財産の集合的把握と詐害行為取消権

財産の集合的把握と詐害行為取消権

出版社: 慶應義塾大学出版会
著者: 片山直也
  • 法秩序の重層構造と動態的法形成。
    この分析視角と問題意識を深化させ、「財産の集合的把握」という新たな現代的課題に挑む第2巻。
    本書は、第1部「財産の集合的把握の新たな展開」と第2部「包括財産法制と詐害行為の基礎理論」からなる。
  • 序 論 新たな自由社会における詐害的な行為に対する私法上の法規制――フランスの「詐害(fraude)」法理からの示唆
    Ⅰ はじめに――フランスの「詐害(fraude)」法理を起点として/Ⅱ 濫用的会社分割への対応/Ⅲ 集合動産譲渡担保における設定者の処分権限の規律/Ⅳ 本書の構成
    第1部 財産の集合的把握の新たな展開
    第1章 財 産――bien およびpatrimoine
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 財(biens)/Ⅲ 資産(patrimoine)/Ⅳ 小括――新たな財と「財の法」の課題
    第2章 財産の集合的把握
    第1節 財産の集合的把握の諸相
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 財産の集合的把握のニーズ/Ⅲ 財産の集合的把握の諸相/Ⅳ 財産の集合的把握の基本構造/Ⅴ 小括――財産の集合的把握と財の法(物権法)
    第2節 営業および営業財産
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 営業/Ⅲ 営業財産/Ⅳ 小括――営業譲渡と営業上の債務の帰属
    第3章 財産の集合的把握と利活用・管理
    第1節 財産の「利活用(exploitation)」と「権能」
    Ⅰ フランス法における「利活用(exploitation)」概念/Ⅱ 「利活用(exploitation)」概念とその法的保障/Ⅲ 小括――「権能の束」としての所有権と他物権
    第2節 財産の管理と物権法
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 財産管理の概念/Ⅲ 財産管理の法制度/Ⅳ 財産管理における「権限」と「権能」/Ⅴ 財産管理と物権法の再構築/Ⅵ 物権法の改正提案/Ⅶ 小括――もう一つの「管理」
    第4章 財産の集合的把握と担保
    第1節 動産・債権担保をめぐる新たな2つの動向
    Ⅰ 序/Ⅱ ケベック担保法の展開/Ⅲ ベルギー担保法の展開/Ⅳ フランス担保法再考/Ⅴ 小括――「利活用(exploitation)」、「運用(valorisation)」と担保
    第2節 担保価値維持義務の3つの淵源
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 担保価値維持義務をめぐる近時の議論の動向/Ⅲ 担保価値維持義務をめぐる3つの淵源/Ⅳ 小括――担保価値維持義務論の展開
    第3節 約定の担保価値維持義務と担保価値維持協力義務――借地上建物への抵当権設定における「念書」を素材として
    Ⅰ はじめに――問題点の整理/Ⅱ 従前の裁判例および学説/Ⅲ 最高裁平成22年9月9日判決/Ⅳ 小括――担保価値維持義務の視点から
    第4節 事業の収益性に着目した担保をめぐる2つの理論的課題――財産の集合的把握論と担保価値維持義務論から
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 「事業の収益性」に着目した担保の3つのモデル/Ⅲ 事業担保の目的(客体)とは何か?――財産の集合的把握の視角から/Ⅳ 事業担保権の期中における管理/Ⅴ 小括――事業の収益性に着目した諸種の担保の役割分担
    第2部 包括財産法制と詐害行為の基礎理論
    第1章 詐害行為の類型と法規範の構造
    第1節 「類型論」から「重層的規範構造論」へ
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 詐害行為における類型論の諸相/Ⅲ 規範構造論としての類型論の限界――「類型論」から「重層的規範構造論」へ/Ⅳ 小括――動態的法形成
    第2節 否認権・詐害行為取消権における「有害性」と「不当性」
    Ⅰ 序――本節の目的/Ⅱ 否認規定・詐害行為取消規定の規範構造/Ⅲ 「有害性」「不当性」の要件枠組み/Ⅳ 小括――「有害性」「不当性」に関する否認権と詐害行為取消権との本質的な相違点
    第2章 事業資産の分離と詐害行為取消権
    第1節 濫用的会社分割・事業譲渡と詐害行為取消権
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 平成24年判決の今日的意義および課題/Ⅲ 濫用的会社分割の本質と詐害行為の類型/Ⅳ 平成29年改正民法における詐害行為取消規定と濫用的会社分割
    第2節 事業信託と詐害行為取消権
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 濫用的組織再編行為と詐害行為/Ⅲ 充当資産(patrimoine d’affectation)論と信託財産責任負担債務/Ⅳ 小括――いわゆる「事業の信託」とその濫用
    第3章 詐害行為取消しにおける価額償還請求権の新たな機能――詐害行為取消しと被保全債権の「対抗」
    Ⅰ はじめに/Ⅱ 改正前民法における価格賠償請求/Ⅲ 濫用的会社分割の取消しをめぐる議論の展開/Ⅳ 平成29年改正民法における価額償還請求/Ⅴ 小括――被保全債権の「対抗」という視角の有用性
    終 章 法秩序の重層構造と動態的法形成――詐害行為(fraude)の一般法理を起点として
    Ⅰ はじめに――「フロード(fraude)法理の動態的把握」を起点として/Ⅱ 「法原則」(プリンシプル)と「法規範」(ルール)/Ⅲ 「指導的法原則」と「矯正的法原則」/Ⅳ 法認識と「法原則」/Ⅴ 「法規範」(ルール)における「例外」の許容/Ⅵ 法規範の拡張としての「法的擬制」/Ⅶ 法規範の縮小としての「特段の事情」/Ⅷ 結びに代えて――法秩序の重層構造と動態的法形成

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