
愚図の英断
出版社: 笠間書院
- 日本国憲法施行後初めて、国会で選ばれた首相であり、吉田茂に怖れられ、マッカーサーに愛された昭和のキーパーソン、片山哲を描く。
昭和100年、戦後80年の今年、昭和史の隠れたキーパーソンが注目されている。
戦後まもなくの昭和22年6月~23年2月に総理の任にあった片山哲(第46代首相)の生涯がノンフィクション仕立てで初めて描かれた。
日本国憲法施行後初めて国会で選ばれた首相・片山は、日本政治史上初の社会党・クリスチャン総理だった。占領下で日本の民主化を着々と進めたが、在任期間が短かったためにこれまでほとんど注目されてこなかった。在任中には「グズ哲」という芳しからぬあだ名も付けられた。
しかし、昭和史の中でその功績を見直すために本書は執筆された。
GHQの支配下にありながらも日本の主権を護り、民主化改革を次々と実現、平和国家として日本を再建していった片山内閣は、現代の日本に大きな影響を残した。もし、片山が舵取りを間違っていたら、日本はアメリカの51番目の州になったか、ソ連の管理下で共産化されていたかもしれない。
さらに護憲運動とともに、政界の浄化を生涯のテーマとして取り組んだ片山の政治家としての姿勢は、現代にも学ぶべき点が大きい。
本書は、片山の出身地である和歌山県の『紀伊民報』に著者が昨年から今年にかけ連載した長編小説を加筆修正し単行本化した。
史実に基づき、片山の思い、行動を「英断」としてヴィヴィッドに描き、連載中から「ぜひ出版を」という声が寄せられていた。
発刊にあたり、歴史に埋もれた偉人の足跡に光が当て直されることを願う。
目次
序章
第一章 白き砂と十字架
第二章 師と同志と
第三章 闘いと蹉跌
第四章 廃墟から立つ
第五章 難産の政権
第六章 理想と試練
第七章 内閣崩壊
第八章 愚図の遺産
終章