AIにはない「思考力」の身につけ方

AIにはない「思考力」の身につけ方

出版社: 筑摩書房
著者: 今井 むつみ
  • "ChatGPTにおまかせ″はなぜまずいのか? 人間だけが持ち、AIにはない「推論の力」とばどのようなものか、解き明かす。
  • 私たちは今、文章を読みながら思考力を使っている。その時に頭の中で働くのは「推論の力」だ。この力は人間だけにありAIにはない。その違いと謎を解き明かす。
  • 学校で急速に広がる生成AIの使用。
    なぜ“ChatGPTにおまかせ”ではダメなのか? 
    カギは、人間がことばの学習で身につける「推論の力」が失われることにあった。
    すべての教育関係者・保護者必読の一冊。
    ===
    「思考力」というと、なんだか難しいことのように感じられるかもしれない。しかし、私たちは今この瞬間に文章を読みながら、思考力を駆使している。そしてその時に頭の中で働いているのは、「推論の力」だ。この力は人間だけにあり、AIにはないものだ。その違いと謎を解き明かしていく。
    ===
     例えば「探偵マンガ」を読んでいるとき、みなさんは、
    「黒幕は誰だれだろう?」
    「犯人はやはり……」
    と考えながらストーリーを追っているはずです。これも思考の働きのひとつです。
     思考しながら、主人公と一緒に「問題を解決しよう(=犯人を見つけよう)」としているのです。
     思考力というのはこのように、問題解決の力につながっていきます。問題解決の力をつけることができれば、社会がどんなに変わっても、未来がどうなるかわからなくても、なんとかその場で対応することができるようになるはずです。(……)
     では、思考力を使って問題解決ができる「名探偵」になるために、私たちは何を学べばいいのでしょうか。(……)
     正解は、国語です。
    「なぜ国語?」
     確かにそう思う気持ちもわかります。
     数学や英語のほうがなんとなく、問題解決の役に立ちそうですよね。でも、私たちは何を学ぶにも「ことば」を使います。「ことばの力」がなくては、数学の問題もうまく解くことはできません。(……)
     本書は「思考力」、つまり「名探偵になるための推論力」を、「ことば」と一緒に考える本です。みなさんが、今この瞬間にも使っている「思考力」ですが、なんだかぼんやりしていて、捉とらえにくいものであるというのも事実です。その「思考力」を「ことば」というフィールドで考えてみようという試みです。
     乳幼児がことばを覚えるしくみについて研究をしていると、「ことばがわかること」が、必ずしも当たり前でないということに気づかされます。子どもはことばのしくみを自分で発見し、ことばの意味も自分で発見します。これはみなさんも、意識せずに成し遂とげてきたことです。
     いったいどんなふうに、そんなすごいことをしてきたのか。
     まずは、みなさんが子ども時代に成し遂げた「母語の習得という偉業」を、思い出すことから始めてみましょう。(「はじめに」より)
  • 第1章 あなたはことばを、どう覚えてきたのか
    第2章 問題解決に必要な「推論の力」
    第3章 学校で必要になる「ことばの力」
    第4章 AI時代の「考える力」

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