
猛威を振るうストロングマン
出版社: 明石書店
- 21世紀の民主主義体制において最大の脅威の一つであるストロングマンの登場によって世界はどう変わったのか? またなぜ現代において独裁者は出てきてしまうのか? ロシアからトルコ、フィリピン、タイ、ミャンマー、ルワンダまで激動の社会を統治と指導者から読み解く。
- 序章 ガバナンス改革とストロングマン[外山文子]
1 はじめに
2 ストロングマンと政治体制
3 ガバナンス改革と政治体制への影響
4 本書で扱う事例――欧州と東南アジア
5 本書の構成
第Ⅰ部 ガバナンス改革のあゆみと影響
第1章 権威主義体制におけるガバナンス改革を巡る国際社会と開発援助[小山田英治]
1 はじめに
2 ガバナンスとグッド・ガバナンス改革支援
3 ガバナンス改革を巡る議論
4 権威主義国家に対する政府開発援助
5 権威主義国家によるガバナンス改革
6 ストロングマンによるガバナンス改革――ルワンダのケース
7 権威主義国家への新たなガバナンス支援戦略
8 おわりに
第2章 東アジア経済発展の思潮変遷――市場、政府、ガバナンス[三重野文晴]
1 はじめに
2 「市場重視」と「政府の役割」の同時進行――20世紀末
3 市場を機能させる経済制度=「ガバナンス」――2000年代
4 グローバル化の後退――2010年代以降
5 おわりに
第Ⅱ部 各国のストロングマンたち(1)――民選政権
第3章 ガバナンス改革への「反動」とプーチン体制の確立[溝口修平]
1 はじめに――プーチンの登場
2 ロシアにおけるガバナンス改革
3 1990年代のトラウマとプーチンの権力確立
4 おわりに
第4章 エルドアンによるEU改革支援の「利用」と民主主義の後退[岩坂将充]
1 はじめに
2 トルコ=EU関係の推移
3 EU加盟にむけた諸改革とエルドアン・AKP政権の権力拡大
4 おわりに
第5章 フン・セン体制下における権威主義の強化メカニズム――選挙とガバナンス改革の形骸化[山田裕史]
1 はじめに
2 国連暫定統治後のカンボジア政治の展開(1993~2023年)
3 人民党の常勝を支える選挙操作と選挙サイクル
4 骨抜きにされたガバナンス改革――国軍改革と汚職取締
5 権力の個人化と世襲後も続くフン・セン体制
6 おわりに
第6章 ドゥテルテ政権下のガバナンスの安全保障化――政府‐NGO関係に着目して[木場紗綾]
1 はじめに
2 CSOの能力
3 ドゥテルテ政権の支持率とガバナンス
4 ドゥテルテ政権下でのCSOのアドボカシー
5 ドゥテルテの応答――ガバナンスの安全保障化による規制強化
6 各行政機関の対応――CSOは依然としてガバナンスのステイクホルダー
7 ボンボン・マルコスはストロングマンではない
8 おわりに――フィリピン市民社会のレジリエンス
第Ⅲ部 各国のストロングマンたち(2)――軍事政権
第7章 タイにおけるガバナンス改革と反動、軍事政権の再登場[外山文子]
1 はじめに――強権政治家の再登場
2 タイにおけるガバナンス改革
3 ガバナンス改革が生み出したストロングマン――タックシン政権
4 ガバナンス改革への反発と政治手段化――プラユット政権
5 おわりに――「グッドガバナンス」の功罪
第8章 タイにおける「ストロングマン」誕生の土壌[赤木攻]
1 はじめに
2 王権――正統性の源泉
3 反共――軍部・王室連携
4 ISOC――コングロマリット
5 ロイヤリスト共産主義者
6 タックシンとプラユット
7 おわりに
第9章 ミャンマーにおけるガバナンス改革と軍政[伊野憲治]
1 はじめに
2 テイン・セイン政権成立の背景
3 テイン・セイン政権、スーチー政権下のガバナンス改革
4 変わらぬ軍政――1988年との比較から
5 おわりに
あとがき