
変容するジェンダーの人類学
出版社: 明石書店
- 現代のグローバルな経済圏の中で従来の政治・文化・経済は目まぐるしい変化の時期を迎え、それはジェンダーにおける慣習や社会的関係にも大きな影響を及ぼしている。現地の女性たちのライフストーリーや生活、家族に焦点を当て、社会の実相を描き出すエスノグラフィー。
- 序章[菅野美佐子・八木祐子]
はじめに――本書のねらい
第1節 アジアにおける社会変容とジェンダー
第2節 ジェンダーギャップ指数でみるアジア社会
第3節 ジェンダーの民族誌――フィールドワークの権力性と親密性
第4節 本書の構成
おわりに
第1部 変化のなかでしなやかに生きる女性たち
第1章 マーイーの夢――北インド農村における高齢女性の生活世界とその変化[八木祐子]
はじめに
第1節 マーイーの生い立ち
第2節 大家族に生きる
第3節 変わりゆく農村社会のなかで
第4節 変わる家族とジェンダー
おわりに――隠居するマーイー
第2章 ネワールの初潮儀礼からよむ月経のケガレとその変化[工藤さくら]
第1節 社会背景 ネパールとネワール社会
第2節 ジェンダー 身体・結婚・離婚
第3節 初潮儀礼から出家儀礼へ
第4節 合理的選択と「伝統」のはざまで
第2部 新自由主義下の福祉と労働
第3章 「だれひとり取り残さない」は可能か?――インドにおける福祉の現場から[菅野美佐子]
はじめに――農村の福祉プログラムと社会変容
第1節 北インド農村の女性の暮らしと福祉プログラム
第2節 新自由主義インドの福祉政策
第3節 福祉職員の希望と苦悩
第4節 加速する新自由主義と福祉
おわりに
第4章 グローバルなまなざしのなかで生きるバングラデシュの女性たち――「マイクロクレジット」の次は「ラナプラザ」?[南出和余]
はじめに
第1節 バングラデシュのジェンダーギャップ指数の推移
第2節 開発レジームで築かれた「バングラデシュの女性」に対するグローバルなまなざし
第3節 バングラデシュ輸出型アパレル産業の推移
第4節 縫製工場(輸出型アパレル産業)で働く労働者たちの生活
第5節 アパレル産業の「改善」と男性化
おわりに――アパレル産業での労働は女性たちに何をもたらすのか
第3部 社会主義を生き抜いた女性たち
第5章 役割をめぐる環境と実践――北ラオス村落社会における女性の経験[吉田香世子]
はじめに
第1節 ラオスにおける女性の位相
第2節 村落社会と女性――二〇〇四年のNT村
第3節 女性の経験――ヤイの話
第4節 女性の経験――センの話
おわりに
第6章 ベトナム北中部地域に暮らす高齢女性ユリのライフストーリー――社会主義化にともなう選択の享受と「豊かな」関係性の広がりに注目して[伊藤まり子]
はじめに――ベトナム女性の現在
第1節 記憶のない父の姓の継承と「実家」としての母方家族
第2節 ハノイでの進学とキャリア形成
第3節 カオダイ教信仰と「育児」の選択
おわりに――ユリのライフストーリーにみる多様な選択と「豊かな」関係性の広がり
第4部 変わりゆくアジアのジェンダー
第7章 家族をイスラーム化する――インドネシア都市中間層における女性役割の再配置[西川慧]
はじめに
第1節 インドネシアの女性政策の歴史と現在
第2節 ヒジュラ運動とポップなサラフィー主義
第3節 「保守的」なイスラーム主義運動の革新性
おわりに
第8章 同性パートナーと生きる――東北タイ農村の家族と性的マイノリティの選択[木曽恵子]
第1節 タイはLGBTフレンドリーか
第2節 タイ社会のジェンダー秩序
第3節 フィールドで出会った家族と私
第4節 同性パートナーとの暮らしと農村の家族
第5節 都市移住という選択
第6節 寛容と非受容のあいだで
第9章 選ばれない姓――日本と中国における夫婦別姓/同姓と子どもの姓をめぐって[川口幸大]
第1節 姓と性をめぐる生から
第2節 選ばれない女性の姓――妻と子
第3節 日本と中国の選ばれない姓
第4節 選ばれない姓とよき生をめぐって
終章――新自由主義とジェンダー[菅野美佐子]
はじめに
第1節 アジアにおける新自由主義
第2節 新自由主義の暴力性
第3節 新自由主義と交渉するアジアの人々
第4節 これからの文化人類学
おわりに
