ボスニア内戦

ボスニア内戦

出版社: 筑摩書房
著者: 佐原 徹哉
  • 戦後ヨーロッパで最悪の紛争と言われるボスニア内戦。一九九二年から三年にわたり続いた戦争の残虐行為=民族浄化を分析し、実像に迫った労作。
  • 1990年代に入り、解体へと向かうユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの独立をめぐって、国内のセルビア人、クロアチア人、ボシュニャク人の間で対立が激化し、ほどなくして泥沼の争いに進展する。1992年から3年半に及んだこの戦争は、剥き出しの残虐性に貫かれていた。本書は、近代初期からの歴史を辿りながら、複雑な背景をもつ戦争の実態を解明する。〈民族浄化〉はいかなるメカニズムによって生じるのか。なぜ現代世界からは大量虐殺がなくならないのか。本書が描き出す〈特定の集団の選択的抹殺〉の実像は、ジェノサイド再発の抑止へ向けて重い問いを投げかける。
  • ボスニア内戦と民族浄化――はじめに 
    I ボスニア内戦の歴史的背景
    一 ボスニアにおける民族意識の出現
    二 ユーゴスラヴ統一主義の実験 
    II 虐殺の記憶
    一 第二次世界大戦と民族的暴力の爆発
    二 ウスタシャによるジェノサイド
    三 パルチザン運動の勝利
    四 「パンドラの箱」の封印
    III 冷戦からグローバリゼーションへ
    一 ユーゴスラヴィア社会主義連邦の存立要件
    二 民族問題の構図
    三 クロアチアの「マスポク」
    四 繁栄の頂点としての一九七〇年代
    五 連邦解体のメカニズム
    六 スロボダン・ミロシェヴィチとセルビア民族主義 
    七 ボスニア政界の混迷
     
    IV ユーゴ解体――「グローバリゼーション」の戦争
    一 複数政党選挙と法と秩序の崩壊
    二 ボスニアにおけるシステムの崩壊
    三 連邦を支える制度の解体
    四 クロアチア戦争とユーゴ解体
    V 内 戦 勃 発
    一 ジェノサイドの政治利用
    二 内戦の準備
    三 内 戦 前 夜
    四 戦 争 勃 発
    五 内戦の概要
    VI 民 族 浄 化
    一 内戦とジェノサイド言説
    二 セルビア人の残虐行為
    三 クロアチア人の残虐行為
    四 ボシュニャク人の残虐行為
    五 民族浄化の本質
    VII ジェノサイド
    一 スレブレニツァ事件とジェノサイド
    二 スレブレニツァのボシュニャク人とセルビア人
    三 ジェノサイドの開始
    四 虐   殺
    五 民族浄化とジェノサイドの違いは何か
    VIII 内戦のメカニズム
    一 「殺し合う市民」と他者への恐怖
    二 メジュゴーリエの小戦争
    三 内戦と組織犯罪者
    四 民兵と脱階級者たち
    五 民兵と「普通の市民」たち
    六 カオスの民族化
    あとがきにかえて――戦後のボスニアとジェノサイド言説
    文庫版あとがき 
    注 記 
    索 引

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