
DVに対する国家の介入
出版社: 信山社出版
- DVは「支配」であるという視点から、DV防止法制定以後、改正に至るまでの法実践を振り返り、法改正理由と意義・課題について考察
- DVは「支配」であるという視点から、DV防止法制定以後、改正に至るまでの法実践を振り返り、法改正理由と意義・課題について考察。
- ◆DVの本質は「支配」である ー 第一人者がDV防止法改正の意義と課題を基礎理論から考察◆
DVは「支配」であるという視点から、DV防止法制定以後、改正に至るまでの法実践を振り返り、法改正が必要とされた理由と法改正の意義と課題について考察。DVに対する警察の介入のあり方と今後の課題についても検討を加えた、ドメスティック・バイオレンス(DV)法の分野を長く牽引してきた弁護士による待望の書。 - 『DVに対する国家の介入』
小島妙子(弁護士) 著
【目 次】
・はしがき
◇序
🔷第1章 DV被害の現状
1 は じ め に
2 配偶者からの暴力の被害経験
(1) 配偶者から暴力被害の有無
(2) 配偶者からの暴力による影響
3 DV相談の現状
(1) 配偶者暴力相談支援センターへの相談
(2) 「DV相談+(プラス)」における相談件数及び相談内容
(3) 警察における配偶者からの暴力事案の相談件数及び相談内容・DV犯罪の検挙件数
(4) 女性相談支援センターによる一時保護
(5) 保護命令の発令状況
🔷第2章 DVの本質
1 は じ め に
2 DVの本質―「力」/「支配」
(1) 「同一集団」とは
(2) 「力」関係
3 キテイにおける「依存」・「依存労働(ケア)」・「支配」
(1) 「依存」・「依存労働」・「支配」
(2) 「ケア」―社会的正義
4 水谷英夫における「依存」「支配」「ケア」「自己決定」
(1) ホッブスの人間像
(2) 正義論が想定する自己決定能力と現実の人間像の乖離
(3) 家族とジェンダー
5 フレーザーにおける「従属」―「生産」「再生産」の割当て
(1) 「商品生産」と「社会的生産」の分離
(2) 「商品生産」と「社会的生産」の割り当て
6 フェミニズム法理論と「支配」
(1) フェミニズム法理論―「女性の従属」「不平等」の解消をめざす
(2) リベラル・フェミニズム
(3) ラディカル・フェミニズム―「性支配」―「家父長的支配」
(4) 公私二元論と「家族」/「暴力」
7 DVと児童虐待―「被害者」が「加害者」「加担者」へ
(1) 2023年DV防止法改正の契機
(2) 千葉県野田市児童虐待死事件
(3) 東京都目黒区町田虐待死事件
(4) 権力の偏重―「被害者」が「加害者」に
(5) DVと児童虐待のプロセス―「加害者」「加担者」「黙認者」「反対者」
🔷第3章 DV防止法の制定とその後の展開
1 DV防止法の制定(2001年制定)
(1) DV防止法制定の意義
(2) 「配偶者からの暴力」の定義
(3) 保護命令制度(制定時)
(4) 配偶者暴力相談支援センター
(5) DV防止法の複合的構造―2種類の暴力概念
(6) 警 察
(7) 福祉事務所
(8) 主要なアクター
(9) 配偶者からの暴力の発見者による通報(6条)
(10) 国および地方公共団体の責務(おびただしい数の特例措置)
2 2004年改正(第1次改正)抜本的改正―DV防止法の骨格の形成
(1) 「配偶者からの暴力」の定義の拡大
(2) 保護命令制度の拡充
(3) 自立支援の明確化
(4) 警察本部長の援助
(5) 2004年改正の評価―DV防止法の根本的改正
(6) 性の中立的な概念―運用との乖離
3 2007年改正(第2次改正)
(1) 保護命令制度の拡充
4 2013年改正
5 2019年改正
🔷第4章 2023年DV防止法改正
1 改正が必要となった理由
(1) 保護命令制度の問題点
(2) DV被害者の多様なニーズに応える法対策の欠如
(3) 加害者更正のための指導及び支援―「逃げない」DV対策としての加害者プログラムが進展していなかったこと
(4) DV対応と児童虐待対応の連携についての課題
(5) DV防止法改正の契機
2 改正の概要
(1) 改正のポイント
(2) 接近禁止命令の拡充
(3) 退去等命令の期間の特例の創設(10条の2)
(4) 保護命令違反の罰則の強化(29条)
(5) 保護命令制度以外の改正
(6) 附 帯 決 議
3 改正の意義
(1) 保護命令制度の大転換―暴力は「支配」というDVの本質に着目した改正
(2) 保護命令制度の拡充
4 今後の課題
(1) 接近禁止命令
(2) 退 去 命 令
(3) 保護命令までの暫定的な命令の導入―緊急時保護命令
(4) 申立の手続の簡略化
🔷第5章 DVに対する警察の介入―「警察の基本的使命」
1 問題の所在
2 DV防止法,ストーカー規制法の成立と警察の「介入」
(1) 国家の刑罰権の行使
(2) DV防止法,ストーカー規制法の成立と警察の「介入」
3 警察の「介入」をめぐる論争―戒能・小田中論争
4 生活安全警察
5 生活安全相談
6 DV防止法,ストーカー規制法の制定と生活安全警察の拡大―その評価
(1) 広中俊雄―「市民のための警察」
(2) 小田中聰樹・川崎英明―権力統制的安全観 vs 人権的自律的安全観
7 国家組織としての警察の在り方の変容―警察権の限界論
(1) は じ め に
(2) 警察の概念
(3) 警察の責務
(4) 新たな警察権の限界論―自己責任/他の国家機関との関係(補完性の原則)(藤田)
(5) 警察権の限界論―現行法の中に再定位する試み(米田)
(6) 「市民のための警察」(広中) vs 警察の「本来的権力性」(小田中)
(7) 警察の権力性―広中への批判
(8) 「行政警察活動の拡大」―私人間の紛争への介入(櫻井)
(9) 子ども法と警察(横田)
8 ストーカー規制法の制定とその後の展開
(1) は じ め に
(2) 第2次改正の内容
(3) 禁止命令制度
(4) ストーカー事案に対する警察の「適切な」介入
(5) 禁止命令制度―第3次改正(2021年施行)
9 今後の課題
(1) 警察組織や警察官の意識の変革
(2) 「自己責任の原則」―「本人の意思の尊重」
(3) 緊急時保護命令制度の創設
(4) 警察と他の行政機関との連携
10 家族に対する公権力の介入―憲法24条をめぐって
(1) 近代家族と「個人の尊厳」―憲法24条の解読
(2) 家族の中の『弱者』の保護において発現する憲法的価値―「憲法24条の意義」
(3) 憲法24条の規範的要請と社会保障制度のあり方
◇跋
1 2023年DV防止法改正
2 DVに対する警察の介入
・参考文献
・索 引 - 増田幸弘・三輪まどか・根岸忠 編著;0301;04;日常生活の中で問題となるホットな話題に、その問題の現状と背景、根幹に潜む原因と解決策の手がかりを提示。好評書の最新第3版。;20211101
