内灘闘争のカルチュラル・スタディーズ

内灘闘争のカルチュラル・スタディーズ

出版社: 青弓社
著者: 稲垣 健志
  • [著者]
    稲垣健志/本康宏史/小笠原博毅/星野 太/高原太一/板倉史明/井上法子
    内灘基地反対運動は、1952年から53年にかけて、在日アメリカ軍が朝鮮戦争を背景に日本での砲弾試射場の提供を要求したことに端を発した闘争である。石川県の人々はもちろん、全国の政党、労働団体、学生、そして大宅壮一、石川達三、清水幾太郎たち文化人がつながりを作りながら反対運動を展開し、「戦後初の全国的な基地反対闘争」として、社会運動史に名を刻んでいる。
    沖縄の基地反対運動が常に注目されているが、沖縄とはまた異なる内灘闘争の記憶とインパクトを、私たちは「いまの問題」としてどのように引き受けられるだろうか。「基地問題」と私たちの日常を接続させる文化的な回路を、どうしたら作り出せるだろうか。
    アート/展示、音/ノイズ、ルポルタージュ、写真、映画、短歌という文化の視点から内灘闘争を捉え直し、敗戦後80年のいま、基地反対闘争の記憶に新たな輪郭と可能性を読み解くカルチュラル・スタディーズの実践的な成果。
  • まえがき 稲垣健志
    第1章 内灘闘争の記憶と文化表象 本康宏史
     1 内灘基地反対闘争の経緯
     2 内灘闘争と文化表象
     3 闘争の終焉と記憶
    第2章 内灘闘争の「遺産化・文化財化」に抗う――「内灘闘争――風と砂の記憶」展をめぐって 稲垣健志
     1 文化を「遺産化・財化」するということ
     2 「内灘闘争――風と砂の記憶」展2018
     3 「内灘闘争――風と砂の記憶」展2021・2022
    第3章 内灘に耳を傾ける技術――風と砂だけではない「戦後史」を聞く 小笠原博毅
     1 すべての音は原初においてノイズである
     2 一九五三年三月十八日、北陸放送ラジオ『録音 内灘試射場から』
     3 声は歌にあらず、歌は声にあらず
     4 音を分ける政治――宮崎竜成『(●)』に寄せて
     5 事実が音に力を与える
     6 「耳を傾ける技術」
     7 音と生活
     8 戦争の「音の風景」
     9 録音された音であっても音の風景を台無しにはしない
    第4章 砲撃音のルポルタージュ――現在の会、伊達得夫、内灘闘争 星野 太
     1 ルポルタージュ
     2 伊達得夫とは誰か
     3 内灘――私たちの報告
     4 ルポルタージュの理念
     5 内灘闘争をめぐる報道
    第5章 砂とむしろとカメラ――内灘の土門拳 高原太一
     1 土門拳『内灘闘争 むしろ旗』
     2 岡本太郎との対談
     3 『じゃんけん陣とり』と『内灘接収反対祈願祭』
     4 内灘の子たちの作文
     5 土門が写した「歴史」とは
     6 『団結小屋での座り込み』
    第6章 『非行少女』に描かれた内灘闘争は敗者を隠蔽する 板倉史明
     1 映画『非行少女』の企画から完成まで
     2 補償金に関するシナリオの変更点
    第7章 短歌での「叙事詩」の可能性――歌集『内灘』の〈風〉と〈砂〉の歌に着目して 井上法子
     1 目的
     2 『内灘』について
     3 『内灘』読解
     4 考察とまとめ
    あとがき 稲垣健志

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