
悪が勝つのか?
出版社: 信山社出版
- 世界を滅ぼすシニシズムに抗して、「またトラ」が脅かす法と正義を守る道はあるのか。悪を勝たせない現実的方途を探究する。
- 世界を滅ぼすシニシズムに抗して、「またトラ」が脅かす法と正義を守る道はあるのか。悪を勝たせない現実的方途を探究する。
- ◆世界を滅ぼすシニシズムに抗して、「またトラ」が脅かす法と正義を守る道はあるのか。悪を勝たせない現実的方途を探究する◆
プーチンを止められるのは誰か?戦争犯罪に血迷うイスラエルは未来を開けない。
世界を滅ぼすシニシズムに抗して、「またトラ」が脅かす法と正義を守る道はあるのか。悪を勝たせない現実的方途を探究する。狂う世界で正気を失わないために。 - 『悪が勝つのか?―ウクライナ、パレスチナ、そして世界の未来のために』(法と哲学新書)
井上達夫(東京大学名誉教授) 著
【目 次】
◇プロローグ―狂う世界で正気を失わないために
◆第一章 ウクライナ戦争再説〔二〇二三年五月〕―侵略者に褒美を与えても、持続可能な平和は実現しない
一 ウクライナ戦争言説の進化と退化
(1) ウクライナ侵攻の真因
NATO東進帰責論とユーラシアニズム論を超えて
「プーチンの自己保身戦争」論の進展―その実践的含意
(2) 対露宥和主義言説の再浮上
二 戦況の展開
(1) 戦況膠着とその打開への動き―欧米のウクライナ軍事支援強化
ウクライナ支援強化の段階的進行―欧米の逡巡と決断
「大反攻」への過剰期待を超えたウクライナ支援の在り方
(2) 「バフムト陥落」宣言で露呈したロシアの脆弱性
バフムト制圧の戦略的虚妄性
ロシア軍事体制の分裂・混乱の露呈
反プーチン派ロシア軍事集団の台頭
ロシアの軍事的脆弱性とプーチンの執拗性
三 対露宥和主義言説の欺瞞性・倒錯性・自壊性
(1) 戦争を止めようとしないのは誰なのか
対露宥和主義言説の論理構造―AR論法
AR論法の根本的な倒錯と欺瞞
(2) 戦争を拡大させるのは誰なのか
ウクライナに課された二つの限界線―専守防衛ラインと不参戦ライン
第三次世界大戦突入の決定権と責任はロシアと欧米にある
(3) ウクライナはゲームの駒ではなくプレイヤーである
欧米の見くびりを覆したウクライナ
ウクライナの抗戦を後追いする欧米の支援
ウクライナなくしてウクライナについての決定なし
四 ハーバーマスの「交渉請願」―哲学者の政治的「迷言」
(1) 曰く、「ウクライナを負けさせるな、しかし、ロシアに勝とうとするな」
ドイツ思想界長老の頓珍漢な御託宣
対露宥和主義言説に輪をかけた迷妄―妥協にならない「妥協案」
(2) 対露内政不干渉とクリミア問題棚上げは停戦の交換条件にならない
対露停戦交渉の政治力学に対する無知の露呈
「進歩的知識人」の「八方美人」性
(3) ウクライナこそが、まともな停戦交渉の意志と能力をもつ
戦争の回避と終結に向けたウクライナの交渉努力と自制に対する無視
抗戦と政治的交渉の二項対立図式の誤り
五 戦争終結への道
(1) ロシアに褒美を与えない戦争の終わらせ方
プーチンの最後の制止者はロシア国民である
ウクライナからの撤退の二つのシナリオ―「裸の王様」か、内乱か
(2) 「冷蔵庫とテレビの戦い」の現況
「テレビ対SNS」、「SNS対SNS」―情報戦の戦場転換
ロシアの経済制裁対抗力の執拗性とその限界
再び、ディランに託して
〈補 記〉 カホフカ・ダム決壊事件
〈追記Ⅰ〉 プリゴジンの乱
〈追記Ⅱ〉 専守防衛ラインの緩和
〈追記Ⅲ〉 ウクライナは「最も遅れてきた国民」か?―ハーバーマスの民族的蔑視
◆第二章 この世界の荒海で〔二〇二四年五月〕―戦争犯罪に狂う報復主義と、侵略に加担する宥和主義を超えて
一 ウクライナとガザの戦争が見せるものと隠すもの
(1) 欧州とアジアにおける戦乱の現実
飛び広がる戦火―ウクライナからガザへ
忘れられた中東の戦乱
(2) アフリカを焼き続ける戦火
ルワンダの悲劇の後も各地で続く惨劇
アフリカの戦乱とウクライナ戦争との関係
ウクライナとガザを越えた世界の動乱への視野拡大
(3) ウクライナ戦争とガザ戦争の危険信号―国際社会の法と正義の危機
二 ガザ戦争の背景、責任、そして出口
(1) ハマースによる一〇・七イスラエル侵攻の背景
パレスチナ問題の根
なぜハマースは一〇・七侵攻に突き進んだか
(2) ガザ戦争の国際法的・戦争正義論的評価
ハマースの戦争責任
イスラエルの戦争責任
(3) 戦争責任におけるイスラエルとハマースの共犯性
イスラエルとハマースの指導者に対する国際刑事裁判所への逮捕状請求
ガザ戦争をめぐる米国世論の分断
イスラエルとハマースの政治的共棲関係
ガザ住民犠牲に対するハマースの加担
(4) パレスチナ問題の解決とガザ戦争の出口戦略
「二国家解決」なくしてパレスチナ問題の抜本的解決なし
「二国家解決」なくしてガザ戦争の出口なし
(5) 戦争の出口を塞ぐ者と開く者
戦争の出口を塞ぐネタニヤフの政治的自己保身
イスラエルとパレスチナの民意
未来のための祈り
三 ウクライナ戦争の帰趨―転変する戦況と変わらざる基層
(1) ウクライナ戦争の実相と対露宥和主義の誤謬を再確認する
プーチンの戦争を止められるのはプーチンではなくロシア国民である
侵略者への褒美の帰結は平和ではなく侵略の拡大・拡散である
(2) プーチンは大統領選挙で本当に「圧勝」したと言えるのか?
ロシア強硬化論の台頭
プーチン圧勝論の皮相性
(3) ロシアの反転攻勢の〈実損〉
ロシア兵死傷者数の激増
兵力損耗補塡のための新兵調達拡大と国民の不満の高まり
経済コストより重い命のコスト
(4) ロシア兵は何のために死に続けるのか
(5) プーチンは「勝ち逃げ」できない
ウクライナを支える政治的要因
ウクライナの挽回とロシアの脆弱性の軍事的要因
(6) 戦争はいつまで続くのか
(7) 平和を訴えるべき相手は誰なのか
ロシア国民における「自己欺瞞の疲弊」
恐怖による沈黙から「ひそひそ声」で語り出す勇気へ
対露宥和主義者はロシア国民を愚民視している
ロシア国民に侵略制止を訴えない「親露家」諸氏に告ぐ
四 結 語
◆第三章 悪が勝つのか?〔二〇二五年一月〕―政治の逆風に晒される法と正義の試練
一 メロースの悲劇、再び?
(1) 古代アテーナイの帝国主義的覇道
(2) メロース島事件の現代性
文明が肥大化させる野蛮
ウクライナ戦争に落とされるメロースの影
ガザ戦争の「メロース略奪戦」的変質
二 ウクライナを見捨てるのか
(1) 停戦実現方法についてのトランプの幻想を正す
トランプ陣営の停戦構想
ロシアが戦線現状凍結を受け入れられない理由
NATO加盟保証なくしてウクライナの停戦合意なし
非武装地帯設定と監視軍派遣ではロシアの再侵攻を抑止できない理由
プーチンの言いなりになる停戦交渉はトランプの敗北である
トランプへの進言
(2) ロシアの軍事的脆弱性
シリアのアサド政権崩壊が示すロシアの軍事的苦境
ロシアの兵力損耗の計測
志願兵・「輸入兵」調達の政治的限界
北朝鮮によるロシアへの兵力提供の国際政治的インパクト
徴集兵の戦地派遣の政治的限界
(3) ロシアの経済的脆弱性
二〇二四年末におけるロシア経済の状況
ロシア経済の先行き
天然ガス・石油資源取引に見られるロシアの脆弱性
対中経済依存が招くロシアの中国に対する政治的脆弱性
インドのロシア離れ
「神の碾き臼」は回り続ける
三 イスラエルにパレスチナを奪わせるのか
(1) 専横化するイスラエル
イスラエルによる占領地支配の永続化とアパルトヘイト化
マイケル・ウォルツァーの「ポケベル爆弾」テロ批判
ウォルツァーの慧眼と問題逃避
イスラエルもパレスチナ人を「人間の盾」にしている
国連に牙を剝くイスラエルの戦争犯罪
イスラエルにおけるガザ戦争観の転換―「実存闘争」・「体制間戦争」へ
イスラエル世論の好戦化・右傾化
(2) 驕れる者は久しからず
イスラエルの軍事的勝利の不安定性と政治的・外交的挫折
ハマースは復活し続ける
イスラエルの国際的孤立化
中東政治の新展開―イランの外交的反撃
イランの米国への接近
米国の責任―トランプⅡにトランプⅠの過ちを償わせよ
四 世界は何処へ行くのか
(1) 人間の深き罪業と消えざる希望
血塗られた二〇世紀の闇と光
破れた夢の修復へ
(2) シニシズムを超えて
規範が現実を裁断できず、現実が規範を裁断する倒錯
「批判的知識人」の頽落
正義と平和の再結合へ