イスラエル vs. ユダヤ人【増補新版〈ガザ以後〉】
出版社: 明石書店
- 二〇二三年年末以降のハマスとの衝突・ガザにおける暴虐について加筆した増補新版。戦闘が周辺諸国へ広がり、世界各地で外国人排斥が熾烈化する中、ユダヤ人ジャーナリストである著者が、イスラエル社会の日常から法制度までを横断し、今後の国際関係を見通す。
- 増補新版への序文――ダヒヤ・ドクトリン:「われわれの世代の運命」
本書を読み解くための基礎知識 前編[高橋和夫]
イントロダクション――埋めることのできない溝
最後まで考えを変えなかった父
袋小路に陥った国
武力で解決できなければ、さらに武力を行使する
イスラエルに魅了された自民族中心主義者たち
第1章 恐怖を植えつける――軍事支配
世界で最も品行方正なイスラエル軍という嘘
倫理観の喪失
台頭するユダヤ版「クー・クラックス・クラン」
テロとの戦いを指導するイスラエル
第2章 プールの飛び込み台から小便する――イスラエルの変貌
事実を否定するのをやめる
アザリア事件が意味すること
無処罰によって粗暴となるイスラエル社会
ファシズムの香り
第3章 血筋がものを言う――ユダヤ人国民国家
「それはイスラエルとユダヤ人にとって悪法だ」
自民族中心主義の勝利
ユダヤ人にとっての「生存圏」
第4章 白人の国――純血主義の台頭
黒人「潜入者」に降りかかる災い
白人至上主義者とのつながり
「ユダヤ人遺伝子」を求めて
第5章 イスラエルの新たな武器――サイバー・セキュリティ
武器輸出という伝統
最先端のサイバー監視技術
制約なく活動する
イスラエルとカショギ殺害事件
パレスチナ人の次は、イスラエルの反体制派
第6章 公安国家――権威主義的な民主主義
パレスチナ人だけでなく反体制派ユダヤ人も対象
国内の敵「ベツェレム」
「ボイコット、投資撤収、制裁(BDS)運動」という「張りぼて」
公安機能の滑稽なまでの強化
第7章 絶滅危惧種――イスラエル法制度の危機
最高裁判所は「最後の砦」でなくなったのか
反体制派の当惑
第8章 ヒトラーはユダヤ人を根絶したかったのではない――ネタニヤフの歴史捏造、反ユダヤ主義者たちとの親交
ホロコーストを扇動したのは、エルサレムのイスラム法官なのか
イスラム嫌悪という絆
アメリカの福音派とユダヤ人
東ヨーロッパに古くから存在する反ユダヤ主義者との絆
ソロスに対する非難:トランプは反ユダヤ主義者か
第9章 黙ってはいられない――反旗を翻すアメリカのユダヤ人
イスラエルに背を向けたアメリカのユダヤ人たち
なぜ今、この変化が生じたのか
民主党の危機
イスラエルを非難するアメリカ人たち
第10章 今のはオフレコだよ――臆病なフランスのユダヤ人
フランス革命から極右のシオニズムへ
CRIF(フランス・ユダヤ人団体代表評議会)の正体
臆病なフランスのユダヤ系知識人
第11章 イスラエルにはもううんざり――ユダヤ教は分裂するのか
あなたの将来のイスラエル像は?
虚構の上に成り立つ牙城
アメリカにおけるディアスポラの再生
ユダヤ教は分裂するのか
第12章 鍵を握るアメリカの外交政策――トランプ後の中東情勢
トランプの置き土産
バイデンの挑戦:アパルトヘイト国家への対応
イランとの核合意に賭ける
結論 イスラエルvs.ユダヤ人
トニー・ジャットを悼んで
謝辞
本書を読み解くための基礎知識 後編[高橋和夫]
訳者あとがき
原注