日本の朝鮮支配と景福宮
出版社: 明石書店
- 朝鮮王朝の王宮である景福宮はどのような意図をもって建設されたのか。創建後の火災による焼失、豊臣秀吉の朝鮮侵略時の破壊、さらには日本の植民地支配による大規模な毀損など、度重なる改変を経て、現在の復元に至っている。王宮という場の壮大な歴史を描く労作。
- はじめに
第1章 王都漢城の誕生
はじめに
1 仁旺山の禅岩
2 鄭道伝と無学大師
3 太祖の即位
4 村山智順と崔昌祚
5 朝鮮王朝の王都候補・漢陽と鶏龍山
6 朝鮮王朝の王都候補・毋岳と漢陽
7 王都漢城の宮闕・坐向論
8 王都漢城の主山
9 風水の科学性・合理性
10 漢城の城壁と城門
11 漢城内の宮殿
12 漢城の道路と行廊
おわりに
第2章 朝鮮初期の景福宮創建
はじめに
1 創建当初の景福宮の略史
2 『太祖実録』による創建時の景福宮
2-1 内殿
2-2 外殿
2-3 闕内各司
2-4 宮中門
2-5 闕外各司
3 景福宮の完成
4 絵図にみる創建時の景福宮
4-1 残っている絵図
4-2 絵図の作成時期
4-3 絵図と『朝鮮王朝実録』の照合
5 創建当時の景福宮の推定復元図
5-1 杉山信三の復元図
5-2 金東旭の異論
5-3 残された課題
5-3-1 基壇と越台は別の空間
5-3-2 越台の大きさ
5-3-3 正殿と越台の関係の図
おわりに
第3章 壬辰戦争と景福宮
はじめに
1 焼失した景福宮
2 景福宮には誰が火を放ったか
3 『朝鮮日記』の検討
4 『朝鮮日記』と景福宮
5 『京城府史』の記述
6 景福宮はいつ焼失したか
おわりに
第4章 高宗代の景福宮再建
はじめに
1 景福宮に関する研究と史資料
2 『景福宮営建日記』
3 高宗の即位
4 景福宮再建の発議
5 営建都監の仕組み
6 景福宮の再建過程
6-1 大院君の下臨と再建工事の開始
6-2 第1期・第2期の工事と生活圏の建立
6-3 勤政殿などの竣工
6-4 東宮などの再建
6-5 景福宮中心の都城
7 景福宮再建時の労働力問題
7-1 自願軍
7-2 擔募軍
7-3 各色工匠
8 景福宮再建時の財政問題
8-1 願納銭
8-2 売官売職
8-3 当百銭の発行
8-4 建設費の使途
9 再建後の景福宮での出来事
10 高宗代景福宮の最後の姿を示す「北闕図形」
11 「北闕図形」より前に作成された「景福宮配置図」
12 重建された景福宮
おわりに
第5章 19世紀末日本の朝鮮侵略と景福宮
はじめに
1 日清戦争時の景福宮占領事件
1-1 日清戦争開戦前の情勢
1-2 景福宮占領計画の樹立
1-3 景福宮の占領
1-4 景福宮と占領事件
2 明成皇后殺害事件と景福宮
2-1 明成皇后殺害事件という表記
2-2 殺害したのは誰か
2-3 殺害事件は景福宮のどこで起こったか
3 露館播遷と景福宮
3-1 明成皇后殺害事件以後の朝鮮
3-2 日本政府の対応
3-3 駐朝鮮欧米各国公使の対応
3-4 春生門事件
3-5 断髪令と義兵・「高宗廃位説」
3-6 露館播遷へのロシアの対応
3-7 高宗の動き
3-8 李範晋などの役割
3-9 露館播遷の実行
4 大韓帝国期の景福宮
4-1 増築補修された景福宮
4-2 乙巳条約以後の景福宮
おわりに
第6章 始政五年記念朝鮮物産共進会の開催
はじめに
1 物産共進会の開催
2 物産共進会の目的
3 寺内正毅朝鮮総督と物産共進会
4 物産共進会の会場と景福宮
4-1 会場を景福宮に選定した理由
4-2 朝鮮総督府の景福宮認識
4-3 風水と物産共進会会場
5 物産共進会での景福宮の利用
6 物産共進会の会場整備と景福宮の破壊
7 物産共進会の新築展示館
8 新築展示館での「朝鮮」に関する展示
9 景福宮の既存殿閣と物産共進会
10 物産共進会と「博覧会」
11 京城協賛会と観覧客動員
12 京城協賛会の「遊園地」運営
13 美術館展示と朝鮮の文化財
14 庭園に置かれた文化財
おわりに──物産共進会の歴史的評価
第7章 朝鮮総督府庁舎の建設
はじめに
1 統監府の時期と「併合」直後の「庁舎」
1-1 統監府と朝鮮総督府での職員数
1-2 「廃滅」当初の庁舎
2 朝鮮総督府の庁舎建築計画と予算
3 朝鮮総督府庁舎の建築に関わった人物
4 朝鮮総督府庁舎の設計者と時期
5 朝鮮総督府庁舎の建設場所
6 朝鮮総督府庁舎と景福宮の軸線
7 朝鮮総督府庁舎と景福宮・勤政殿の関係
8 朝鮮総督府庁舎の外観
9 総督府庁舎の内部構造
10 大広間の圧倒的迫力
11 総督室と大会議室・玉座
12 総督府庁舎の設備
13 建築工事の進行と直営工事
14 大型石材の調達と運搬
15 総督府庁舎工事の進行過程
16 柳宗悦の光化門移転批判と朝鮮民族美術館の設立
16-1 総督府庁舎工事の進展と『東亜日報』の報道
16-2 柳宗悦と朝鮮の関わり
16-3 柳による朝鮮民族美術館の設立
16-4 柳宗悦の家族関係と朝鮮
16-5 「失はれんとする一朝鮮建築の為に」での主張
16-6 柳宗悦と齋藤実朝鮮総督
17 今和次郎・関野貞による批判
18 光化門の移転
おわりに
第8章 20世紀前半景福宮での共進会・博覧会
はじめに
1 昌徳宮の火災
2 朝鮮副業品共進会
2-1 朝鮮副業品共進会の趣旨
2-2 副業品共進会の担い手
2-3 関東大震災と副業品共進会
2-4 副業品共進会の出品物
2-5 副業品共進会の会場
2-6 副業品共進会と西十字閣の崩壊
2-7 副業品共進会の受賞者
2-8 京城協賛会の役割
2-9 副業品共進会の入場者
3 統計展覧会
4 朝鮮家禽共進会
5 1926年朝鮮博覧会
おわりに
第9章 1929年朝鮮博覧会の開催
はじめに
1 先行研究と資料
1-1 博覧会に関する研究
1-2 朝鮮博覧会に関する研究
1-3 朝鮮博覧会に関する資料
2 朝鮮博覧会の目的とその概要
2-1 開催期間と目的
2-2 各種の展示館
2-3 朝鮮博覧会の入場者と予算
2-4 朝鮮博覧会の会場図
3 朝鮮博覧会の会場と景福宮
4 朝鮮博覧会の開会式
5 朝鮮博覧会の構成
5-1 慶会楼前通り
5-2 慶会楼池の南側
5-3 慶会楼池の西側
5-4 日本生命保険会社噴水塔周辺
5-5 銀座通
5-6 子供の国
5-7 キリンビール塔周辺
5-8 全鮮酒造連合会塔周辺の展示館
5-9 蓮池周辺の展示館
5-10 敬武台区域
6 朝鮮博覧会の区域の特徴
7 朝鮮博覧会の展示館別の特徴
8 朝鮮博覧会の評価
8-1 「新旧」などの二分法の評価
8-2 朝鮮博覧会での「前近代性と近代性」
8-3 展示館の「朝鮮式」「朝鮮色」「朝鮮様式」について
8-4 統治20年の治績での評価
9 朝鮮博覧会と景福宮の毀損
10 京城協賛会と朝鮮博覧会
10-1 京城協賛会の役員
10-2 京城協賛会の財政
10-3 京城協賛会による入場券販売
10-4 観覧客の動員
10-5 博覧会での「子供の国」など「娯楽施設」の運営
おわりに
第10章 1945年解放後の景福宮
はじめに
1 解放後の景福宮に関する研究
2 解放後の景福宮に関する資料
3 解放直後の景福宮
4 景福宮勤政殿の補修工事
5 景福宮の利用
6 米軍政庁と朝鮮総督府庁舎
7 大韓民国政府の樹立と旧朝鮮総督府庁舎・朝鮮戦争
8 国立中央博物館への改変
9 朝鮮総督府庁舎の撤去
9-1 景福宮の変化
9-2 朝鮮総督府庁舎撤去方針の決定
9-3 旧朝鮮総督府庁舎の撤去論争
9-4 朝鮮総督府庁舎の撤去
10 景福宮の第1次復元事業
10-1 復元前の景福宮
10-2 景福宮復元の目的
10-3 景福宮復元の基準年代
10-4 景福宮復元の資料
10-5 景福宮復元「短期計画」
10-6 景福宮復元「起工式」
10-7 景福宮復元事業の進行
11 景福宮の第2次復元事業
12 光化門の復元
おわりに
おわりに