婦人保護事業から女性支援法へ
出版社: 信山社出版
- 困難に直面する女性を支えるための「女性支援法」の制定を目指す取り組み。婦人保護事業の現状と課題を分析、改革の方向性を示す。
- 困難に直面する女性を支えるための「女性支援法」の制定を目指す取り組み。婦人保護事業の現状と課題を分析、改革の方向性を示す。
- 困難に直面する女性を支えるための新たな支援のしくみ「女性支援法」の制定を目指す取り組み。DV、性暴力、性搾取、貧困、孤立、そしてそれらに対する支援から遠い女性たち。コロナ禍でこれらの支援ニーズは非常に高い。新法の制定に向けて、婦人保護事業の現状とその課題を分析し、改革の方向性を示す、新法制定に向けての推進力となる必読の一冊
- 『婦人保護事業から女性支援法へ―困難に直面する女性を支える』
戒能民江(お茶の水女子大学名誉教授)・
堀 千鶴子(城西国際大学福祉総合学部福祉総合学科教授) 著
【目 次】
はじめに
◇第一部 婦人保護事業の六〇年とその限界◇
第一章 婦人保護事業の創設と売春防止法
1 公娼制度の廃止と「闇の女」対策
(1) 性的慰安施設RAAの設置―敗戦後の集娼制の幕開け
(2) 公娼制度から私娼黙認制度へ―公娼制度廃止が意味するもの
(3) 「闇の女」の増加と対策―次官会議決定にみる買売春体制の再編と対策
(4) 「婦人保護要綱」による対策
2 売春防止法の制定と婦人保護事業の誕生
(1) 勅令九号の国内法化運動と運動団体
(2) 最初の「売春等処罰法案」の提出―第二国会への政府提案
(3) 第一五国会への法案提出前後の動向
(4) 第一九国会法案提出前後の動向
(5) 第二二国会から売春防止法成立への動向
(65) 婦人保護事業の誕生
第二章 婦人保護事業の六〇年
1 婦人保護事業の危機と対象範囲の拡大
(1) 売春防止法成立直後から見えてきた課題
(2) 相談主訴からみる対象者の変化―売春から生活問題へ
(3) 対象者規定の拡大―「要保護女子」の拡大解釈
(4) 度重なる危機
2 DV防止法の根拠法化と婦人保護事業の混迷
第三章 婦人保護事業の現在
1 婦人相談所
(1) 設置状況
(2) 婦人相談所の業務規定
(3) 相談支援業務
(4) 婦人相談所の支援体制
(5) 一時保護所
2 婦人相談員
(1) 婦人相談員の規定と業務目的
(2) 婦人相談員数と専門性―非常勤・兼務、配属機関での位置づけ
(3) 婦人相談員の業務
3 婦人保護施設
(1) 基本方針及び目的
(2) 設置経営主体別状況
(3) 婦人保護施設数・定員数・在所者数
(4) 職員体制
(5) DV防止法施行以後の支援提供の難しさ
4 婦人保護事業の現在
◇第二部 女性支援法の制定に向けて◇
第一章 動き出した「女性支援法」
1 厚生労働省「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」に至るまで
(1) 婦人保護事業改革の動き
(2) 国会議員を動かした現場の声―全婦連の立法運動の軌跡
2 「困難な問題を抱える女性へ支援のあり方に関する検討会」の設置
(1) 与党国会議員の提言―二〇一六年「一〇の提言」
(2) 「検討会」の特徴
第二章 一〇項目の運用改善
1 運用改善事項の検討
(1) 「検討会」における「運用面での改善事項」の議論
(2) 与党PT「見直し」提言
2 運用見直しの方針
(1) 全体の構成と評価
(2) 運用改善策の評価
3 他法他施策優先取扱いの見直し
(1) 見直しの経緯と背景
(2) 見直しの内容と課題
4 一時保護委託の対象拡大と積極的活用
(1) 一時保護委託の問題点
(2) 改善内容と留意事項
5 携帯電話等の通信機器の使用制限等の見直し
(1) 規則の実態と問題点
(2) ガイドラインの策定と共同生活のルール
6 「婦人保護事業実施要領」の見直し
(1) 「実施要領」の問題点
(2) 「実施要領」でただちに修正すべき点
第三章 「中間まとめ」
1 検討会の議論
(1) 議論のポイント
(2) ワーキンググループの議論と提案
2 中間まとめについて
(1) 中間まとめの趣旨および意義
(2) 支援の基本姿勢と支援体制
(3) 関連諸制度・諸機関との連携
(4) 今後の対応
3 「将来イメージ図」
4 中間まとめで触れられなかった点
◇第三部 なぜ女性支援法が必要か◇
第一章 支援が必要な女性たちに支援が届かない
1 支援が必要な女性たちの現状
(1) 婦人保護事業の支援を受けた女性たちの状況
(2) 支援者の視点から
2 支援が届かない理由
(1) 「支援実態調査」から―一時保護制度
(2) 同意がないとは―不同意の任意性
(3) 一時保護制度の見直しを
(4) 制度設計の再構築
3 不十分な連携
(1) 婦人保護事業三機関の連携
(2) 他機関との連携も進んでいない
第二章 売春防止法を法的根拠にすることによって生じる制度的限界
1 特別刑法と婦人保護事業の矛盾
(1) 売春防止法における婦人保護事業
(2) 保護更生と補導処分
(3) 婦人補導院法と婦人補導院処遇規則
(4) 売春防止法を法的根拠にすることに起因する制度的限界
2 行政行為としての婦人保護事業への支援
(1) 措置制度の功罪
(2) 利用者の権利保障
(3) 行政裁量のチェック機能―第三者評価と自己評価
◇第四部 新たな女性支援法の制定をめざす◇
第一章 新法制定にあたっての課題
第二章 新法構想(案)―全婦連プロジェクト・チーム―
引用・参考文献
おわりに
【資料編】
(1) 困難な問題を抱える女性の支援のあり方に関する検討会「中間まとめ」(令和元年一〇月一一日)
(2) 全婦連PT「女性自立支援法(仮称)の必要性とその要点」(平成二八年四月)
(3) 売春防止法
(4) 婦人補導院法
(5) 婦人保護事業実施要領 - 戒能民江・堀千鶴子 著;0301;02;困難に直面する女性を支えるための「女性支援法」の制定を目指す取り組み。婦人保護事業の現状と課題を分析、改革の方向性を示す。;20200901