
KOKKO第60号
出版社: 堀之内出版
- [第一特集]分断に抗する労働運動──米国・スウェーデン・韓国の実践から
脇田滋/天池洋介/布施恵輔
●日本も例外でなくなった極右の台頭
7月20日投開票された参院選。「参院選で極右政党が台頭、『日本人ファースト』で議席拡大」(英BBC放送)、「有権者のポピュリズムを扇動したともいえる極右新党の参政党が排外主義的な政策を掲げ、歴史的な得票率を達成した」(仏ルモンド紙)など、海外主要国のメディアから参院選での参政党躍進について「日本の右傾化」を警戒する見方が相次いでいます。そして、米ニューヨーク・タイムズ紙は、参政党代表の神谷宗幣氏が「感情に訴えるテーマや常識を覆す言葉の多くをトランプ氏から学んだ」「自分こそが日本版トランプに最も近い存在だ」とインタビューに答えたことを報道しています。今号の第一特集は、トランプ政権下のアメリカや、非常戒厳により混乱した韓国など、かつてない激しい分断の動きが世界各国で起こっているもと、これに抗する労働組合の具体的な奮闘を知りたいと思い企画したものです。ややもすると他の国の話で終わりがちでしたが、まったくひとごとではなく私たちに差し迫る問題を考える第一特集になりました。
[第二特集]公務員の労働時間
●公務職場に魅力を取り戻すには
公務志願者の減少と離職の増加、「公務員離れ」と言われる人材確保の危機について、政府や人事院は危機意識を表明し、能力・実績主義の強化や抜擢人事の拡大によって公務職場の競争力を増そうとする施策を打ち出しています。
一方、2025年4月から国の職場でも「フレックスタイム制のさらなる柔軟化」が措置され、テレワークや勤務間インターバルなどの制度導入も進んでいます。
しかし、政府の定員削減方針による慢性的な人手不足のもと、労働時間や残業時間の短縮・削減は進んでいません。長時間労働は変わらないまま労働時間だけが柔軟化され、職場環境の悪化が公務員離れに拍車をかけています。
本来、業務の重要性に見合う余裕ある人的体制、ワークライフバランスを実現できる労働時間こそが、公務職場の魅力だったのではないでしょうか。あらゆる産業で労働力不足が深刻な現在、公務の労働時間についてあらためて考えます。 - [第一特集]分断に抗する労働運動──米国・スウェーデン・韓国の実践から
トランプ政権下の米国労働運動
──反撃と連帯の可能性
布施恵輔 全労連国際局長
低賃金と失業、ポピュリズム政治に対抗する
スウェーデンの労働運動
天池洋介 大学非常勤講師(岐阜大学など)
韓国における「公共性」実現を求める産別労組
──公共運輸社会サービス労組運動を中心に
脇田滋 龍谷大学名誉教授
[第二特集] 公務員の労働時間
国家公務員の勤務時間をめぐる諸課題
笹ヶ瀬亮司 国公労連中央執行委員
どうなる、どうする、労働基準法
──改正審議の問題点と私たちのなすべきこと
伊藤圭一 元全労連雇用・労働法制局長
給特法をめぐる運動で感じた「教員の働き方を変えよう」という世論
山元幸一 全日本教職員組合(全教)書記次長
[単発]2025年度 予算定員の分析
国公労連調査政策部
[単発]「人事行政諮問会議最終提言」に関する主張などについて(意見)
日本国家公務員労働組合連合会
[連載] スミレとヒマワリ 第22回
高知の旅
──足元からの運動の力
白神優理子 弁護士
[連載] 国家公務員の労働条件Q&A
きほんの「き」から 第48回
カスタマーハラスメント対策について
国公労連
[書評]KOKKOEditor’sBookReview
『日本映画の「働き方改革」』/『ルワンダのガチャチャ裁判』
KOKKO編集部