
二十一世紀の荒地へ
出版社: 以文社
- 20世紀の2つの〈荒地〉における問いを引き継ぎ、パックス・アメリカーナの終焉とともに21世紀の歴史を批判的に読み解く。
- エリオット『荒地』から鮎川信夫らの「荒地」派詩人へ。20世紀の2つの〈荒地〉における問いを引き継ぎ、21世紀の歴史を批判的に読み解き、現代において、いかなる思想を立ち上げうるか、その可能性と限界に示唆を与える…
- 20世紀の〈荒地〉から、21世紀の〈荒地〉へーー。
2001年9月11日に起きた、アメリカ・NYでの世界貿易センタービル爆破の記憶が生々しい最中に開始された、T・S・エリオットの『荒地』/鮎川信夫らの「荒地」派詩人という2つの〈荒地〉をめぐる対話。
その後、9回にわたって続けられた『現代詩手帖』誌上での往復書簡のやりとりは、日本の近代化と国民語/国語の成立、植民地主義と戦争、戦後の冷戦体制とその崩壊、パックスアメリカーナの拡大とその終焉へと射程を広げ、21世紀の歴史を批判的に読み解く。
21世紀、最初の四半世紀において紡がれたこの対話は、20世紀の2つの〈荒地〉における問いを引き継ぐとともに、戦後の〈帝国〉の喪失のなかで、いかなる思想をたちあげうるのか、その可能性と限界に示唆を与える、ひとつの理論的達成である。
渡邊英理氏(『中上健次論』著者)を迎えての特別鼎談を終章として掲載。 - まえがき(酒井直樹)
序 章 複数の「戦後」へと働きかける思考へ―― 鮎川信夫の死と詩的言語
第一章 荒地を荒地として生きること
第二章 近代化の中の日本語
第三章 国民語を再考する
第四章 国民語と天皇制
第五章 多言語性と日本語の死産
第六章 文明論的転移と日本文化論
第七章 「関係的同一性」から「種的同一性」への移行
第八章 「種的同一性」と天皇制
第九章 国民国家と文学のシステム
終 章 「トランス」としての対話(酒井直樹・坪井秀人+渡邊英理)
あとがき(坪井秀人)