映像の発見
出版社: 筑摩書房
- 見えないものを見えるようにすること――。真にラディカルな作品とは何か。映画史的な直感から放たれる鋭利にして至高の映画論。解説 中条省平
- 映像を表現と主体意識、存在条件との間の緊張関係から考え、真の創造を探求した至高の映画論。1950年代に始まる転換期にあって、旧来的な映画観を転覆すべく、著者は思考を尖鋭化させていく。調和を失った社会のなか、見えなくなっているものを見えるようにすることを芸術における第一義の課題としながら──。アヴァンギャルドもドキュメンタリーも、つまり内と外に分かれた意識の方向も、見えないものに迫る方法として交差し、それを通じて新たなイメージは創り出される。初刊は1963年。映画史的直感や時代との格闘から生まれた洞察はいまも色褪せてはいない。
- 解説 輝きを失わない真の古典的名著(中条省平)
1
映画芸術の現代的視座
2
前衛記録映画論
方法とイメージ
ネオ・ドキュメンタリズムとは何か
隠された世界の記録――ドキュメンタリーにおける想像力の問題
3
残酷を見つめる眼――芸術的否定行為における主体の位置について
堕落したリアリズム
モダニズムとクリティック
追体験の主体的意味――『二十四時間の情事』について
4
日常性と凝視
ドラマの無いドラマ
存在の形而上学
5
「敗戦」と「戦後」の不在
芸術的サド・マゾヒストの意識
変身の論理
大衆という名の物神について
運動の変革
初版あとがき
再版に寄せて