
地域に根ざしたインクルーシブ教育
出版社: 明石書店
- 障害をもつ子どもの通常教育への包摂をはかるインクルーシブ教育の日本における先進的な事例である大阪市立大空小学校の教育実践に加え、イギリス、カナダおよび東アジア3カ国(日本・中国・韓国)の動向を探り、国際比較のもとに最新の分析を試みる。
- 序章 イントロダクション
1.インクルーシブ教育の理論と現実
2.大空小学校に関する先行研究
3.調査手法
4.本書の構成
第Ⅰ部 インクルーシブ教育の国際的動向と東アジアにおける歴史的変遷
第1章 インクルーシブ教育の国際的動向とインクルーシブ教育の実現の課題・困難性に関する論点整理
1.インクルーシブ教育の国際的動向
2.障害者権利条約(CRPD)第24条の解釈
3.インクルーシブ教育の実現の障壁に関する障害者権利委員会の見解と先行研究レビュー
第2章 中国の障害のある子どもの教育の歴史的変遷とインクルーシブ教育
1.中国の障害のある子どもの教育に関する施策の変遷
2.特殊学校と通常学級の随班就読で教育を受ける子どもの推移
3.障害者権利条約に関するパラレルレポート、質問と応答、総括所見
4.中国のインクルーシブ教育の実現への課題
第3章 韓国の障害のある子どもの教育の歴史的変遷とインクルーシブ教育
1.韓国の障害のある子どもの教育に関する施策の変遷
2.韓国における特殊教育を受ける子どもの推移
3.障害者権利条約に関するパラレルレポート、質問と応答、総括所見
4.韓国のインクルーシブ教育の実現への課題
第4章 日本における障害のある子どもの教育の歴史的変遷とインクルーシブ教育
1.日本の障害のある子どもの教育に関する施策の変遷
2.日本における特別支援学校・特別支援学級・通級で教育を受ける子どもの推移
3.日本型インクルーシブ教育とは
4.障害者権利条約に関するパラレルレポート、質問と応答、総括所見
第Ⅱ部 事例研究
第5章 大阪市立大空小学校
1.大空小学校の歴史とあゆみ
2.第1ステージ前半――開校時から2009年度までの4年間
3.第1ステージ後半――2010年から木村泰子の退職(2015年春)までの5年間
4.第2ステージのスタート――二代目校長市場達朗の時代(2015年4月~ 2018年3月)
第6章 大空小学校の重層的な教育構造
1.キーワードの定義とフレームワーク
2.大空小学校の教育理念とビジョン
3.行動規範
4.大空小学校の教育方針
5.大空小学校の教育方針を支える実践
5.1 全校道徳
5.2 ふれあい科――コンサート
5.3 オープン講座
6.大空小学校の組織と運営
6.1 教員の担当制とチーム制
6.2 学校公開と地域サポーターとの協力
7.子どもへの関わりの実践
7.1 子どもに寄り添い、聴く、そして伝える
7.2 守るべき存在としての子ども
7.3 子ども同士の学び合い
8.大空小学校の重層的な教育構造
第7章 大空小学校と地域・外部社会との関係性
1.大阪市のはぐくみネット事業
2.学社融合による学校公開と外部リソースの利用
3.「新しい公共」型学校の実践による地域コミュニティの再生
4.大空小学校と地域社会
5.地域サポーターの事例
5.1 3つの顔
5.2 自分の家のような学校
5.3 経営者の気づき
6.学校公開と地域に根ざしたインクルーシブ教育
第Ⅲ部 分析・考察・継続調査
第8章 東アジアにおけるインクルーシブ教育の実現の困難性の克服
1.東アジア3カ国の特殊・特別支援教育とインクルーシブ教育政策の比較
2.東アジア3カ国のインクルーシブ教育の実現の課題の比較
3.大空小学校はインクルーシブ教育の実現の困難性をどのように克服しているのか
3.1 医学モデルと発達保障論を基盤とした分離教育の存続に関して――大空小学校の障害の捉え方
3.2 通常学校教育改革の実施
3.2.1 この子と一緒に授業をするためにはどうしたらよいのか
3.2.2 子ども同士の相互作用による支援の必要な子どもの包摂
3.2.3 教員の配置手法と人員の確保
3.2.4 学校公開による保護者の理解と承認
3.3 機会の均等と個別支援を求める声の緊張関係
3.4 インクルーシブ教育の理論化の問題
4.大空小学校が直面している今後の課題
4.1 インクルーシブ教育に内在する緊張関係の緩和への継続的な取り組み
4.2 他の地域からの転入者の増加傾向への対応
4.3 重層的な教育構造の継承と「学習する学校」として進化するための取捨選択
第9章 継続調査――大空小学校の第3ステージ(2018年4月~2025年3月)
1.三代目校長岩本由紀の時期(2018年4月~2022年3月)とコロナ禍の大空小学校
2.四代目校長今中綾子の時期(2022年4月~2024年3月)
3.五代目校長清水高志の時期(2024年4月~現在)
4.大空小学校の重層的な教育構造の変化
4.1 教育理念の「みんなの学校」をつくる主体の関わり方の変化
4.2 行動規範と教育方針の実践方法の変化
4.3 教員の「働き方改革」について
5.大空小学校の重層的な教育構造の変化の要因と今後の課題
6.地域との連携の再開と進化に向けて
第10章 イギリスとカナダ・オンタリオ州ハミルトンにおけるインクルーシブ教育の実践
1.イギリスにおけるインクルーシブ教育の歴史的変遷
1.1 サッチャー政権時代
1.2 労働党ブレア政権のインクルーシブ教育
1.3 保守党2010年のキャメロン政権でのインクルーシブ教育政策の変更
1.4 障害者権利委員会の総括所見
1.5 EHCプランへの移行とSEND危機
2.カナダ・オンタリオ州ハミルトンにおけるインクルーシブ教育の実践
2.1 HWCDSBのインクルーシブ教育の歴史・理念・実践
2.2 インクルーシブ教育の実現の課題の克服
2.3 専門支援スタッフによるサポート
2.4 地域社会による包摂
結論と提言 地域に根ざしたインクルーシブ教育の実現に向けて
1.東アジア3カ国とイギリス・カナダHWCDSBの事例の比較
2.東アジア3カ国のインクルーシブ教育の実現に関する提言
参考文献
付録図(「2024年4月号大空小学校スクールレター」)
あとがき
索引
