非占有動産担保の競合
出版社: 九州大学出版会
- 最高裁が判示している非占有動産担保の3つの競合類型における法律関係について、ドイツ法との比較法的考察を通して解明を試みる。
- 非占有動産担保が同一の動産上に複数競合した場合、各担保権者の優劣の決定が求められる。本書は、これまでに最高裁が判示している3つの競合類型における法律関係について、ドイツ法との比較法的考察を通して解明を試みる。
- 現在の取引社会では、動産先取特権、譲渡担保、所有権留保といった非占有動産担保が多用されているが、これらの非占有動産担保が同一の動産上に複数競合した場合には、各担保権者の優劣を決定することが求められる。本書は、非占有動産担保の競合のうち、これまでに最高裁が判示している3つの競合類型(複数の譲渡担保の競合、譲渡担保と動産先取特権の競合、所有権留保と譲渡担保の競合)における法律関係につき、ドイツ法との比較法的考察を通して解明することを試みるものである。著者が平成28年度に提出した博士学位請求論文に加筆修正を加え、最新の判例にも対応するなど、令和新時代における動産担保研究の発展に大きく貢献する一冊となっている。
- はしがき
はじめに
第1章 複数の譲渡担保の競合
序 論
第1節 ドイツの法状況
1.序説
2.一般論
3.領域譲渡担保
4.本節の小括
第2節 日本の法状況
1.序説
2.従来の学説状況
3.最高裁平成18年判決
4.学説の評価
5.本節の小括
まとめ
第2章 譲渡担保と動産先取特権の競合
序 論
第1節 ドイツの法状況
1.序説
2.搬入前の譲渡担保
3.搬入後の譲渡担保
4.領域譲渡担保
5.本節の小括
第2節 日本の法状況
1.序説
2.最高裁昭和62年判決
3.学説
4.本節の小括
まとめ
第3章 所有権留保と譲渡担保の競合
序 論
第1節 ドイツの法状況
1.序説
2.期待権の譲渡可能性
3.期待権の譲渡禁止特約の効力
4.期待権の取得者の保護
5.本節の小括
第2節 日本の法状況
1.序説
2.裁判例1 大審院昭和13年判決
3.裁判例2 東京地裁昭和52年判決
4.裁判例3 最高裁昭和58年判決
5.裁判例4 東京地裁平成5年判決
6.裁判例5 最高裁平成30年判決
7.本節の小括
まとめ
第4章 私 見
序 論
第1節 複数の譲渡担保の競合
1 譲渡担保の重複設定の可否
2 後順位譲渡担保権者が有する権利内容
第2節 譲渡担保と動産先取特権の競合
1 最高裁昭和62年判決の射程と問題点
2 解決のための試論 2つの方向性からの検討
3 担保権の実行手続における取り扱い
第3節 所有権留保と譲渡担保の競合
1 最高裁昭和58年判決の理解
2 留保目的物に対する譲渡担保権の取り扱い
おわりに