体罰・暴力・いじめ

体罰・暴力・いじめ

出版社: 青弓社
著者: 松田 太希
  • なぜ、人はスポーツや学校の場で暴力を振るうのか。常勝の目的のもとに指導者も選手も理想像・規律意識に縛られるスポーツの暴力性や、本質的に規範という暴力性をはらんでいる学校教育の姿を、「暴力的存在としての人間」という哲学的な視座から照らし出す。
  • はじめに
    序 章 暴力の記憶
     1 野球の世界で経験した暴力
     2 バレーボールへの転向と子どもへの悲惨な暴力
     3 暴力の記憶にあらがって
     4 糸が切れた
     5 それでもなお
    第1章 暴力に力強く向き合うために重要な事柄
     1 是非論を超えて
     2 スポーツと学校の暴力
     3 暴力(に関わる人間)をどう描くか
     4 暴力の社会哲学の具体的なありよう
    第2章 スポーツの本質に関わる暴力性
     1 スポーツの本質の一側面としての暴力性
     2 指導者はなぜ体罰をおこなうのか
    第3章 指導者―選手関係の暴力性
     1 フロイトの集団心理学への着目
     2 従来の研究への不満
     3 リビドー概念について
     4 集団形成における「ほれこみ」と「同一視」
     5 「ほれこみ」から「理想化」へ
     6 体罰をおこなう心性
    第4章 選手間関係の暴力性
     1 事後的に騒ぐのをやめろ
     2 先行研究の問題
     3 選手間関係の基本構造
     4 フロイトからジラールへ
     5 ジラール暴力論批判
     6 欲望の対象の稀少性
     7 ジラールを超えて
    第5章 科学と暴力からみるスポーツ指導
     1 スポーツ科学への盲信の危険性
     2 スポーツ指導の暴力性/暴力としてのスポーツ指導
     3 スポーツ指導と暴力の交点
     4 超越と暴力
     5 〈たそがれ〉の暴力
     6 再び科学の問題性――科学への拘泥が生み出す暴力への可能性
    第6章 学校教育の本質に関わる暴力性
     1 教育研究における従来の暴力理解
     2 教育と暴力の密約的関係
     3 生徒=自己規律的な主体
     4 「巧みな回収」と生徒の自我の様相
     5 「巧みな回収」を目指す教師――その失敗と暴力への可能性
     6 根源的な暴力性を超えて考えるべきこと
    第7章 教師―生徒関係の暴力性
     1 近代教育と暴力
     2 子どもの他者性の尊重=教育の不可能性の尊重?
     3 教師という存在の本質に関わる暴力性
     4 教師という存在の暴力性とその病理
    第8章 生徒間関係の暴力性
     1 いじめ論のパターン
     2 いじめ論の落とし穴
     3 いじめに関する哲学的考察
     4 諏訪と小浜のいじめ論
     5 「最後の気晴らし」としてのいじめ
    終 章 これからも考えていくために
     1 暴力に力強く向き合うために――本書の考察からいえること
     2 暴力に力強く向き合い続けていくために――今後の課題と展望
    初出一覧
    あとがき

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