諸外国の教育動向 2023年度版
出版社: 明石書店
- アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国、オーストラリア、台湾、香港、マカオ、シンガポール、トルコ等の教育事情について、教育政策・行財政、生涯学習、初等中等教育、高等教育、教師等の各ジャンル別に2023年度の主な動向をまとめた基礎資料。
- まえがき
執筆者及び執筆分担
アメリカ合衆国
1 概観
2 教育政策・行財政
2.1 2023年米国大統領一般教書演説――3、4歳児の就学前教育無償化や学校におけるメンタルヘルスに関する対応の拡充を提案
2.2 カルドナ教育長官が学力テストの活用における方針転換を表明――教育省の新たな取組の公表会見
2.3 人工知能(AI)の開発と利用に関する大統領令
3 生涯学習
3.1 連邦教育省がフルサービス・コミュニティスクール振興事業の新規採択プロジェクト42件を公表
3.2 連邦教育省がフルサービス・コミュニティスクール振興事業の新規採択プロジェクト30件を公表
4 初等中等教育
4.1 連邦教育省、人工知能(AI)が教育にもたらす機会とリスクについてまとめた初の報告書を公表
4.2 ニューヨーク市学区がChatGPTへのアクセス容認へ方針転換――ただし、学区によって向き合い方は多様
4.3 学校安全に関する教員意識調査――半数以上の教師が「武装教師」政策は学校の安全を低下させると回答
4.4 いじめ関連法の改正に関する状況――9州が保護者への通知手続や情報提供の整備など
4.5 テキサス州で学校安全に関する改正法が成立――各公立学校に1名以上の銃器を携帯した学校駐在警官等の配置を義務化
4.6 学校における体罰禁止を求める連邦教育長官名の通知を発出
4.7 コロラド州内の学区がメンタルヘルス専門の療養・教育施設の施設名を決定
4.8 モンタナ州がチャータースクールの設置を認める法律を制定――46番目の州に
4.9 PISA2022で国際的な順位が向上――教育長官は政権の努力を強調
5 高等教育
5.1 連邦最高裁がハーバード大学とノースカロライナ大学の入学者決定におけるアファーマティブ・アクションに対して違憲判決
5.2 大学入学者決定におけるアファーマティブ・アクションに関する連邦最高裁判決についてバイデン政権が対応策を公表
5.3 大学入学者決定におけるアファーマティブ・アクションを支持する声は3分の1、半数は不支持――民間シンクタンクによる意識調査
5.4 パンデミック後の学生数の変動に関する専門家会議――「入学の崖」に対する懸念を共有
5.5 17大学が2023年(1~10月)に閉鎖や合併の予定を発表――ハイスクール卒業年齢人口の減少が懸念材料
5.6 ニューヨーク州の2つの公立大学システムが州内のハイスクール最上級生に大学入学に関する通知を送付――入学者決定手続きの障壁を取り除く
5.7 大学におけるイスラエルのガザ地区侵攻に抗議する反ユダヤ主義運動――連邦議会がハーバード大等の学長を招聘して公聴会を開催
イギリス
1 概観
2 教育政策・行財政
2.1 キーガン教育大臣が教育における生成AIの利活用を訴え――「エビデンスに基づく情報提供の照会」を開始
2.2 教育省が報告書『教育における生成AI』を公表
2.3 2024会計年度の政府予算を発表――全体で昨年比約3.1%増、教育費の割合は微減
3 初等中等教育
3.1 「18歳までの数学」でスナク首相が計画の概要を発表――早期の全面実施は困難との見方
3.2 人間関係の教育、性教育、健康教育の見直しに独立諮問委員会を設置
3.3 教育水準局(Ofsted)が学校監査の変更点を公表
3.4 政府が新たに「音楽教育モニター委員会」を設置
3.5 教育省が体育と課外のスポーツ活動に関する2か年計画を発表
3.6 高度技術者養成課程(Tレベル)は改善の余地あり――教育水準局(Ofsted)が報告書を公表
3.7 学校における携帯電話の使用禁止を教育大臣が提案
3.8 イングランドが欧州でトップ層の1つに――PISA2022の調査結果
3.9 スナク首相が進学ルートと職業ルートを合わせた新たな資格の仕組み(ABS)の開発を計画
3.10 GCSEの科目として新たに手話の導入を計画――教育省が発表
3.11 学校における携帯電話の使用を禁止するガイダンスを政府が発表
4 高等教育
4.1 国内有数の研究大学群「ラッセル・グループ」が生成AIの活用指針を策定
4.2 2024年版世界大学ランキングの公表――QS及びTHEによる調査結果
4.3 政府がチューリング計画1年目の調査報告書と最新の助成支援結果を公表――欧州を含めた世界とのパートナーシップを強化
5 教師
5.1 教師を対象にした教師研修の質が緩やかに向上――教育水準局(Ofsted)が調査分析結果を公表
5.2 2022年度のイングランドの教師数が過去最高に――教育省が発表
5.3 教育省が教師の採用と定着に150万ポンドの投資――教師の採用と定着を見据えたメンタルヘルスやウェルビーイングの強化策
フランス
1 概観
2 教育政策・行財政
2.1 マクロン大統領、内閣改造を実施――国民教育・青少年大臣が交代
2.2 マクロン大統領、内閣改造を実施――国民教育・青少年省は国民教育・青少年・スポーツ・オリンピック及びパラリンピック競技大会省に
2.3 国民教育・青少年・スポーツ・オリンピック及びパラリンピック競技会大臣が交代
2.4 国の2024年度教育及び研究予算が成立
3 生涯学習
3.1 EUの人材交流促進プログラム「エラスムス・プラス」でフランスが第1の送出し国に――国民教育・青少年省
3.2 「スポーツに関する大ディクテーション大会」が開催
4 初等中等教育
4.1 国民教育・青少年省、2023年度から段階的に開始される職業リセ改革の概要を発表
4.2 アタル国民教育・青少年大臣、児童・生徒の学力向上に向けた教育改革を発表
4.3 国民教育・青少年省、学校における環境問題への取組を一層推進するための20の措置を発表
4.4 国民教育・青少年大臣、学校におけるいじめ対策として2023年度から導入する新たな措置を発表
4.5 政府、学校におけるいじめ対策のための省庁横断的な計画を発表
4.6 国民教育・青少年大臣、コレージュにおいて「いじめとソーシャルネットワーク」をテーマとする啓発活動の実施を各学校に要請
4.7 「全国学校いじめ防止の日」――いじめを把握するため今年度は児童・生徒に対する質問票を用いた調査を実施
4.8 学校約100校において実験的に制服を導入
4.9 政府、子供のスマートフォン、タブレット等の適切な利用について検討するための委員会を設置
4.10 AIを活用した学習支援ツールの導入に向けたデモンストレーションを実施――イル=ド=フランス地域圏教育区
4.11 国民教育・青少年大臣、複数の学校におけるサイバー攻撃を受け、学校のデジタルネットワークの利用を一部制限
4.12 PISA2022の結果公表――数学的リテラシーで大幅な低下
4.13 2023年のバカロレア試験の同一世代における取得率は79.3%――普通バカロレア及び技術バカロレアは新制度により全面的に実施
5 高等教育
5.1 高等教育・研究省、新学年度開始に向け、経済支援策を公表――一般給与奨学金は過去10年で最大の引上げ
5.2 高等教育・研究省、学生のメンタルヘルスに対する支援を強化
5.3 政府、学生宿舎の拡充のためのロードマップを発表
5.4 高等教育・研究省、2022年度の留学生受入れ数等に関する統計を公表
5.5 パリ政治学院、学生が利用を明記せずにChatGPTを利用することを禁止
6 教師
6.1 国民教育・青少年省、2023年度から教師の待遇の見直しを実施
ドイツ
1 概観
2 教育政策・行財政
2.1 「学校デジタル協定(2019~2024年)」に基づく公財政支援の状況が明らかに――資金の8割の支出先が既に承認
2.2 各州文部大臣会議(KMK)、次期「学校デジタル協定」の実現に向けた建設的な交渉の継続について連邦教育研究大臣から言質
3 生涯学習
3.1 市民に対する金融教育を強化――連邦教育研究大臣と連邦財務大臣が金融教育イニシアチブを発表
4 初等中等教育
4.1 学校教育における生成AIアプリの扱いに関するガイドラインの作成、州レベルで進む
4.2 基礎学校第4学年児童の読解力、2001年よりも著しく低下――IEA「国際読書力調査(PIRLS)」2021年調査の結果
4.3 第9学年生徒のドイツ語の学力が大幅に低下――「IQB教育トレンド調査」の2022年調査結果
4.4 ドイツの学力、全分野でOECD平均を上回るも低下が際立つ――PISA2022の結果公表
4.5 ハンブルク市、学校給食の値上げを決定するも家庭の実質的な負担増はなく――学校給食を巡る状況
5 高等教育
5.1 既存の11の「エクセレンス大学」に加え、最大4つの新「エクセレンス大学」に年間総額約2億800万ユーロ――「エクセレンス戦略」第2期(2027年~)
5.2 連邦政府、社会経済的に弱い若者に対する就学奨励金を新設――連邦奨学金(BAföG)第29次改正法案が閣議決定
5.3 コロナ後は対面式授業が再び主流に――「デジタル化モニタリング調査360°」
5.4 テキスト生成AIアプリの使用を部分的又は全面的に認める大学は3割
5.5 学生の生活実態が明らかに――「2021年ドイツにおける学生の社会経済的状況に関する社会調査」
5.6 大学都市において学生住宅の家賃が高騰――「MLP学生住宅レポート2023年版」
5.7 ザクセン州で1,000人分以上の学生寮の増改築が可能に――連邦政府の「Junges Wohnen(若者の住まい)」プログラム
5.8 法曹養成課程への統合法学士の導入が進む――ザクセン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州
5.9 非EU圏出身学生に課されている授業料の廃止検討を勧告――バーデン・ヴュルテンベルク州高等教育担当省の諮問機関
5.10 バーデン・ヴュルテンベルク州、二元式の教師養成修士課程モデルプロジェクトの実施を計画――短い期間での教師養成が可能に
6 教師
6.1 連邦教育研究省(BMBF)、デジタル化関連の現職教師研修プログラムの研究・開発を支援――2026年までに2億500万ユーロ
6.2 教師の供給改善行動計画の進捗状況――ノルトライン・ヴェストファーレン州
6.3 教師養成課程を経ていない教師は増加も教師養成課程の学生は減少
中国
1 概観
2 教育政策・行財政
2.1 2023年度の教育統計の結果公表――幼児数は急減も初等中等教育段階の教師及び大学教員数は増加
2.2 中国共産党中央委員会及び国務院が今後の人口動態に対応した2035年までの教育改革の方針を発表
2.3 中国共産党中央委員会及び国務院が若手科学技術人材の育成と使用を強化するための措置を公表
2.4 教育部等が初等中等教育の拡充・質向上を行うための2027年までのアクションプランを公表
2.5 2022年度の全国の教育支出総額は6兆1,344億元
3 生涯学習
3.1 「国家スマート教育プラットフォーム」が2022年度のUNESCO教育情報化賞を受賞
3.2 教育部長がデジタル教育の応用・共有・革新を提唱――第2回世界デジタル教育大会が上海で開催
4 初等中等教育
4.1 中国教育報が「国家スマート教育プラットフォーム」を用いた「双師授業」などの好事例を紹介
4.2 教育部が違法な教育・訓練を提供した学校外教育・訓練機関に対して行政罰を下すための規則を制定
4.3 教育部が初等中等教育段階の「地方課程」「学校課程」の構築と管理を強化する意見を公表
4.4 教育部が「幼稚園監督評価規則」を公表
5 高等教育
5.1 2023年の全国統一入学試験――史上最多の1,291万人が受験
5.2 2023年の全国統一入学試験前に教育部が受験者に対して不正防止を喚起
5.3 広東省広州市が全国統一入学試験の試験監督体制を強化
5.4 教育部が出願期間に発生する詐欺行為等に注意するよう警告
5.5 大学における全国大学英語試験の不採用が拡大――西安交通大学が学位取得の条件から全国大学英語試験の成績を除外
5.6 学部から大学院まで連続する実験的課程の拡大
5.7 国務院が「中華人民共和国学位法」の草案を審議
6 教師
6.1 各教育分野で経験を積み退職した教師・研究者を活用する「銀齢計画」が正式に始動
韓国
1 概観
2 教育政策・行財政
2.1 2023年度教育省予算が確定――税収増加に伴い高等教育・生涯学習特別会計を新設
2.2 教育省、「2023年度業務計画」を発表――日常回復とデジタル人材を本格化
2.3 教育省、デジタル基盤教育改革計画を発表――2025年度から人工知能デジタル教科書の導入など
2.4 教育省、教育公共データを分析・活用した研究大会を開催
2.5 教育省、修学能力試験から高校の学習範囲を超える問題を排除へ――「私教育軽減対策」の発表
2.6 多様な文化的背景を持つ家族に対する支援計画を発表――多文化理解教育を充実へ
2.7 多様な文化的背景を持つ子供に対する支援に関する法整備――初・中等教育法の改正
2.8 教育省の組織を改編――教師の権利保護を強化
2.9 政府、地方総合計画を発表――教育の地方分権化を推進
2.10 教育省、『2023デジタル教育白書』を発表――2023年度のデジタル関連教育政策を総括
3 生涯学習
3.1 教育活動中の熱中症予防のための行動要領を発表
3.2 教育省、地域の拠点としての学校づくりを目指す複合施設化事業を推進
4 初等中等教育
4.1 教育省、幼保一元化推進計画を発表――2025年から本格推進へ
4.2 終日学童保育プログラムの運営計画を発表――夜8時までの学童保育を実現へ
4.3 児童虐待早期発見及び連携支援のための長期未認定欠席児童・生徒の管理強化計画を発表――不法「ホームスクーリング」の管理強化へ
4.4 教育省、学校暴力根絶総合対策を発表――学校暴力への対処を強化
4.5 教育省、英才教育振興総合計画を発表――プログラミング、人工知能英才教育を推進
4.6 教育省、公教育競争力向上計画を発表――基礎学力保障や教師の指導力向上など
4.7 PISA2022の結果に関する報道――全ての領域で順位上昇、学力格差は拡大
4.8 教育省、人工知能を活用したデジタル教科書開発が本格化
4.9 教育省、学校で情緒・行動特性検査をいつでも行える体制を整備へ
5 高等教育
5.1 教育省、地方行政が中心となって大学改革を推進する体制構築へ――「RISEモデル事業」を開始
5.2 高麗大学、国内で初めてとなる「ChatGPT」活用ガイドラインを発表
5.3 教育省、2023年度国家奨学金支援基本計画を発表――成績基準の緩和などを通して受給者を拡大へ
5.4 教育省、2027年までに留学生30万人の受入れを目指す計画を発表
5.5 教育省、留学生受入れ体制の質保証のため「教育国際化力量認証」結果を発表――40校が留学ビザ発給制限
5.6 教育省、高等教育の大型助成事業「グローカル30」の選定結果を発表――10大学には各校5年間で1,000億ウォンを支援
5.7 2024年度入学者対象修学能力試験を実施
5.8 韓国私学振興財団、大学経営診断院を設置――私学財政診断評価業務や大学の閉鎖後支援業務などを提供
5.9 教育省、大学の閉校に伴う特別編入を実施――江原観光大学の自主閉校
6 教師
6.1 教育省、少子化を見据えた教師養成中長期計画を発表――2027年までに採用定員を約30%削減へ
6.2 教師の教育活動を保護するための総合計画を発表――教師に対する児童・生徒・保護者からの妨害行為に対応
6.3 釜山広域市教育庁、全国で初となる教師の業務支援センターを設置へ
6.4 教師の各種手当を20年ぶりに引上げ
その他の国・地域
1 オーストラリア
1.1 教育省が今後30年間の高等教育改革について意見照会
2 台湾
2.1 教育部が「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果についてコメントを発表――デジタル教育の推進で顕著な成果
2.2 少子化に伴う私立大学の閉鎖について
2.3 少子化による退場勧告を受けた私立大学が民間資金で延命
2.4 教育部が「留学生の受入れ及び定着を促進するための実施計画」を公表
2.5 学生寮改革計画がグッドデザイン賞を受賞
3 香港
3.1 教育局が「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果についてコメントを発表――数学や科学では高水準を維持も読解力が低下
4 マカオ
4.1 教育・青年発展局が「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果についてコメントを発表――過去最高の成績を獲得
5 シンガポール
5.1 初等学校の母語教育カリキュラムを改訂――日常生活に即したカリキュラム内容をデジタルツールで学ぶ
6 トルコ
6.1 高等教育機関スタッフの女性比率が欧州やOECD諸国の平均を上回る――理系の女子学生や女性研究者が増加
資料
資料1 教育省『2023年政府業務計画』(抄訳)<韓国>
付録
付録1 アメリカ合衆国の学校系統図
付録2 イギリスの学校系統図
付録3 フランスの学校系統図
付録4 ドイツの学校系統図
付録5 中国の学校系統図
付録6 韓国の学校系統図
付録7 日本の学校系統図