増補新版 ぼけてもいいよ

増補新版 ぼけてもいいよ

出版社: 西日本新聞社
著者: 村瀨孝生
  • これから介護する人
    介護中の人
    介護が一段落した人へ
    時代が変わっても老いが深まった
    お年寄りの振る舞いは奇想天外、悲喜こもごも。
    〝ぼけ〞への漠然とした不安が和らぎ、
    見方が変わる介護エッセイ
     舞台は認知症対応の通所介護施設「第2宅老所よりあい」(福岡市)。“ぼけのある世界”を生きるお年寄りと著者の村瀨孝生さんらが生み出す豊かな営みを綴った西日本新聞連載を書籍化した『ぼけてもいいよ』(西日本新聞社、2006年)。
     夜中に何度も電話を掛けてきたり、数十キロも離れた家に歩いて帰ろうとするお婆さん。あるときは王様、あるときは料理評論家になりかわるお爺さん。布団の中で涙を流しながら「まだ私にもできることがあると思うの」と自問自答を繰り返すお年寄り…。
     同施設で繰り広げられるエピソードは時にこっけいで、時にハードで、時にせつない。
     当時、40代だった村瀨さんは老いが深まるお年寄りを敬意と愛着を持って見つめ、時間をかけて寄り添う日々を送っていた。“ぼけの世界から透けて見えてきたもの”を書き綴った連載は大きな反響を呼んだ。
     前著から約20年。還暦を迎えた村瀨さんは自身の老いを顕著に感じるようになり、人生の先輩たちとの日々を振り返る。その中で「自分はどう老いていくのか」を模索する。さらに、認知症状が現れた実母の介護が始まった。介護のプロが肉親をケアする難しさを痛感している。本書はこのような心境を書いた西日本新聞連載「VIVA! 耄碌」(2024年4~6月)を増補し、書き下ろしを加え、再構成したもの。
     長年にわたり、“ぼけの世界”を生きる人を温かく見つめ、老いを歓迎しない社会を俯瞰的に捉えてきた村瀨さん。誰にでも訪れる老いとその先にある別れをどう捉え、受け止めるのか。そのヒントが詰まった一冊。
  • 2P はじめに
    10P 今ここ 谷川俊太郎
    13P 第一章 まじめでこっけいな世界 つながることで笑いあえる
     14P 高齢者は拉致被害者?
     16P 「永遠の愛」を求めて
     17P 疲れ果てるまで歌い続ける
     19P 出会いとロマンス、永遠に
     21P 長いようで短い時間
     22P 話題は転々……会話は弾む
     24P 1日1回の大笑い
     26P その存在が周りを動かして
     27P 「結びつき」を喜びに
     29P 他者とつながった瞬間
     31P 湯飲みをキャッチする営み
     32P 接触こそが生活を豊かに
     34P 委ね上手になった、あの人
     36P 薬では解決できないこと
     38P 子と同じ「寝ない攻撃」
     39P 時にはひっつき、時には離れ
     41P 逆転現象、不思議な気分
     43P いかに夜の葛藤があったか
     44P 戦争体験だけは消えない
     46P 希望はつながることで
    49P 第二章 この瞬間を大切に その人らしさに付き合う
     50P みんな、なぜ「家」を目指すか
     51P 何かに集中できる時間を
     53P 僕はツキアイタイ!
     55P 君はどこに行くのかね
     56P 歩き疲れた後の心地
     58P 探し回って日が暮れて
     60P 一体、僕は何者?
     61P 「わたくしのアレです」
     63P 実は支えの「終わりない歌」
     65P 「理解しがたさ」ばかり見ない
     66P 解決しないことに付き合う
     68P 「……ねばならぬ」の窮屈
     70P 大切な〝変えないこと〟
     71P 確かな「この瞬間」こそ
     73P 「白い犬の家に行けない」
     75P 五郎さんはしゃべる
     77P 必死さに折れてくれる
     78P 怒りと悲しみでつながる
     80P 自分らしさはひとつひとつに
    83P 第三章 そのとき、家族は 介護者だからできる寄り添い方
     84P うり二つ、血は争えない
     85P 家族も知らない一面
     87P そうだ、来年も鎌倉に行こう
     89P 息子や娘が安心すること
     90P 機嫌よく笑顔で帰ること
     92P 気遣いに気づかされて
     94P 日々の習慣を尊重すること
     95P 感動が多いのはどちら
     97P 寂しさと達成感にあふれ
     99P 今でも島で暮らす人
     100P 「必要なこと」への共感こそ
     102P 若返って生まれるゆがみ
     104P 本気で怒り、喜べる尊さ
     106P 関係を取り戻した瞬間
     107P 元気をもらうということ
     109P 「豊かに生きること」とは
     111P 周りにみんなが集う日
     112P 人は最期まで生きる
    115P ぼけてもいいよ 老いを受容すること
     116P 仲間がいることの幸せ
     117P お互い気にかけること
     119P お出ましか否かに一喜一憂
     121P 威厳をもって仕切って
     122P 僕たちにくれた「時間」
     124P 全く違う時間の流れ
     126P 終止符を打つのは彼女自身
     127P 個人をも超えた存在
     129P 「君たちはやりすぎだ」
     131P 満たされたか、否か……
     132P 「だまし討ち」の後ろめたさ
     134P 言葉はつながるために
     136P 受容と添い続けること
     137P 「若々しく」の強迫観念
     139P 必要な時間を保障すること
     141P 「声なき声」に耳を傾け
     142P 予防より、共感の世界こそ
     144P なぞを解こうとして……
     146P 知的な五郎さんの勘違い
     147P 衰えることの自然さ認める
     149P 「失う苦痛」に向き合う先に
     151P 当事者たちが集う場の力
     152P 排除は、排除を呼んでいく
     154P 老いをそのまま認めること
     155P ともに笑えることの希望
     157P 泣いて笑って 効率化社会を阻止 「共感」の介護が希望を生む
    161P 第五章 母と僕と、ときどき父 情実を交える介護の先へ
     162P 峠のスピード狂
     164P 「速く」という呪い
     166P 母の混乱ステージ
     168P 母と鶏肝煮
     170P 寝たきりの達人
     171P むくんだ右手
     173P 片足のミッション
     175P 休み休み生きる
     177P 物に囲まれて
     179P 腐りかけの旨さ
     181P 緑にのまれる
     182P 僕の中の暴力性
     184P 母と息子の敗北
     186P マリの最期
     188P 生き仏
    191P 第六章 VIVA! 耄碌 老いを愛でる日々
     192P 「ぼけた」と言われたい
     193P 憶えているふり
     195P お爺ちゃんの証明
     197P 「できない」の味わい
     199P お迎えが来た小臼歯
     200P 彼が抜けた後
     202P 還暦を迎える
     204P 「隠居」で広がる世界
     206P 蘇った罪悪感
     208P 熟練の舌使い
     210P 上手く言えないこと
     211P 道に迷う
     213P マスターミックス
     215P スマホに奪われたもの
     217P アンチ「タイパ」
     219P パン屋に馴染む
     220P 「老廃物」とは……
     222P 介護の技術革新
     224P コントロール
     226P 季節の中で息をする
     228P 歯茎だけになっても
     230P 老体の弛みと凄み
     232P チャチャの尊厳
     234P 他者への肯定感
     236P 生きる者の営み
     238P 「いま」を生きること
     239P 複数の時間軸
     241P 老いるという修業
     243P 未来の気持ち
     245P 「介護予防」の危うさ
     247P 潮時
    250P 「いま、ここ」を生ききる
    268P おわりに

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