
フランス語圏を知るための61章
出版社: 明石書店
- フランス語話者は2050年には現在の倍以上の7億人を超えると予測されている。本書ではフランス語を公用語もしくは行政言語とし、または一定程度の話者を擁する国々を「フランス語圏」と定義。複雑で多様なフランス語圏の政治・経済・社会・文化を、特にグローバル化との対比において活写する。
- はじめに
地図1 フランス語話者人口(2022年)
地図2 本書で主に扱った国・地域
Ⅰ 世界におけるフランス語の諸相
第1章 フランス語圏の言語史――拡大と多様化
第2章 フランス語圏の地域言語――ヨーロッパの地域に根ざした諸言語のあり方
第3章 フランス語の普及政策――文明化の使命から言語多様性の保護へ
【コラム1】レバノンにおけるフランコフォニー
第4章 ジェンダーをめぐるケベック・フランス語の言語政策――「人の呼称の女性形化」と「通性的な書き方」の推進
第5章 脱フランス中心の言語規範――モリエールのことばから〈みんなのことば〉へ
【コラム2】フランス領ポリネシアの多言語社会におけるフランス語
第6章 フランス語圏における若者ことば――言語接触の中でことばを創造する若者たち
第7章 フランス語教育におけるグローバル化の流れ――多様なフランス語を反映させる試みと課題
【コラム3】西アフリカの多言語社会とフランス語
Ⅱ グローバル・ヒストリーの中のフランス語圏
第8章 近世フランスの世界戦略と植民地建設――領域経営と沿岸拠点
【コラム4】フランス語圏と植民地
第9章 世界に散らばるフランス共和国――海外領土からみるフランス史
第10章 フランスが創ったサハラの歴史――支配と抵抗、オリエンタリズムそして未来への警鐘
第11章 植民地が育てた反植民地運動――マダガスカル知識人エリートの闘い
第12章 フランスの東方外交と学知――19世紀初めのアレッポ総領事ルソー
【コラム5】19世紀前半のエジプト人知識人が見たパリ
第13章 フランスにおけるクルド研究のはじまり――先駆者たちの横顔
第14章 「ラオス」をどう創るか――インドシナ諸国の独立
第15章 ベトナムをめぐる日本とフランス――「帝国主義的共犯関係」の確立
第16章 アルジェリアの脱植民地化と歴史認識――フランスへの引揚者の「記憶の戦争」をめぐって
【コラム6】フランツ・ファノン
Ⅲ グローバル経済とフランス語圏
第17章 フランス語圏内外の経済交流――貿易と投資
【コラム7】フランス語圏の経済空間を測る
第18章 フランス語圏企業のグローバル展開――大企業の3類型
第19章 開発援助と移民送金――フランス語のつながりか、歴史の遺産か
第20章 グローバルな不平等と貧困――長期推計にみるトレンド
第21章 移民経済からの困難な脱却――チュニジア南部の事例
第22章 グローバル化の中の社会的連帯経済の広がり――マグリブ三国での動向を中心に
第23章 水資源開発――北アフリカ・オアシス社会の変貌
第24章 グローバル化の中の食料安全保障と農業開発――北西アフリカ
【コラム8】マダガスカルの豊富な資源と貧困
第25章 グローバル化する保全政策と地域文化の交差点―― 中央アフリカ・コンゴ盆地の事例から
第26章 緑のコロニアリズム――現代の歴史
【コラム9】地球の肺=ガボンの熱帯雨林
Ⅳ フランス語圏をとりまく世界秩序の変革
第27章 宇宙開発とフランス語圏――先端技術と植民地支配のコントラスト
第28章 世界秩序の変動とフランス――ウクライナ危機への道程
【コラム10】冷戦期の米ソ共存に抗うフランス
第29章 外交力の基盤としてのフランス語圏――フランスの「勢力圏」形成と撤退、中ロの台頭
第30章 フランスとアフリカ――歴史的関係に動揺?
第31章 フランス語圏への国連マルチ外交――PKOを通じたフランスの国益追求
第32章 EUの戦略的自律――フランス発ベルギー着の進化型概念
第33章 航空分野におけるEUとフランス――EU共通航空政策の導入による変化を中心に
第34章 ナゴルノ・カラバフ問題をめぐるフランス政治外交――アルメニアとのつながり
第35章 「インド太平洋」の地理概念をめぐる国際政治――フランスは太平洋国家になりえるか
【コラム11】ジブチを拠点とした自衛隊の海賊対処活動と国際協力
Ⅴ グローバル化とフランス語圏の政治
第36章 ポピュリズムに揺れるフランス政治――政党システムの再編へ
第37章 ベルギーの政治外交――境界線上の「欧州の首都」
第38章 「アラブの春」以後の東アラブ――フランス委任統治がシリアとレバノンに残した爪痕
第39章 新自由主義アルジェリアと民衆運動ヒラク――新自由主義政治の世界
第40章 フランスとルワンダ――「フランサフリック」の破綻
第41章 グローバル化の中の資源開発と政治的不安定――暴力の連鎖が拡大するサヘル
第42章 ニューカレドニア脱植民地化の闘い――先住民の権利と現代社会のはざまで
【コラム12】2023年地震にみるモロッコの対外関係
Ⅵ グローバル化により変貌するフランス語圏社会
第43章 奴隷貿易・奴隷制をめぐる記憶の場所――「トビラ法」が変えたフランスの史的風景
第44章 ケベックの政治と宗教――フランス的なライシテへの接近?
第45章 ケアのグローバル化とフランス――移住女性への家庭での外部化
第46章 ヨーロッパ・フランス語圏の生命倫理――ルクセンブルクでは誰もが安楽死できるのか
第47章 ベルギーにおける死刑廃止をめぐって――事実上の廃止から実際の廃止まで
第48章 フランス憲法への中絶権の編入――フランス法のソフトパワー
【コラム13】フランスで敗れたフェメンの夢
第49章 フランス的著作権法観の伝播――人間としての著作者に向き合う法思想
第50章 人権とイスラーム――チュニジア刑法とLGBTの権利
第51章 変化する難民・移民受け入れの論理――ホスピタリティからプラグマティズムへ
【コラム14】イスラモフォビアとフランス
Ⅶ グローバル化との相克におけるフランス語圏の文化
第52章 アフリカ中西部の民話――開かれた文学に出会う
第53章 フランス語圏カリブ海の女性作家たち――奴隷制を背景とした生と言葉の模索
第54章 ユダヤ人としてベルギーに生まれて映画作家になること――シャンタル・アケルマンについて
第55章 2024年パリ・オリンピックにおけるフランス語圏アフリカ――二重国籍選手の重要性
第56章 フランス歌謡界にみるグローバル化――アヤ・ナカムラのパリ五輪参加をめぐる論争
第57章 ヒップホップ/ラップ――持たざる者のフランス語
第58章 「新世界」との出会いとフランスの食の変化――七面鳥とトマトを例に
第59章 18世紀フランス美術の国際的波及――生きる歓びへの憧憬と文化政策
【コラム15】アルジェリアの日本式マンガ創作とフランス語
第60章 西洋において忘れられる夜――地球規模課題に通ずる今日の問題
第61章 東南アジアから見た文化遺産保護――カンボジアとアンコール遺跡の考古学
【コラム16】フランス語が拓いた私のアジア研究
フランス語圏を知るための基本文献
