難民がつくる学校教育

難民がつくる学校教育

出版社: 明石書店
著者: ガラーウィンジ山本 香
  • トルコのシリア国境地域における綿密な現地調査にもとづいて、そこに難民として暮らすシリアの人びとが築き上げた学校教育の多様性、多面性、ダイナミズムを描き出し、人びとの営みの総体としての学校教育の役割を明らかにする。
  •  はしがき
    序章 なぜシリア難民による学校運営を質的に紐解くか
     第1節 「難民」概念の定義と変遷
     第2節 難民教育の重要性と課題
     第3節 都市難民と教育
     第4節 シリア難民の概況とトルコでの受け入れ
     第5節 問題の所在と研究の目的
    第1章 難民教育研究の現在地
     第1節 難民の文脈における学校教育の役割
      1.1 学校における人道支援
      1.2 「平和」を目指した教育の危うさ
      1.3 共同体への帰属の促進
     第2節 難民教育研究の特質
      2.1 人道援助プロジェクトとしての難民教育
      2.2 個別・長期的視座の必要性
     第3節 難民の生活世界からみる教育
     第4節 難民教育研究に求められる分析要因
    第2章 シリアの国情とトルコによる難民受け入れの変遷
     第1節 シリアの国情と人びとの生活
      1.1 概要と歴史
      1.2 独立後、紛争前の政治体制
     第2節 シリア危機の勃発と難民の発生
     第3節 シリアの人びとの教育状況
      3.1 紛争前のシリアにおける高い就学率と学習内容の偏重
      3.2 紛争勃発後、教育にむけられた暴力
      3.3 シリア難民の子どもの教育状況
     第4節 トルコ政府によるシリア難民受け入れ
      4.1 トルコによる難民受け入れの歴史と制度
      4.2 シリア難民からみたホスト国トルコの特徴
     第5節 トルコにおけるシリア難民への教育支援
      5.1 国際支援ネットワークとの希薄な協調関係
      5.2 トルコにおけるシリア難民の就学状況と「仮設教育センター」
      5.3 シリア人学校に対する不公平なまなざし
    第3章 トルコのシリア国境地域における都市難民の実態
     第1節 調査期間と調査対象校へのアクセス
     第2節 調査地の概要
      2.1 ハタイ県
      2.2 シャンルウルファ県
      2.3 ガジアンテップ県
     第3節 調査の方法と留意点
    第4章 シリア人学校が展開してきた環境と背景
     第1節 キャンプ外で運営されるシリア人学校の教育構造
      1.1 シリア人学校の運営維持と機能を支える多様なアクター
      1.2 シリア教育委員会(SEC)とシリア暫定政府(SIG)教育省によるカリキュラムの作成
      1.3 トルコ語教育の導入
      1.4 学校を構成する諸要素
     第2節 シリア人学校における教育内容と政治思想
      2.1 国内外の組織や個人からの物的・資金的援助
      2.2 多様なアクターが入り混じる卒業資格の保証とその変容
     第3節 シリア人学校をとりまく環境
      3.1 子どもの就学を支える親世代の教育需要
      3.2 あらゆる共同体からの孤立
      3.3 家庭内環境の変化
      3.4 トルコでの暮らしとシリアへの想い
      3.5 小括
    第5章 シリア人学校を支える人びとの営み
     第1節 シリア人学校の多様な成り立ち
      1.1 「手づくりの学校」
      1.2 シリア人の手から離れた学校運営
      1.3 トルコ行政による管理とゆるやかな連携
      1.4 設立から閉校まで
      1.5 小括
     第2節 シリア難民の視点からみる教育構造の経年的変容
      2.1 設立期:難民の増加にともなうシリア人学校の台頭(2011~2013 年)
      2.2 展開期:多様なアクターとの連携(2014 年)
      2.3 停滞期:トルコ政府による政治的介入(2015 年以降)
      2.4 小括
     第3節 シリア人学校がもたらす関係者間の利害関係と分断
      3.1 卒業資格をめぐる就学・不就学にかかる戦略
      3.2 よりよい教育機会の希求と現状に対する不満
      3.3 雇用機会の獲得にかける教師の渇求
      3.4 援助者に対する学校関係者の排他的な視点
      3.5 小括
     第4節 シリア人学校がもつそれぞれの意味
      4.1 難民経験がもたらした喪失の補償
      4.2 難民であるがゆえの「自由」の体現
      4.3 分断されたシリア人を結ぶ連帯の形成
      4.4 連帯の背景にある経営者の焦燥
      4.5 小括
    終章 人びとを繋ぐシリア人学校を創る
     第1節 独自のシリア人学校運営を支える構造の多面性
      1.1 政治的アクターの関与がもたらしたシリア人学校への影響
      1.2 平板化されたシリア人学校における構造的な課題の表出
      1.3 シリア人学校に内在する平板化の弊害
     第2節 シリア人学校をめぐる連帯と分断
      2.1 シリア難民にとっての主体性と自由の価値
      2.2 中立的な援助者に対する排他性
      2.3 難民生活における学校教育の役割
     第3節 おわりに
      3.1 本研究のまとめ
      3.2 本研究の意義と今後の課題
     あとがき
     引用文献
     索引

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