子ども若者の権利と学び・学校
出版社: 明石書店
- 子どもの権利と幸せを尊重する教育環境を探求する第3巻。不登校支援、インクルーシブ教育など学校における子どもの権利保障の問題、専門職による支援と連携の取り組み、さらにシティズンシップ教育や性教育の課題と展望を通して、未来の教育と学びの環境を考察する。
- 巻頭言
第Ⅰ部 子どもの権利とその保障
第1章 子どもの権利を守り・最善の利益をもたらす「『生きる』教育」――子どもの権利を守る学校運営・カリキュラムとは[木村幹彦]
1 はじめに――「『生きる』教育」はなぜ生まれたのか
2 子どもの実態とカリキュラムの変遷
3 子どもの権利を守り切る緻密な生活指導
4 心を育てる国語科教育
5 負の連鎖を断ち切る「『生きる』教育」
6 アタッチメント理論とトラウマ理解に基づいた教育
7 保護者や卒業生の声
8 子どもの権利を子ども自らが守るために
Column 子どもの権利を学校で学ぶ[佐藤修司]
第2章 学校内外の経験から考える不登校支援――子どもの権利を守るために大切なこと[池田隆史]
1 不登校と現状と捉え方
2 「子どもを人として観ているか?」
3 「子どもを人として観るとは?」
第3章 多様な子どもの権利を保障するためのインクルーシブ教育[野口晃菜]
1 インクルーシブ教育とは
2 日本のインクルーシブ教育の現状と課題
第4章 「外国籍児童生徒」から「外国ルーツの子ども」の支援へ――「こども基本法」を実質的なものとするために[清水睦美]
1 はじめに――こども基本法の意義
2 外国籍児童生徒の排除の歴史
3 複数言語環境・複数文化環境のもとで育つ外国ルーツの子どもたちの固有性
4 外国ルーツの子ども支援の行く先
第Ⅱ部 専門職による支援と連携
第5章 スクールロイヤーができること――子どもの権利の視点から[鬼澤秀昌]
1 「スクールロイヤー」と子どもの権利
2 代理人業務をどの立場の弁護士が担うか
3 制度設計及び運用にスクールロイヤーが関与する方法
4 まとめと今後の課題
第6章 子どもを中心とした専門職連携を行うための取り組み――スクールソーシャルワーカーの視点から[田中佑典]
1 SSWとしての専門職連携を行うにあたっての枠組みづくり(戦略を練る)
2 子どもの権利保障を行うための他機関・他事業との専門職連携(役割分担を行うための活動)
3 今後の展望(まとめ)
第7章 困難な状況の若者を支える高校――大阪・西成の取り組みから[肥下彰男]
1 反貧困学習の始まりと憲法
2 反貧困学習と意見表明権
3 困難な状況の生徒を支える校内組織
4 西成区要対協とわが町にしなり子育てネット
5 高校内居場所カフェの役割
第Ⅲ部 教育の未来と学びの環境
第8章 生徒の自由を実現する学校――日本の校則、入試制度は子どもたちを幸せにしているか[室橋祐貴]
1 いまだに続くブラック校則
2 「ブラック校則」を解消する韓国の取り組み
3 過度に競争的な教育システムが子どもの主体性を奪う
Column 高校「全国校則一覧」サイト開発[神谷航平]
第9章 シティズンシップを育む学校教育[林大介]
1 「シティズンシップ教育」「主権者教育」の位置づけ
2 主権者教育の現状
3 18歳成年時代を見据えた就学前からの主権者意識の育成へ
4 まとめ――今こそ民主主義を体現する学校教育へ
Column 教育政策とこどもの権利[矢野和彦]
第10章 多様な学びプロジェクトの挑戦――街を学びの場に[生駒知里]
1 活動を始めた背景
2 当事者運動としての多様な学びプロジェクト
3 不登校当事者実態全国ニーズ調査
第11章 日本の性教育の歴史からみた課題と展望――こども家庭庁スマート相談保健室/まるっと!まなブックの取り組みを通して[高橋幸子]
1 はじめに――スマート保健相談室:若者の性や妊娠などの健康相談支援サイト
2 アフターピル(緊急避妊薬)にたどり着けない若者たち
3 世界の性教育のスタンダードへ まるっと!まなブック
4 日本の性教育のこれまでとこれから
第12章 なにものでもない、ありのままのいのち――教育の未来へ開かれた眼差し[菊田隆一郎]
1 なにものでもない、ありのままの自分と出会う
2 なにものでもない、ありのままのいのちは測れるか
3 なにものでもない、ありのままのいのちに気づく
4 なにものでもない、ありのままのいのちと未来
5 なにものでもない、ありのままの僕と友達
6 なにものでもない、ありのままのいのちの尊厳
おわりに[末冨芳]