
崩壊概論
出版社: 筑摩書房
- 明晰な懐疑による信念の解体と拠って立つ基盤の崩壊。否定の精神の顕揚と頽廃の擁護。思想家が初めてフランス語で放った危険の書。解説 大谷崇
- 透徹した懐疑が矛盾の総体たる世界を熾烈なまでに問いただす。信念は解体され、拠って立つ基盤は崩壊する――。幻影の破棄と新たな幻影を希求した本書は、シオランが母語であるルーマニア語ではなくフランス語で初めて著した作品。未来に倦み、同時に言いようのない渇きに襲われながら、思想家は敗滅へと向かう人間の宿命を凝視する。繊細と皮肉、陶酔と幻滅、憤怒と倦怠、明視と錯乱……。不眠の夜々に咲いた断章群、それは、まぎれもなく現代の黙示録としてわれわれの精神に浸潤し、揺さぶりをかけるだろう。
解説 大谷 崇 - 日本語版への序
崩壊概論
発作的な思想家
頽廃(デカダンス)のさまざまな顔
聖性と「絶対」のしかめ面
知の舞台装置
放棄
訳者あとがき
解説(大谷崇)