
5万枚のカルテを見た看護師が語る 不可解なエビデンスに学ぶスキルとしての怪異
出版社: ライフサイエンス出版
- 看護師としての実体験や患者との語りを参考に後悔しない最期を迎え不確実性に直面する時代の中で生きのびるスキルを提示する。
- 病院には看護師だけが知っているエビデンスを超えた「死ぬ瞬間」「命の選別」にまつわる語りがある
「不確実性」に直面する時代の中で生きのびる方法は「患者の最期から学んだエビデンスに基づく… - 病院には看護師だけが知っているエビデンスを超えた「死ぬ瞬間」「命の選別」にまつわる語りがある
「不確実性」に直面する時代の中で生きのびる方法は「患者の最期から学んだエビデンスに基づく怪異」だった
「看護師だからこそ人から信頼を得て初めて聴くことができる話がある。医学や科学の知識で語る怪異はもっと魅力的だ」
岸本誠(都市ボーイズ)
大学を中退しフリーターとなった著者は、日常で起こった怪異をきっかけに看護師となり、急性期や訪問看護など様々な現場で10年以上にわたり「生と死の境界」に立ち続けている。やがて勤務中の病院で実際に起こった不思議な出来事や、自身・家族の体験をきっかけに病院にまつわる怪異を集め始め、現在はYouTubeチャンネルや書籍、舞台などを中心に「病院怪談」を発信している。
本書は、怪談で語られることの多い幻聴、幻視、幻蝕、幻臭といったテーマを、解剖学を根拠に検証しながら、エビデンスでは語り切れない「医療現場で本当に起きたこと」「死のタイミング」「死ぬ瞬間」「命の選別」などのエピソードを語る。
また、著者の看護師としての実体験や患者とのエピソードを参考に、患者や医療者が抱える矛盾や弱さを基盤にした「後悔しない最期」についても模索する。さらに、AIによる社会の加速化やパンデミックや世界的な紛争などの不確実性に直面する私たちが、人間としての「弱さ」を抱えながらも、「エビデンスに基づく怪異」を活用し、しなやかに生きのびるスキルを提示する。精神科医・ラッパー・怪談師であるDr.マキダシ氏との対談「怪談師の精神科医ラッパーと看護師が語る 世界に舞い戻るための怪談とHIPHOP」も収録。 - はじめに
広い川
プロローグ――「怪異」にエビデンスは通用するか――
顔と手だけの子供
第1章 解剖生理と不可解なエビデンス
1.幻聴――死者の声――
幻聴の例
聴覚の解剖生理
幻聴とは何か
怪異で紐解く幻聴 遺品
怪異で紐解く幻聴 バンコクの小児病棟
トピック1.ラップ音
2.幻視――幽霊――
幻視の例
視覚の解剖生理
幻視とは何か
怪異で紐解く幻視 黒猫
トピック2.心霊スポット
3.幻触――金縛り――
幻触の例
触覚の解剖生理
幻触とは何か
怪異で紐解く幻触 お札
トピック3.金縛り
4.幻臭――守護霊――
幻臭の例
嗅覚の解剖生理
幻臭とは何か
怪異で紐解く幻臭 空の上から
コラム1.心の影――メンタルと心霊現象――
第2章 エビデンスでは証明できない医療現場で本当に起きたこと
1.ナースコール――電波がもたらす不可解なエビデンス――
非常アラーム
2.錠剤――物質がもたらす不可解なエビデンス――
睡眠剤
3.霊安室――場所がもたらす不可解なエビデンス――
会社の同僚
4.家――訪問看護・介護がもたらす不可解なエビデンス――
うぐいす色のスーツ
コラム2.患者さんと医療者の関係
第3章 死を取り巻く不可解なエビデンス
1.死とは何か
生物学的な死の定義
法的・医学的な死の定義
2.怪異から見た死のメタファー――死神――
3.死の兆候
二人の子供
4.死者が増える時期
お盆とは?
お盆の事例
廊下の人だかり
病棟を渡る船
命の終わりを見てきた山
コラム3.海外における死と怪異の物語
第4章 死ぬ瞬間の不可解なエビデンス
1.不可解なエビデンス――死のタイミング――
誰かが見送ってくれているような
死を越えた瞬間
その瞬間を待っていたかのように
あなたがいればいい
死が日常に入り込む瞬間
2.不可解なエビデンス――死ぬ準備――
8時に先生が来るんだよ
祖父の影
半袖、半ズボンの男の子
「死の準備」は生き方を見つめ直すこと
3.不可解なエビデンス――突然死――
おかっぱ
献花
想いによってつながれる命
コラム4.死とお金
第5章 エビデンスを超えた命の選別
1.エビデンスを超えた地獄のパンデミック
過去の感染者数
疫病と祟り
コロナがもたらしたもの――医療現場の心の後遺症――
エビデンスが追いつかない新型コロナ後遺症
見えない後遺症
家族の決断
祖父から孫へ託された命のバトン
15分の面会
2.日常的に起こっている命の選別
無邪気な笑顔
同時に来た救急患者
行こう
想いが交差した輸血
二つの選択肢
3.命の選別を支える――アドバンス・ケア・プランニング――
コラム5.私が小児病棟を避ける理由
第6章 対談: 怪談師の精神科医ラッパーと看護師が語る 世界に舞い戻るための怪談とHIPHOP
〝ハードコア医者家系〟
エビデンスと怪異の線引き
医者と看護師のエビデンスと怪異のとらえ方
余命のエビデンス
直感の時代に噛み応えを
想いを伝えるために世界に舞い戻る
コラム6.変わりゆく最期の迎え方
第7章 弱さを基盤としたエビデンスの向こう側
1.人として大切な何かをなくした
友人の死
2.「慣れ」は諸刃の剣——命のそばで働くということ——
命の重さ
3.エビデンスの慣習化と想像力
夜勤のICU
迷いの先に
4.弱さが紡ぐエビデンス
弱さが信頼をつくる
5.後悔のない最期を迎えるために医療を「個性化」する
コラム7.加速する医療とAI
第8章 怪異の効用——不確実性を乗りこなす——
1.論破の時代に「ゆるすこと」
最期にゆるせるか
2.不確実性を保留する勇気——ネガティブ・ケイパビリティ——
3.怪異の効用
4.やさしい作法
おわりに——人間としての条件——
参考文献
