週1回精神分析的サイコセラピー
出版社: 遠見書房
- 多くの臨床家の知見と工夫に満ちた本書は,「週1回」の精神分析的サイコセラピーの堅実な背景をもとにした,「週1回」の現在の到達点である。
「精神分析」は,週に4回以上と定義されることが多い。そのため,多くの精神分析的実践は現実には週に1回という設定で行われているにもかかわらず,「週1回」は精神分析「ではない」何かとして扱われてきた。だが,わが国における「週1回」の精神分析的サイコセラピーの歴史は長く,その実践は肥沃な蓄積を築いてきている。
その蓄積を土壌として現実的な選択肢としての「週1回」の力を示す本書は,精神分析的な志向をもつセラピストをばかりではなく,多くのサイコセラピストの必読の一冊となるものである。 - 第Ⅰ部 総 論
第1章 「週1回」とは何か
山崎孝明
第Ⅱ部 技法論
第2章 週1回の精神分析的精神療法におけるhere and nowの解釈について
岡田暁宜
第3章 精神分析的精神療法における振動──Strachey概念の重要性と,その現代的意味付け
縄田秀幸
第4章 関係性以前の接触のインパクト──週1回セラピーにおける重要性
藤山直樹
第5章 週1回の精神分析的心理療法における転移の醸成──変容性解釈の第一段階再考
山崎孝明
第Ⅲ部 設定論
第6章 対面法と寝椅子,そして対面法
髙野 晶
第7章 週1回の精神分析的心理療法におけるカウチ使用に関する一考察
山崎孝明
第8章 背面椅子式自由連想法を考える
尹 成秀
第9章 A-Tスプリットはアップデートできるか
髙野 晶
第Ⅳ部 それぞれの領域における「週1回」の実践
第10章 学生相談における「週1回」セラピー
飯島みどり
第11章 開業における週1回精神分析的セラピー──傷つきのなかで生命感が蘇るプロセス
日下紀子
第12章 医療における週1回スピリットと技法
髙野 晶
第13章 精神科クリニックにおける週1回セラピー──週1回一般外来と週1回精神分析的精神療法
若松亜矢
第Ⅴ部 週1回の「精神分析的」を考える
第14章 無意識の思考をたどること
鈴木智美
第15章 週1回セラピーの中で亡霊を見ようとすること
関真粧美
第16章 週1回の精神分析的心理療法空間に漂う日常性と時間
髙橋靖恵
第17章 POSTを通じて考える週1回における「精神分析的」
山口貴史