
法と哲学 第11号
出版社: 信山社出版
- 【法と哲学のシナジーによる〈面白き学知〉】特集:エイジズム―高齢者差別の何が問題か/〈巻頭言〉「老害」対「老識」
- 【法と哲学のシナジーによる〈面白き学知〉】特集:エイジズム―高齢者差別の何が問題か/〈巻頭言〉「老害」対「老識」
- ◆法と哲学のシナジーによる〈面白き学知〉の創発を目指す研究雑誌第11号。第一線の執筆陣が一堂に集い、〈面白き学知〉を創発◆
巻頭言は『「老害」対「老識」―トランプは恐るるに足らず』(井上)。特集は「エイジズム―高齢者差別の何が問題か」。法学、法哲学、政治哲学の視点から(児玉、宇佐美、大津、櫻庭、中田)、偏見や差別、エイジハラスメントを問う。長嶺安政による特別寄稿も注目したい。「書評と応答」(齊藤、松尾、郭、児玉、井上)も熱い論戦で興味が尽きない。 - 『法と哲学 第11号』
井上達夫(東京大学名誉教授) 責任編集
【目 次】
〈巻頭言〉「老害」対「老識」―トランプは恐るるに足らず〔井上達夫〕
◆特集◆エイジズム―高齢者差別の何が問題か
◇緒 言〔児玉 聡〕
◆1 エイジズム論を広げて深める〔宇佐美 誠〕
Ⅰ 日本のエイジズム
Ⅱ エイジズムはいかなる構造をもつか
Ⅲ エイジズムはどのように特別なのか
Ⅳ 老齢年金を組み替えられるか
Ⅴ 貧困問題にいかに立ち向かうか
Ⅵ 脱年齢社会へ
◆2 「定年制」は廃止されるべきなのか―高齢者差別との関係における一考察〔大澤 津〕
はじめに
Ⅰ 高齢強制退職制度を正当化する理由の検討
Ⅱ 高齢強制退職制度に反対する理由
Ⅲ 反感を検討する
おわりに
◆3 労働分野の高齢者差別について〔櫻庭涼子〕
Ⅰ 日本の雇用社会は高齢者差別的か
Ⅱ 年齢差別とは何か
Ⅲ 定年制を許容してよいか
Ⅳ 60歳未満の年齢による雇用終了は許されるか
Ⅴ 募集・採用時の年齢制限を認めてよいか
Ⅵ 10年先を見て明らかにすべきこと
◆4 住宅と高齢者差別―アメリカ・イギリスの住宅政策の視点から高齢者像を再検討する〔中田裕子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ アメリカの住宅における高齢者差別
Ⅲ イギリスの住宅における年齢差別
Ⅳ 検 討
Ⅴ おわりに
◆特別寄稿◆
シーデントップ博士と政治哲学〔長嶺安政〕
◆書評と応答◆
1 フェミニズムとリベラリズムの架橋―池田弘乃『ケアへの法哲学―フェミニズム法理論との対話』(ナカニシヤ出版,2022年)〔齊藤笑美子〕
はじめに
Ⅰ 「フェミニズムからの出発」に込められた意味とは?
Ⅱ ユートピアニズムに重きを置く
Ⅲ ハラスメントがセクシュアルであるとは?
Ⅳ マッキノンの“転向”?
Ⅴ 「人格的利益説」批判
Ⅵ 性別クオータとパリテ
Ⅶ ファミリーからホームへ
Ⅷ ケア基底的社会
おわりに
◆2 予防の時代の政策と倫理―児玉聡『予防の倫理学』の書評(ミネルヴァ書房,2023年)〔松尾 陽〕
Ⅰ 意欲作の書評のあり方
Ⅱ 本書はどこに向かっているのか―公共政策志向的倫理学
Ⅲ 本書の焦点―記述倫理学・規範倫理学・メタ倫理学との関係
Ⅳ 本書の目標―一般理論Xは成功したのか?
Ⅴ 予防へのアプローチ―帰結主義の意義と限界
Ⅵ 予防の政策形成へ向けて
Ⅶ 結びに代えて
◆3 再帰的実践の中の法と私―浅野有紀氏の評に答える〔郭 舜〕
Ⅰ 国際法は法と見なされるべきか
Ⅱ 実践の外と内
Ⅲ 規範的法実証主義を支持するのか?
Ⅳ 公法と私法
Ⅴ 国際法が法であるための条件
Ⅵ 道徳とは何か
Ⅶ ドゥオーキン的あるいはフラー的原理的一貫性
Ⅷ 多元的法秩序
Ⅸ おわりに
◆4 玉手慎太郎氏書評への応答〔児玉 聡〕
Ⅰ 本書の成立経緯とアカデミアの対応について
Ⅱ 自由と正義
Ⅲ 手続的正義について
Ⅳ パンデミックと災害の関係について
Ⅴ 玉手氏のソフト・ロックダウン擁護論について
Ⅵ 倫理の意味について
Ⅶ 有事と平時の区別について
◆5 国際法における紛争の平和的解決とは何か―西平等への応答〔井上達夫〕
はじめに
Ⅰ 憲法論的批判への応答
Ⅱ 戦争違法化体制における二段階アプローチ
Ⅲ ウクライナ戦争終結のための二段階方式をめぐる私見に対する誤解
Ⅳ 「紛争の平和的解決の理念」を西は真面目に考えているのか?