
若者支援政策の現在地
出版社: 明石書店
- 2000年代以降、若者の困窮は労働にとどまらず、貧困や居場所、居住などの課題として顕在化してきた。コロナ禍で一層可視化する一方、2023年のこども家庭庁発足で若者支援政策の後景化が懸念される。本書は政策動向を批判的に検討し、若者支援の展望を示す。
- 序章[岡部茜/御旅屋達/原未来]
1 若者の後景化と「子ども化」
2 家庭に埋め込まれる若者
3 「若者」とは誰のことか
4 本書の構成
第1章 日本社会における「若者支援政策」の俯瞰と課題[南出吉祥]
1 はじめに
2 法律に示される「若者」の位置づけ
3 2000年代以降の「若者支援政策」の推移
4 若者支援政策全体の課題
5 おわりに――「若者の権利」の保障に向けて
第2章 「こどもの居場所づくり」の陥穽を見抜く――自律的・自治的な実践をつくり続けるために[阿比留久美]
1 はじめに
2 こども家庭庁における「こどもの居場所づくり」
3 多様なアクターによってつくられていく「こどもの居場所づくり」
4 「こどもの居場所づくり」政策がはらむもの
5 ロールアウト型社会における市民参加の危うさ
6 ロールアウト型の統治に抗する仕組み
7 おわりに
第3章 「子ども・若者総合支援センター」とは何か――自治体間の多様性と資源制約に着目して[御旅屋達]
1 はじめに
2 包括的支援の必要性と「子ども・若者総合相談センター」
3 調査の概要
4 調査結果から見るセンターの多様性
5 現場の声から見る四つの制約
6 おわりに――多様さの背後にあるもの
第4章 こども政策は若者の住まいの権利を保障するか――若者の住まいに関する政策動向と課題[岡部茜]
1 はじめに――若者期の住まいの問題
2 若者期と住まい
3 若者支援政策での住まいに関する支援の展開
4 「若者期」の住まいをめぐるいくつかの論点
5 おわりに――若者期の住まいの権利の保障にむけて
第5章 ヤングケアラー支援における若者の位置[斎藤真緒]
1 はじめに
2 ヤングケアラーの「社会問題」化と若者ケアラーの位置づけ
3 若者ケアラーへの支援をめぐる課題
4 ケアを通じた新しい社会の模索――ケアのジレンマを語る可能性
5 おわりに――ケアの民主主義と若者
第6章 社会的養護を経験した若者の「自立」と支援のこれから[永野咲]
1 はじめに――社会的養護を必要とするということ
2 社会的養護を経験した若者はどのように生きているか――ライフチャンスの概念から紐解く
3 既存の制度を正しく活用する
4 社会的養護を経験した若者等の「自立」支援の「拡大」
5 社会的養護における当事者「参画」を困難にしてきたもの
6 おわりに――子ども・若者の声を中心とした社会的養護へ
第7章 「声を聴く」政策に潜む排除――若者と共に在る実践からみる「意見反映」[原未来]
1 はじめに
2 意見を聴かれる権利
3 「声を聴く」政策の実態と課題
4 「声を聴く」とはなにか
5 共に在るなかで声を聴く、声を紡ぐ
6 おわりに
第8章 若者と「こども計画」――官民協働とネットワーク構築[鈴木綾]
1 はじめに
2 「こども基本法」と「こども計画」
3 NPO法人こおりやま子ども若者ネットワークの展開経過
4 行政側の視点――こども部 佐藤麗子氏へのインタビュー
5 計画施行後の状況と今後の課題
6 おわりに――市民一人の無力感を伴う声から始まる市民活動
終章――本書における示唆と若者支援政策の今後[岡部茜/御旅屋達/原未来]
1 なにが前進し、どこに課題が残されているのか
2 家庭への埋め込みの実際と、それを乗り越える糸口
3 「切れ目ない支援」の陥穽
4 「声を聴く」をスローガンで終わらせないために
5 本書の限界と今後の課題
