近代東アジア憲法の歴史的交響
出版社: 慶應義塾大学出版会
- 近代日中両国の憲法思想。その淵源はどこにあるのか。両国の憲法、憲法学の継受と発展の歴史を繙く。
- 近代日中両国の憲法思想。その淵源はどこにあるのか。
日本・中国、両国における憲法の基本概念から解きおこし、当時の中国の憲法制定と明治憲法、そして相互の憲法学の関係、また近代における中国の憲法学教育における日本的要素をも考察しながら、両国の憲法、憲法学の継受と発展の歴史を繙く。
19世紀末から20世紀初頭の清朝末期、中華民国初期にかけての中国における立憲構想や制憲活動に対する、大日本帝国憲法(明治憲法)、また明治期以降の日本憲法学が与えた影響について、多角的な観点から実証的に考察。近代日本及び中国を題材とする比較法制史研究。 - 序 章
第一節 歴史の背景
第二節 先行研究
第三節 研究目的
第四節 各章の構成と要旨
第一章 近代日中両国における憲法の基本概念の定着と連鎖
第一節 はじめに
第二節 明治日本を介しての憲法の基本概念の創成と伝播
第三節 明治日本における憲法の基本概念
第四節 近代中国における日本憲法の基本概念の継受と発展
第五節 おわり
第二章 近代中国の憲法制定と明治憲法
第一節 はじめに
第二節 近代中国の憲法制定の源流
第三節 清国末期の憲法制定における明治憲法の参照
第四節 中華民国初期の憲法制定と有賀長雄
第五節 中華民国1936年憲法草案と1947年憲法制定における主義、政体と国体
第六節 おわりに
第三章 近代中国憲法学の変遷と明治憲法学
第一節 はじめに
第二節 「近代中国憲法学」の草創期――予備立憲運動以前の憲法学の著作
第三節 留日学生における憲法学研究の集大成――保廷樑と『大清憲法論』
第四節 憲法草案に見る憲法学(一)――第一歴史古文書館所蔵『清政府擬定憲法草稿』
第五節 憲法草案に見る憲法学(二)――張伯烈と『仮定中国憲法草案』
第六節 辛亥革命以降の君主制憲法草案――馬吉符と『憲法管見』
第七節 1947年の憲法解釈学における国体、政体と主義――羅志淵の『中国憲法釈論』
第八節 おわりに
第四章 近代中国の憲法学教育における日本的要素
第一節 はじめに
第二節 学制改革の下で展開された近代中国の憲法学教育の全体像
第三節 日本留学の潮流と近代中国憲法学者の育成――法政大学法政速成科を中心に
第四節 中国語訳日本人憲法学著作を教科書として用いる学校とその機関誌――北洋法政学堂と『北洋法政学報』
第五節 日本人を講師とする憲法学教育機関――京師法律学堂
第六節 中華民国期「日本派」憲法学教育の集大成――朝陽大学
第七節 おわりに
終 章