
東アジアにおける移動と交錯
出版社: 明石書店
- 本書では、日本統治時期における中国東北、モンゴル、朝鮮など、多民族社会に関するさまざまな歴史資料をもとに、これらの地域における人とモノの流れを横断的に捉え、かつ1945年前後の歴史の連続性に着目した点に特色があります。
- はじめに[広川佐保]
第一章 戦前期朝鮮~中国華北における除虫菊栽培とその展開――済州島を中心に[辻大和]
はじめに
Ⅰ 除虫菊とは
Ⅱ 朝鮮での除虫菊導入
1.朝鮮での除虫菊導入――長岡佐介商店の活躍
2.統計からみる朝鮮での除虫菊生産状況
小括
Ⅲ 済州島での除虫菊栽培
1.済州島内での除虫菊栽培奨励状況
2.一九三九年の農業技師高橋昇による除虫菊栽培調査記
小括
Ⅳ 一九四一年前後の日本勢力圏における除虫菊栽培の動向
1.大日本除虫菊
2.長岡佐介商店
3.中国大陸へ
4.帝国除虫菊の青島工場
小括
Ⅴ 除虫菊の需要について
除虫菊の限界など
小括
おわりに
コラム1 京城帝国大学の満洲モンゴル探検[辻大和]
先鞭:薬学関連
社会学、人類学からのアプローチ
満蒙文化研究会
一九三八年の京城帝国大学蒙疆学術探検隊
資料の状況
第二章 一九一〇~一九二〇年代における満鉄公所の活動について――東部内モンゴルとの関わりを中心に[大野太幹]
はじめに
Ⅰ 満洲各地の満鉄公所
1.最初の満鉄公所――奉天公所
2.哈爾濱公所
3.北京公所
Ⅱ 東部内モンゴルにおける満鉄公所
1.鄭家屯公所
2.斉斉哈爾公所
3.洮南公所
おわりに
コラム2 史料から見る近代日本とモンゴルの関係――国立公文書館アジア歴史資料センター公開史料を中心に[大野太幹]
はじめに
満洲事変前までのモンゴル関係史料
満洲国期・蒙疆政権期のモンゴル関連史料
第三章 センゲリンチンの「遺産」――昌図金氏と「七里界」[広川佐保]
はじめに
Ⅰ 清朝時代における「蒙地」の開墾と昌図金氏
1.ホルチン左翼後旗への昌図金氏の移住
2.センゲリンチンの襲爵――開墾と「七里界」の形成
3.センゲリンチン――太平天国、アロー戦争、捻軍鎮圧まで
Ⅱ 清末から民国期における「七里界」
1.フルフンの台頭
2.辛亥革命前後の「七里界」
Ⅲ 一九二〇年代、奉天省の土地整理と「七里界」
1.「対華二十一カ条要求」以降、日本の内モンゴル東部進出
2.奉天官地清丈局による「六県清丈」
3.東洋拓殖株式会社による地券買収
4.文書から浮かび上がる「七里界」
5.「七里界」におけるモンゴル人と旗の関係
Ⅳ 満洲国成立と「七里界」の消滅
1.満洲国期の変化――「蒙地奉上」と朝鮮人移民
2.昌図金氏のゆくえ
おわりに
コラム3 「在外朝鮮人事情研究会」とその出版物――一九二〇年代、朝鮮と中国東北・モンゴル・沿海州をつないだもの[広川佐保]
雑誌創刊の背景――朝鮮人の移動と東北アジア
研究会をめぐるひとびと
『在外朝鮮人事情』誌
内モンゴル東部への朝鮮人移民――鄭家屯から白音太来へ
第四章 西遼河流域における天然ソーダ資源の開発――一九一〇~一九二〇年代における日中企業の活動を中心に [烏尼爾(ウニル)]
はじめに
Ⅰ 西遼河流域における天然ソーダ産地の分布
1.地理的環境と天然ソーダ産地の形成
2.天然ソーダ資源の分布
Ⅱ 漢人による天然ソーダ資源の開発
1.「大興合資有限公司」の設立
2.「遼西公司」と「碱業公司」
Ⅲ 西遼河流域における天然ソーダ資源の生産量
Ⅳ 日系企業の進出
1.「東京アルカリ工業株式会社」の活動
2.「三国公司」と「蒙古曹達工業株式会社」の進出
3.日系企業に対する中華民国側の警戒
おわりに
コラム4 在韓モンゴル人とモンゴルタウン[深井啓]
韓国を目指すモンゴル人――統計資料から
モンゴルタウンの形成とそのエスニック・タウンとしての機能
第五章 東部内モンゴルにおける大倉財閥の農場進出――華興公司を中心に [ボルジギン・ブレンサイン]
はじめに
Ⅰ 対モンゴル王公借款
1.ハラチン(喀喇泌)王借款
2.粛親王借款
3.ナイマン(奈曼)王に対する借款
Ⅱ 東部内モンゴルにおける大倉財閥の農場経営
1.大倉喜八郎による「蒙地」獲得への試み
2.華興公司の設立
Ⅲ 華興公司農場をめぐる日中交渉事件
Ⅳ 華興公司と満鉄の関係――牧場経営
Ⅴ 満洲事変時の華興公司襲撃事件
Ⅵ 満洲事変後の事後処理と経営再建
おわりに
コラム5 「蒙疆大米」はいかに誕生したのか――内モンゴルにおける朝鮮族の移住[ボルジギン・ブレンサイン]
地図
地図A 現代の東アジア
地図B 20世紀の東北アジア
地図C 朝鮮半島
編著者・執筆者紹介