
自動車工場の闇
出版社: 皓星社
- 鎌田ルポの原点と言える2冊を収録。ひたすらに生産効率を追求するベルトコンベアの労働が、人間と社会にもたらした変化とは。
- トヨタ自動車の非人間的労働環境を暴いた『自動車絶望工場』、繁栄の翳りが見える自動車産業を克明に追った『トヨタと日産』を収録。ひたすらに生産効率を追求するベルトコンベアの労働が人間と社会にもたらした変化とは。
- 省力化、そして無人化という人間否定を、人間性否定にむかわせないために。
夢も希望も奪い去る、トヨタ自動車の非人間的労働環境を暴いた『自動車絶望工場』、繁栄の翳りが見える自動車産業を克明に追った『トヨタと日産』を収録。
ひたすらに生産効率を追求するベルトコンベアの労働のなかで、人間と社会に起こった変化を追う、鎌田ルポの原点。 - はじめに 生産システムの人間支配 7
乾いた雑巾を絞る 「トヨタ社員は過労死」名古屋地裁判決
棄民の一世から出稼ぎの三世へ 日系ブラジル人を襲うトヨタショック
第一部 自動車絶望工場 ある季節工の日記 33
第一章 季節工8818639番(一九七二年九月) 35
出迎え/体力検査/第三大林和風寮/トヨタ自動車本社工場/同室者/
ミッション組付コンベア/給料日/娑婆から地獄へ/眠れない夜/
単調さを破る試み/四二億円の大増資
第二章 新記録を可能にしているもの(一九七二年一〇月) 62
標準作業/ぼくの作業内容/大気汚染の主犯/「金さえもらえばいい」/
自動車総連結成/一分二〇秒のサイクル/一分一八秒に/トヨタの持家制度/
日産七六〇台態勢へ/賃金明細書/ロボットの叛乱/やって来た季節工たち
第三章 〝脱落者〟たち(一九七二年一一月) 88
「トヨタマンは人間ではない」/哀しい笑い話/辞める季節工たち/
生産累計一〇〇〇万台/無限動力者/限界を越える労働
第四章 増産・労災・不満(一九七二年一二月) 102
むなしい労働のくりかえし/労災死亡者の扱い方/風呂での対話/
衆議院選挙投票日/部品の支配/人間トランスファーマシン/
年産二〇〇万台突破/労働者と〝外套〟/また労災の発生/
「あいつを呼ぼう」/「反対だけど……」
第五章 ついに昼夜二交替(一九七三年一月) 117
日産八〇〇台態勢/半期の利益三二〇億円!/バイオリズムと感電/
一分一六秒に/一六歳の深夜労働/工藤君病気で倒れる/真夜中の怪談/
「一丸となって前進」/労働時間のり取り
第六章 期間満了!(一九七三年二月) 133
トヨタ式海外進出/トヨタの中の自衛隊/「愛される車を世界に」/
一分一四秒に/五木村からの出稼ぎ/入院した季節工/
後任者はあっけなく退職/〝無期懲役者〟たちとの別れ
第七章 もう一度豊田へ(一九七三年四〜五月) 146
季節工たちのその後/アルバイト/調理師学校の夢/職業病未認定患者/
ぼくの後任者たち/「会社はうまくできている」/殺人ライン/
桃太郎とキビダンゴ/副委員長と保安係/人間と機械の競争
補章 トヨタ式合理化の歴史 163
二一四六名の首切り/『覚え書』をめぐる謎/「労使宣言」の効果/
トヨタにおける身分別組織/トヨタにおける提案制度/
トヨタ式生産システム/安上がり工場進出法/織機と軍隊/
悲しみの・豊田
補章の補章 キカンコーとハケン 185
あとがき(ベルトコンベアについて) 196
文庫版あとがき 200
新装増補版あとがき 201
資料 解説 本多勝一 202
資料 新装増補版 解説 重松清 207
第二部 トヨタと日産 自動車王国の暗闇 213
Ⅰ いま自動車産業に何が起きているか 215
「チャレンジ50運動」の挫折/クルマの生産を担う陰のひとびと
Ⅱ トヨタ王国の裏側 228
生産性向上運動のはてに/豊田、地域支配の構図/不思議の国の暗部
Ⅲ 自動車工場のなかの人間 259
苦役としてのベルトコンベア/檻のなかで——日産のタレントたち/
トヨタの住宅政策/クルマの繁栄は何をもたらしたか/
自動車産業、繁栄の翳り
Ⅳ 日産の現場では…… 305
追浜暗黒工場/日産ディーゼルの反乱/ある労働貴族の軌跡
Ⅴ 日米自動車戦争の行方 368
生き残りを賭けたアメリカ進出/日本的忠誠心の輸出/果てしなき拡大/
あとがき 397
文庫版へのあとがき 399
あとがき 生産の効率化と人間性 鎌田慧 401