
消費者契約と透明性
出版社: 信山社出版
- 消費者契約における契約条項の透明性の要請の実効性を確保するには、いかにして契約内容を確定すべきか。フランス法を素材に考察する
- 消費者契約における契約条項の透明性の要請の実効性を確保するには、いかにして契約内容を確定すべきか。フランス法を素材に考察する。
- ◆透明性の要請と契約内容の確定作業のあり方◆
消費者契約における契約条項の透明性の要請の実効性を確保するためには、いかにして契約内容を確定すべきか―不明確な契約条項につき、消費者に最も有利な意味で解釈する旨の規定を契約条項の透明性の要請に係る義務違反に対するサンクションとしての性格を有するように運用しているフランス法を検討の素材として、契約条項の透明性の要請と契約内容の確定作業のあり方を考察する。 - 『消費者契約と透明性』(学術選書)
酒巻修也(青山学院大学法学部准教授) 著
【目 次】
・はしがき
🔷序論 問題の所在
・はじめに
🔷第1章 一方当事者に不利な解釈準則の位置づけとその課題
第1節 本章の課題
1 課題の設定
2 叙述の順序と課題の限定
第2節 債権法改正と一方当事者に不利な解釈準則
1 約款および消費者契約における条項使用者不利の原則の導入とその劣後性
2 法制審議会における議論の概要
3 契約一般における劣後性の意義
第3節 消費者契約と一方当事者に不利な解釈準則
1 日本の裁判例における位置づけの不明瞭さ
(1)最判平成13・4・20民集55巻3号682頁
(2)最判平成19・6・11判時1980号69頁
(3)最判平成26・12・19判時2247号27頁
(4)東京地判平成16・9・15判例集未登載
(5)小 括
2 消費者契約法専門調査会における議論の概要
(1)消費者契約法への条項使用者不利の原則の導入とその諸課題
(2)劣後性を備えた条項使用者不利の原則の提案
3 位置づけの不明瞭さに関する2つの視点
(1)契約一般における契約の解釈の捉え方の不一致
(2)消費者契約の特殊性というもう1つの視点
(3)小 括
第4節 本章のまとめ
🔷第2章 本書の目的と構成
第1節 本書の目的
第2節 本書の構成
🔶第1部 フランス消費法における契約内容の確定作業のサンクション化
🔷第3章 消費者契約における一方当事者に不利な解釈準則の位置づけとその意義
第1節 本章の課題
1 日本法の状況
2 混迷の原因と課題の設定
第2節 フランス消費法典における消費者等に有利な契約解釈規定とその運用
1 消費法典L.211-1条の概要
2 劣後性を否定する破毀院判決の登場
第3節 フランス消費法典L.211-1条2項の意義
1 消費法典L.211-1条2項の運用の特徴
(1)契約一般における契約解釈の場面
(2)消費法典L.211-1条2項に関する破毀院の運用の特徴
2 フランス消費法典L.211-1条2項の性格
(1)消費法典L.211-1条2項と広義のサンクション
(2)一方当事者に不利な契約解釈と表意者の義務
第4節 本章のまとめ
🔷第4章 消費法典上の濫用条項規制における契約内容の確定作業と契約条項の透明性の要請
第1節 本章の課題
1 日本法における契約条項の不明確さと消費者契約の解釈,不当条項規制
2 分析の視角
第2節 フランス消費法典における契約条項の透明性の要請
1 契約条項の透明性が考慮される2つの場面
2 契約条項の透明性の要請と濫用的特徴との関係における混迷の要因
(1)消費法典L.212-1条3項の意義
(2)消費者契約の解釈規定の特徴
3 小 括
第3節 フランス法における消費者契約の内容の確定と評価との関係
1 消費者契約における契約内容の確定と評価との区別と契約解釈の先行性
(1)消費者等に有利な契約の解釈規定の性格
(2)濫用条項規制における契約条項の不明確さの考慮の否定
(3)小 括
2 消費者契約における契約内容の確定と評価の区別の難しさ
(1)契約条項における不明確さと濫用条項規制との連関
(2)消費者契約における契約内容を確定する作業のサンクション化
(3)小 括
第4節 本章のまとめ
🔶第2部 契約条項の透明性の要請と契約内容の確定のあり方
🔷第5章 消費者契約法による不当条項規制と契約条項の透明性の要請
第1節 本章の課題
1 消費者契約法と契約条項の透明性の要請
2 課題の設定
(1)本章の課題と2つの視点
(2)課題の限定
第2節 契約条項の透明性と消費者契約の解釈
1 契約条項の不明確さと条項使用者不利の原則
2 消費者に有利な解釈準則の位置づけ
(1)消費者契約法3条1項1号と消費者に有利な解釈準則の劣後性
(2)消費者に有利な解釈準則に関する劣後性の否定
3 契約内容の確定と不当性評価の区別の難しさ
4 消費者に有利な契約解釈による解決の妥当性
5 小 括
第3節 契約条項の透明性と消費者契約法上の不当条項規制
1 消費者契約法10条の判断構造と契約条項の明確さ
2 不当条項規制における契約条項の透明性の考慮のあり方
(1)不当条項規制における契約内容の確定と契約条項の透明性
(2)消費者契約法10条後段要件において契約条項の透明性を考慮する可能性
3 小 括
第4節 本章のまとめ
🔷第6章 消費者契約法上の不当条項規制における契約条項の透明性の考慮とその抽象性
第1節 本章の課題
第2節 契約条項の透明性の要請違反による不当性への影響と抽象的評価
1 契約条項の透明性の要請と不当性評価
(1)契約条項の透明性の要請に係る事情とその特徴
(2)不当条項規制において契約条項の透明性を考慮する必要性
2 契約条項の透明性の要請と抽象的評価
3 小 括
第3節 消費者契約法上の不当条項規制による制約
1 消費者契約法上の不当条項規制の役割と契約条項の透明性の要請
(1)個別具体的な事情と判例による考慮事情の範囲
(2)契約条項の透明性に関連する個別具体的な事情の考慮の是非
2 個別訴訟・適格消費者団体による差止訴訟における契約条項の透明性の要請の位置づけ
(1)平成24年最判における約款外の運用の考慮をめぐる議論
(2)個別訴訟・適格消費者団体による差止訴訟の目的と契約条項の透明性の要請
3 小 括
第4節 本章のまとめ
🔷第7章 消費者契約の内容確定のあり方に関する一試論―契約条項の透明性の要請の実効性確保と契約解釈,不当条項規制
第1節 本章の課題
第2節 消費者契約法3条1項1号の内実と意義
1 消費者契約法3条1項1号の内実と抽象的評価
(1)契約条項の明確さの欠如と消費者への影響
(2)契約条項の透明性の要請と抽象的評価
(3)小 括
2 契約条項の透明性に係る事業者の努力義務と法的効果の過剰性
(1)消費者契約法3条1項1号の意義
(2)消費者契約法3条1項1号と事業者に対する過剰性の要因
(3)小 括
第3節 契約条項の透明性の要請と契約内容の確定作業のあり方
1 契約解釈による解決における契約内容の確定作業と個別性
(1)契約内容の形成化と消費者契約の特徴の考慮
(2)消費者契約法3条1項1号と契約解釈による解決
(3)小 括
2 不当条項規制における契約内容の確定作業と抽象性
(1)不当条項規制における考慮事情の範囲
(2)不当条項規制における契約条項の内容確定作業の特徴
(3)小 括
第4節 本章のまとめ
🔶総括 消費者契約における透明性の要請と契約の内容確定
Ⅰ フランス消費法における契約内容の確定作業のサンクション化
1 消費者契約の解釈と破毀院によるコントロール
2 濫用条項規制における内容確定作業と濫用的特徴の評価との連関
3 日本法における受容可能性
Ⅱ 契約条項の透明性の要請と契約内容の確定作業のあり方
1 不当条項規制における契約内容の確定作業の抽象性
2 契約解釈における契約内容の確定作業の個別性
3 残された課題
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