
ポジショナリティと〈日沖関係〉
出版社: 明石書店
- 本書は、日本と沖縄の関係における権力構造を「ポジショナリティ」概念から分析する。日本人が主導する〈日沖関係〉において、集団的利害の布置や責任の所在、沖縄に集中する基地問題をめぐる齟齬の背景にあるポジショナリティの隠蔽を明らかにする。平和運動や基地反対運動における日本人と沖縄人の対立の構造を精緻に検討し、共通了解の形成に向けた条件を探ることで、より対等で持続可能な関係構築の可能性を提示する。
- はじめに――日本と沖縄に現れるポジショナリティ
第一章 ポジショナリティを考察する意義――〈日沖関係〉を中心に
1 ポジショナリティを考察する意味
2 集団状況とポジショナリティ
3 権力露現関係とポジショナリティ
4 ポジショナリティの複数性と被投性
第二章 〈日沖関係〉におけるポジショナリティをめぐる齟齬と争点
1 ポジショナリティと当事者性をめぐる齟齬
2 ポジショナリティの呼称をめぐる操作性と政治――「ないちゃー」という呼称をめぐって
3 越境言説――日本人が沖縄人を代弁すること
4 〈日沖関係〉における「怒り」と「憎悪(ヘイト)」
5 ポジショナリティにもとづく共通了解と価値判断
第三章 〈日沖関係〉をめぐるポジショナリティとアイデンティティ
1 ポジショナリティ論の系譜についての簡単な整理
2 集団とポジショナリティ
3 ポジショナリティとアイデンティティをめぐる関係性
4 アイデンティティ概念の整理
5 ポジショナリティとアイデンティティの混同
6 「能動選択的アイデンティティ」の問題
第四章 日本と沖縄についての〈政治〉とポジショナリティ
1 沖縄をめぐる〈政治〉
2 沖縄をめぐる〈不和〉
3 「土人発言」が露わにすること
4 〈不和〉についての残された課題
第五章 日本と沖縄をめぐる分離
1 「沖縄問題」という古くて新しい問題
2 歴史的・社会的文脈からの沖縄の分離
3 「沖縄問題」の域内化
4 「沖縄問題」からの日本人の分離
5 小括
第六章 〈地政学〉をめぐる格差
1 〈地政学〉が果たした役割
2 権力装置としての〈地政学〉
3 日本と沖縄における〈地政学〉格差
第七章 平和をめぐる格差
1 反基地言説における平和
2 平和格差
3 平和をめぐる二つの“構造”
4 ポジショナリティの抹消と「連帯」
第八章 沖縄をめぐる価値判断と依存
1 〈日沖関係〉と価値判断
2 沖縄人の逸脱化
3 〈日沖関係〉と依存
4 模倣と「自律」
5 小括
第九章 ポジショナリティにかかわる責任の構造
1 責任の様態
2 ポジショナリティにかかわる受益責任
3 ポジショナリティにかかわる当事者責任
4 ポジショナリティにかかわる解消責任
5 解消責任の立論手順
6 前提となる言明の定置
7 解消責任のもうひとつの特徴――普遍性
第一〇章 沖縄差別と解消責任
1 解消責任はどのように果たされるのか
2 解消責任の「予期せざる結果」について
3 沖縄差別とポジショナリティ
4 日本人の解消責任と拒否の論理
おわりに
文献一覧
事項索引
人名索引
