
法・国家・知の問題
出版社: 信山社出版
- 集合的選択による一つの価値観として自由主義を堅持―個人が自由でありうる社会の条件となる法を探求。「嶋津法哲学」の真骨頂。
- 集合的選択による一つの価値観として自由主義を堅持―個人が自由でありうる社会の条件となる法を探求。「嶋津法哲学」の真骨頂。
- ◆集合的選択による一つの価値観として自由主義を堅持―個人が自由でありうる社会の条件となる法を探求◆
「明我」(Articulate I)の背後に「暗我」(Tacit I)を見たことで、ポパー的世界からハイエク的世界へと脱出。個人が自由でありうる社会の条件となる法を探求する。しかし、世界を均質化しようとするグローバリズムに疑問を覚え、国民国家群の擁護へ。集合的選択による一つの価値観として自由主義を堅持する。まさに、本書は「嶋津法哲学」の真骨頂である。 - 『法・国家・知の問題』(学術選書)
嶋津 格(千葉大学名誉教授) 著
【目 次】
・はじめに―所収論文の概要など
◆第Ⅰ部 移民・イスラム・米国左翼・動物・尊厳死◆
◆第1章 移民の奔流と国民国家―米国の移民問題を中心に
はじめに―移民・国境・国民
第1節 米国の南側国境をめぐって
第2節 我々は誰なのか
第3節 ヒスパニックは人為的に作られたカテゴリー
第4節 若干の理論的考察
1 リバタリアン的な解決
2 アイデンティティの集合的選択
おわりに―自由民主主義の普遍性如何をめぐって
◆第2章 自由主義は反自由主義を包摂できるか―アヤーンとチャンドラン
第1節 問題状況
第2節 ムスリム社会の反自由主義―アヤーン・ヒルシ・アリ
第3節 寛容の自由主義―チャンドラン・クカサス
第4節 残されているもの
【後記】
◆第3章 実証主義的な知の概念が生みだす哲学的混乱―ポストモダニズムから現代の米国左翼まで
第1節 米国の大学キャンパスにおける言論の不自由
1 安心空間(safe space)
2 引き金警告(trigger warning)
3 偏見通報ホットライン(bias reporting hotlines)
4 登壇拒否(no-platforming)
第2節 規制理念としての真理と実証主義―知は「獲得」できるのか
第3節 米国左翼の急進主義へとつながるポストモダニズム(PM)
・PMの3期と貫通する2つの原理
・第1期 オリジナルPM
・第2期 応用PM
・様々な分野における応用PM
・第3期 実物化されたPM
第4節 【後記】米国のイデオロギー的「分断」とその経緯
・ヘルベルト・マルクーゼ(1898-1979)―革命
・アンジェラ・デーヴィス(1944-)―人種
・パウロ・フレイレ(1921-1997)―教育
・デリック・ベル(1930-2011)―権力
◆第4章 動物保護の法理を考える
第1節 モラル・ウェイト
第2節 一元論
第3節 立法先行型のアプローチ
◆第5章 外的根拠としての弱者保護は正義か―尊厳死法またはNatural Death Actをめぐって
第1節 ファインバーグの場合
・真夜中の交差点
・禁酒法
・死刑廃止
第2節 尊厳死法制化への反対
第3節 Natural Death Seeker
第4節 NDS(自然死を求める者)vs.TW(弱き者たち)
第5節 寛容論
◆第Ⅱ部 法と哲学―その1 私法中心の法概念など◆
◆第6章 正しさを語る教育―司法改革のために(2001年)
第1節 社会改革としての司法改革―「法の支配する社会」を求めて
1 法概念が前提する秩序構想と「正義感覚への依拠」
2 「正しさを語る社会」のイメージ
3 いくつかの実践的示唆
・条文を被説明項として扱うこと
・「不当判決」の例外化
・国民的教養としての法学教育
・行政改革との関連
・権利と責任
・利益団体と法
第2節 正しさを語る教育について―司法改革と初中等教育(2001年)
第3節 国民への法学教育―小中学校での実験授業など(2004年)
1 体育実技のようにして
2 正解発見と合意
3 法=権利と説明
4 ささやかな経験―その1
5 ささやかな経験―その2
6 権利と裁判―まとめにかえて
◆第7章 開かれた帰結主義再論
第1節 義務論
第2節 功利主義
第3節 開かれた帰結主義
第4節 競争の倫理
◆第8章 実定法と啓蒙
第1節 日本の近代化と法学―啓蒙の根拠
第2節 民法の場合
1 信条と行動
2 民法と社会秩序
3 発見過程としての競争
第3節 進歩的啓蒙について
◆第9章 法の権威を立法の権威に解消することの愚かさ
第1節 立法論と法の概念
第2節 私法中心的法概念
第3節 自然法論
第4節 法の権威
第5節 価値多様性下の自律と代表制民主主義
◆第10章 検察と政治を考える―検察官は東山の金さんでいいのか
第1節 「検察ファッショ」?
第2節 検察と権力
第3節 法の支配―信じる者は救われる?
第4節 検察の政治
第5節 他の問題―情報リークは悪なのか
◆第Ⅲ部 法と哲学―その2 評価・応答・論争◆
◆第11章 明晰さの探求は成ったか―碧海先生の哲学世界とその外部
第1節 否定される種類の哲学
第2節 否定のための理論的基礎とその変遷
第3節 実証主義と教養
◆第12章 常識を疑うための異形の入門書―亀本洋著『法哲学』
◆第13章-1 高橋文彦:わからないことほど素朴に考えよう―嶋津格『問いとしての〈正しさ〉』を論評する
はじめに
第1節 嶋津法哲学の諸原理と全体像
1 発見主義
2 信頼アプローチ
3 実行可能性
4 開かれた帰結主義
第2節 嶋津法哲学の基本方針と個別的な疑問点
おわりに
◆第13章-2 嶋津格:高橋文彦評へのリプライの試み
1 実行可能性と発見
2 信頼アプローチと実行可能性論
3 実行可能性は「基準」か―開かれた帰結主義
4 規範的法価値論
◆第14章 論争としての法哲学―笹倉秀夫『法思想史講義 上・下』
第1節 発展史観と法思想史
1 はじめに
2 法の支配
3 社会契約論と法概念
4 市場の理解
5 歴史・価値・思想史
6 ア・プリオリな総合
7 フェミニズム
第2節 笹倉応答へのコメント(replication)
1 法の支配
2 社会契約論と法概念
3 市場論
4 歴史・思想史
5 存在の段階説
◆第Ⅳ部 ポパーを契機に◆
◆第15章 無知の知をめぐる考察
第1節 「知る」の文法
第2節 『テアイテトス』の読み方
第3節 ポパーの場合
第4節 無知の知
◆第16章 「開かれた社会」は開いているか
第1節 後知恵として
第2節 「閉じた社会の理論」vs. 民主主義
第3節 「開かれた社会」論
第4節 経済的介入主義
第5節 どれほど開いているか
◆第17章 進化論ヴァリエーション
◆第18章 進化論的認識論と非言語的要素
第1節 論理と心理
第2節 ポパーの場合
1 基礎言明
2 反証仮説
3 理論の枯渇
第3節 進化論と世界2(心理)
第4節 「開けゴマ」
第5節 「合理主義」の成功とその背後
◆第19章 発見の論理と心理―ポパー理論の批判的検討に向けて
第1節 はじめに
第2節 科学における発見の論理
1 基礎言明―経験的基礎
2 誤り排除―反証
3 理論―仮説
4 心理―世界2
第3節 おわりに
◆第Ⅴ部 訴訟と事実の認定◆
◆第20章 民事事件における事実の認定―「言語の内と外」各論として
第1節 理論的前提について
第2節 事実認定:フェイズ1―レレヴァントな事実命題または「主張」の構成
第3節 事実認定:フェイズ2―事実命題の真偽判断
1 証拠による過去の認定
2 上の勘と下の勘
3 自由心証主義