パウロの神秘論
出版社: 東京大学出版会
- 二度にわたる大戦や今も続く紛争,大量難民の発生など,現代のわれわれがその只中にあってもつ危機意識は,パウロが直面した当時の彼の「今」の終末論的危機意識とも重なる.パウロはその危機に対し,イエス・キリストを通じて開示された神の愛のプラン,すなわちパウロにとっての「神秘」を生きることによって闘った.時代の閉塞と危機を突破しうる鍵としてのその「神秘」は一体どのような内実と性格をもつのか.他者との相生の地平を創造するパウロ神秘論の核心をひらく.
- 序――本論の目的と筋立て
第一章 現代におけるパウロ解釈の二動向
第二章 回心以前のパウロとダマスコ体験
第三章 キリスト論
第四章 トーラー(律法)論
第五章 神の義と神によるキリストを通しての義化
第六章 聖霊論
第七章 変容論
第八章 ソーマ的受難と変容の神秘論
むすびとひらき