歴史学はこう考える
出版社: 筑摩書房
- 世のため、人のため、あるいは悪のため、歴史は「道具」になることがある。正しく学ぶため歴史家が築いてきた理屈を学ぼう。
- 史料とは何か? 解釈が複数になるのはなぜ? 安易な議論に振り回されないために、歴史家が築いてきたこれらの理屈を学べば、歴史の解像度がもっとあがる!
- 史料の山に埋もれ、ひたすら解読している? 過去の出来事の是非を論争する? このようなイメージがある歴史学では実際に何が営まれているのか。明らかしたいのは様々でも、歴史学には共通のプロセスがある。史料とはなにか。それをどう読んでいるのか。そこからオリジナルな議論をいかに組み立てるのか。歴史について語る前に、最低限知っておきたい考え方を解説する。
- はじめに――歴史家は何をしているのか
第一章 歴史家にとって「史料」とは何か
1 根拠としての史料
2 記録を残す
3 記録を使う
4 歴史学と文書館
第二章 史料はどのように読めているか
1 史料の引用と敷衍――史料批判の前に
2 逓信次官照会を読む――「史料があること」が「何かがおこなわれたこと」を示す場合
3 新聞記事を読む――史料に書いてあることをどの程度疑うか
4 御成敗式目を読む――史料の書き手と歴史家の距離
第三章 論文はどのように組み立てられているか(1)―― 政治史の論文の例
1 歴史学の論文と歴史研究の諸分野
2 政治史の叙述――高橋秀直「征韓論政変の政治過程」
3 政治史叙述の条件
第四章 論文はどのように組み立てられているか(2)――経済史の論文の例
1 マルクス主義的経済史
2 経済史の叙述――石井寛治「座繰製糸業の発展過程」
第五章 論文はどのように組み立てられているか(3) ―― 社会史の論文の例
1 社会史のなかの運動史
2 社会史の叙述―― 鶴巻孝雄「民衆運動の社会的願望」
第六章 上からの近代・下からの近代 ―― 「歴史についての考え方」の一例
1 歴史についての考え方と時代区分
2 「近代」、このやっかいなもの
3 歴史研究との向き合い方