
海に沈んだ島の伝承と伝説
出版社: 五月書房新社
- 高麗島、お亀磯、瓜生島、戸島、鴨島、冠島……
21世紀の被災経験が呼び覚ます “日本沈没“の民俗的記憶と古記録
2022年6月19日、石川県能登地方で発生した最大震度6弱の地震で「見附島」の斜面の一部が崩落した。「島」が地震によって崩落し、津波によって海没することがあるという現実に直面したとき、われわれが暮らすこの国土が、部分的にではあれ過去に沈没を経験してきた「島」である事実をあらためて思い知らされる。柳田國男の「高麗島の伝説」をはじめ民俗学は、お亀磯、瓜生島、戸島など海没したと言われる島々をめぐって日本人がいにしえより紡いできた物語を明らかにしてきたが、現代の海底調査に基づく実証的研究によれば、海没伝説は必ずしも伝説だったとは限らないことがわかってきた。本書『海に沈んだ島の伝承と伝説』は、民俗学、歴史学、地質学などの最新の知見を総動員しながら“日本沈没“の民俗的記憶に迫る。 - 第一章 高麗島型伝説―徳島県「お亀磯」から変遷を探る
第二章 「高麗島型伝説」の原型
第三章 記録に残された海没した「島」
第四章 海没した「島」の異界性
第五章 「幻想の世界」としての海没した「島」
第六章 海底調査により海没が証明された「島」
第七章 伝承・伝説をもつ「島」と断層帯