天文学者たちの江戸時代 増補新版
出版社: 筑摩書房
- ヨーロッパや中国からの知識と格闘し、暦と宇宙の研究に情熱を燃やした江戸時代の天文学者たちの研究史、宇宙観、人生をたどる。解説 渡部潤一
- 江戸時代、天文学者たちは星を見上げ、暦に命を懸けた。
鎖国下の日本で外国の知識やことばと必死で格闘し、
研究に身を捧げた人びとを描く情熱の天文学史。
・渋川春海による「日本独自の暦」を作る苦闘
・西洋天文学の導入を目指した徳川吉宗と麻田剛立
・地動説、彗星、星座は当時どう考えられていたか?
・伊能忠敬の全国測量異聞――幻となった間重富の測量計画
・オランダ語を独力で習得し、命がけで「ラランデ暦書」を翻訳
・最新情報を求めシーボルト事件で獄死した高橋景保 etc.
現役の科学館学芸員である著者が、江戸時代の天文学者たちの思索と、
ドラマにあふれた人生をたどる。待望の増補文庫化!
解説 渡部潤一
装画 平岡瞳/装丁 小川恵子(瀬戸内デザイン) - プロローグ 天文と暦――日本の天文学ことはじめ
第一章 中国天文学からの出発――渋川春海の大仕事
1 八〇〇年ぶりの改暦――渋川春海と貞享改暦
2 渋川春海は星占い師?――天文占と星座研究
3 西洋天文学との出会い
第二章 西洋天文学の導入――徳川吉宗・麻田剛立が開いた扉
1 西洋天文学を導入せよ――徳川吉宗の試み
2 西洋天文学が変えた宇宙像――麻田剛立が見た宇宙
3 吉宗の願いが叶う時――寛政の改暦
第三章 改暦・翻訳・地動説――高橋至時・伊能忠敬による発展
1 下級武士が取り組んだ改暦事業
2 拡大する天文方の仕事――蘭書翻訳と伊能忠敬の測量事業
3 地動説への取り組み
第四章 変わる天文方の仕事――間重富・高橋景保の奮闘
1 町人学者の改暦参画――間重富
2 伊能忠敬の全国測量異聞
3 オランダ語と天文学――蛮書和解御用
4 広がる天文学研究――彗星と天王星
第五章 西洋と東洋のはざまで――江戸の天文学の完成期
1 シーボルト事件と天文方
2 渋川景佑の活躍と天保の改暦
3 幕末の天文学
4 江戸の天文学の終焉
補章 書物と西洋天文学
1 西洋天文学の導入ことはじめ
2 西洋天文学の消化
3 天文方の情報源
あとがき
文庫版あとがき
解説 宇宙への情熱 ―時代を超えても変わらぬ思い 渡部潤一
主要参考文献
写真出典一覧
関連年表