ワインと戦争 ナチのワイン略奪作戦
出版社: 法政大学出版局
- ナチス・ドイツが占領下のフランスに組織したワイン生産・取引の大規模な収奪システムと対独協力活動の全体像を明るみに出した問題…
- ナチス・ドイツが占領下のフランスに組織したワイン生産・取引の大規模な収奪システムと対独協力活動の全体像を、膨大な史料調査で実証的に明るみに出した問題作。
- 第二次大戦中、フランスを占領したナチス・ドイツは、全ブドウ畑を対象とするワイン生産・取引の大規模な収奪システムを構築した。従来は愛国的な抵抗運動(レジスタンス)の文脈で語られることの多かった商人や生産者たちの神話を覆し、彼らが実際は対独協力(コラボラシオン)で多大な利益を得ていたという歴史的事実の全体像を、膨大な一次史料を掘り起こして初めて実証的に明るみに出した問題作。
- 序
第一章 ワイン、戦争に参入する
1 どこにでもあるが、統制下の飲物
2 戦争の影響下のワイン外交
3 バート・クロイツナハ、最後のワイン国際会議
4 「奇妙な戦争」下のワイン
5 「兵士のホットワイン」
第二章 ワイン・ラッシュ
1 敗北のショックと商売繁盛
2 「ワイン指導者」と新秩序の到来
3 ラバと御者の協力
4 ブドウ栽培地の再組織化
5 管理市場と闇市場
第三章 大揺れ
1 新しい収穫シーズンの困難と禁制主義の再来
2 ドイツから見たフランスワイン
3 「ブドウ・ワイン生産規定」の終わりか?
4 一九四二年秋の転換点
5 原産地統制呼称の勝利
6 試練にさらされた原産地呼称全国委員会
第四章 敗北が幸運となる時代
1 闇市場とナチの購入事務所
2 「仕方がない……商売なんだ!」
3 私は「生まれつきのコラボ」なのだ!
4 フランスワインはヒトラーの「秘密兵器」か?
5 モナコ、ワイン取引の世界的首都
第五章 戦争に酔う
1 ブドウ・ワイン生産の危機と変転
2 ヴィシー、ファシストの農地改革論とブドウ栽培防衛
3 ブルゴーニュでは、卸売業ぬきのブドウ・ワイン生産
4 シャンパーニュでは、泡立つ商売繁盛
5 ドイツの闇市場の中心にコニャックとアルマニャック
6 全国ワイン取引センター、ボルドー
第六章 呑み込まれたあらゆる恥
1 ゲームセット。崩壊へ
2 戦争のページをめくる──敵との「協力」の問題
3 対独協力?どんな協力?
4 不正取引と共謀
結 論
原 注
訳者あとがき
口絵図版出典
文献資料