山よりほかに友はなし
出版社: 明石書店
- イラン生まれのクルド人ジャーナリストで難民となったベフルーズ・ブチャニーが、オーストラリアの悪名高いマヌス島の難民収容所に6年にわたって収容された実体験をもとに書かれた物語。本書は収容施設の監視の目を掻い潜って携帯電話のテキストメッセージとして書かれ、支援者の手によって出版された。
国家権力による恐怖と支配にさらされた人々の生を、鋭い観察眼と洞察力をもって克明につづったモノグラフでもあり、あらゆる抑圧に抗う究極の反戦文学、ポストコロニアル文学、そして収容所文学ともいえる。 - まえがき[リチャード・フラナガン]
翻訳者の物語――山並みを見晴るかす窓辺[オミド・トフィギアン]
免責事項
第一章 月明かりの下で/不安の色
第二章 山々と波/栗の木と死/あの川……この海
第三章 煉獄の筏/月は恐ろしい真実を語るだろう
第四章 軍艦での瞑想録/我らがゴルシフテは実に美しい
第五章 クリスマス(島)の物語/流浪の星へと追放された国なきロヒンギャの少年
第六章 さまよえるコリースたちのパフォーマンス/メンフクロウの監視
第七章 爺さん発電機/首相とその娘たち
第八章 列という名の拷問――マヌス監獄の論理/幸福な牛
第九章 父の日/巨大なマンゴーの木と優しい巨人
第一〇章 コオロギたちの合唱、残酷な儀式/マヌス監獄の神話的地形
第一一章 カモミールに似た花/感染症――マヌス監獄症候群
第一二章 黄昏時/戦争の色
翻訳者の考察[オミド・トフィギアン]
注釈
日本語版刊行に寄せて[オミド・トフィギアン]
山よりほかに友はなし――その背景[テッサ・モーリス=スズキ]
監訳者あとがき[一谷智子・友永雄吾]
著者・訳者・寄稿者紹介