物語としての歴史 歴史の分析哲学
出版社: 筑摩書房
- 生起し続ける出来事をいかに記述するか。〈物語文〉という概念を基軸に、歴史的な思考と言語のあり方を解き明かした記念碑的名著。解説 野家啓一
- 生起し続ける出来事をいかに記述するか。それを歴史としていかに認識し、語り継ぐのか。出来事や事実は、歴史において時間関係として組織化されるが、そこに密接に関与するのが「物語」である。物語は、出来事の原因、結果の継起的必然性、偶然的生起、連続的持続、未来の予期を含む方向性などの論理関係を示し、出来事を時間関係として捉える。本書は、こうした「歴史的知覚」を促す物語文という概念を基軸に、歴史的な思考と言語のあり方を解き明かす。ヘイドン・ホワイトの『メタヒストリー』とともに、ヘーゲル以降の歴史哲学にパラダイム・シフトをもたらした記念碑的名著。
- 序 文
第1章 実在論的歴史哲学と分析的歴史哲学
第2章 歴史の最小特性
第3章 歴史的知識の可能性に対する三つの反論
第4章 検証と時制
第5章 時間的懐疑主義
第6章 歴史的相対主義
第7章 歴史と時代編年史
第8章 物語文
第9章 未来と過去
第10章 歴史的説明と一般法則
第11章 物語の役割
第12章 歴史的理解と他の時代
第13章 方法論的個体主義
原 注
訳者あとがき
文庫版への訳者あとがき
解説 二つの「言語論的転回」の狭間で(野家啓一)
人名・事項索引