科伸子]
第1章 歴史的に見た貧困救済と労働の関係性[仁科伸子]
1 労働可能な者を救済しない救貧の歴史
2 福祉国家体制の成立と転換
第2章 グローバリゼーションによる社会問題の多様化[仁科伸子]
1 グローバリゼーションとは何か
2 移民や外国人労働者の統合
3 日本における外国人労働者の増加
4 外国人労働者と社会的包摂
5 社会的包摂の社会福祉学的理解
6 日本における外国人に対する所得再分配政策の現状と課題
7 地理的に広がる格差
8 移民流入による社会的排除やコンフリクトは避けられるのか
第3章 移民労働者と社会保障[松本勝明]
1 社会保障にとっての国籍の意味
2 外国人の平等取扱い
3 ドイツ社会保障における外国人の取扱い
4 EU市民である外国人の滞在及び社会給付の受給
5 考察
第4章 市民権と労働[西﨑緑]
はじめに
1 市民権とは何か
2 移民・外国人労働者の受け入れについての政策と制度
3 移民の受け入れと福祉国家の持続性
おわりに
第5章 共生と協同を推進する制度――各国の関連法制を探る[廣田裕之]
はじめに
1 インクルーシブな労働を生み出す法人格や制度とは
2 福祉の現場での労働に適する可能性の高い法人格
3 各法人格を超えた概念や法制度
4 社会的連帯経済に関連する記載のある憲法
5 社会的連帯経済に関する国際労働機関決議および国連総会決議、欧州連合(EU)での動き
まとめ
第6章 事例から考える「働きがいのある連帯社会」
事例Ⅰ 移民労働者を包摂する社会的連帯経済――スペインの事例より[廣田裕之]
はじめに
1 スペインにおいて外国人が就労許可を取得する方法
2 アフリカとの連帯に向けたバレンシア協会(AVSA)および協同組合COTASA
3 トップ・マンタ(カタルーニャ州バルセロナ市)
4 レス・アベーリェス(カタルーニャ州レウス市)
5 社会的包摂企業(WISE)やそれに類する事例
6 日西間の法制度などの違い
まとめ――スペインと日本との状況の違いを考慮に入れて
事例Ⅱ 難民のドイツ労働市場への統合[松本勝明]
1 統合政策の発展
2 統合政策の基本的考え方
3 統合法による統合政策
4 難民の労働市場へ統合
まとめ
事例Ⅲ ローガンスクエアにおけるペアレント・メンター事業――参加、エンパワメント、社会的包摂[仁科伸子]
1 ローガンスクエア近隣地域
2 ローガンスクエア・ネイバーフッド・アソシエーション
3 ペアレント・メンター事業
4 働くことの意味
事例Ⅳ 働くことで、力を得る――小国町サポートセンター悠愛のお姫様Aさん[仁科伸子]
いってきまーす[椋野正信]
事例Ⅴ 韓国の労働形成型社会的企業の事例[金吾燮]
1 韓国の障害者雇用状況
2 韓国の社会的企業
3 労働形成型社会的企業POSCOHUMANS
4 持続可能な事業と新たな雇用への挑戦
おわりに
事例Ⅵ 社会福祉法人グリーンコープ ファイバーリサイクルセンター――就労支援事業所での取り組み[西﨑緑]
1 グリーンコープと福祉事業の取り組み
2 グリーンコープがファイバーリサイクル事業にかかわることになった経緯
3 抱樸館福岡との連携
4 アル・カイールアカデミーとの関係
5 就労支援事業について
6 ファイバーリサイクル事業の運営の仕組み
事例Ⅶ 社会起業による福祉と労働のクロスオーバー――ソーシャル・ビジネスを手掛りに[牧里毎治]
1 店の構えから
2 これまでの歩み
3 アジア人女性たち
4 SALAの向かうところ
5 店主の想いと願い
6 福祉と労働をつなぐ
7 ソーシャル・ビジネスを媒介に
事例Ⅷ 自ら求めるサービスを創り出す協同組合の福祉事業[熊田博喜]
はじめに
1 日本における生協の成立とその動態(第一期:1978-1944)
2 戦後における日本型生協の成立と家庭会と班の発展(第二期:1945-1983)
3 生協を基礎とした福祉の成立(1983-1997)
4 生協を基礎とした福祉の発展(1998-現在)
5 生協を基礎とした福祉の活動形態の変遷
おわりに
終章 本書の取りまとめと今後の課題[仁科伸子]
1 ワークフェアは貧困を減少させたのか
2 労働の福祉力
3 福祉事業は市場で生き残れるか?
4 労働を組み込んだグッドプラクティスとその限界
5 協同とディーセント・ワークによる可能性
あとがき
索引