普遍主義の可能性/不可能性

普遍主義の可能性/不可能性

出版社: 法政大学出版局
著者: 有賀 誠、田上 孝一、松元 雅和
  • 文化や言語、人種や性の多様性・特殊性が尊重されるべき現代世界のなかで、いま普遍主義はどのように可能なのか。全12章最新論集。
  • 文化や言語、人種や性の多様性・特殊性が尊重されるべき現代世界のなかで、いま普遍主義はどのように可能なのか。真に平等な共生の可能性を探る全12章の研究論集。
  • 文化や言語、人種や性の多様性・特殊性が尊重されるべきグローバル世界のなかで、いま「普遍主義」はどのように可能なのか。西洋中心主義的・植民地主義的な価値の押しつけではなく、排他的なナショナリズムによる反西洋・反合理主義でもなく、新自由主義に回収されてしまうポストモダンでもない、真に平等なコスモポリタニズムの可能性を問う共同研究論集。分断を超える理論と実践のために。
  • まえがき  【有賀 誠】
    第1部 グローバル化のなかの普遍主義
    第1章 「帝国」の普遍主義とコスモポリスの普遍主義──対話するコスモポリタニズムの可能性 【伊藤恭彦】
    はじめに──グローバルな正義とコスモポリタニズムの挫折?
    1 コスモポリタニズムの社会的背景
    2 対話的コスモポリタンの可能性
    おわりに──コスモポリティクス
    第2章 正義の探求にあたってコスモポリタニズムはもう不要なのか? 【上原賢司】
    はじめに──今の時代におけるコスモポリタニズム
    1 「コスモポリタニズム」をつかまえる──いくつかの分類と評価
    2 私たちは「誰しもコスモポリタン」である?──コスモポリタニズム不要論の含意
    3 コスモポリタニズムとグローバルな政治共同体──新たなコスモポリタニズムの可能性
    おわりに──私たちは「誰しもコスモポリタン」ではない!
    第3章 グローバル化は「進歩」「時代の趨勢」だと言えるのか──新自由主義的な通俗的歴史観を疑う【施 光恒】
    はじめに──今なお進む「グローバル化」「英語化」
    1 「グローバル化史観」と「進歩」のイメージ
    2 近代社会の成立の条件としての翻訳の意義
    3 現在のグローバル化は「退歩」の側面を持つのでは?
    4 「近代主義」のネイション論への疑念
    5 多元的世界の必要性
    6 「国際化」ビジョンという代替案
    おわりに
    第4章 パトリオティックな配慮とその限界──国際社会における消極的/積極的義務 【松元雅和】
    はじめに
    1 国際社会の四つの義務
    2 選好テーゼ
    3 同等テーゼ
    4 優先テーゼ
    おわりに
    第2部 西洋/反西洋の思想と普遍主義
    第5章 マルクスにおける普遍と特殊 【田上孝一】
    はじめに
    1 階級闘争の真実
    2 普遍的解放を目指すヒューマニズム
    3 普遍的解放の主体としてのプロレタリアート
    4 私的所有否定の真意
    5 普遍的価値としてのヒューマニズム
    6 マルクスによる真正社会主義批判の真意
    7 特殊主義の創始者としての後期エンゲルス
    おわりに
    第6章 共和主義と普遍主義──シティズンシップの領域性の再検討 【中村隆志】
    はじめに
    1 共和主義的シティズンシップ
    2 多元的社会における市民的徳
    3 政治的統合の特殊性と普遍性
    おわりに
    第7章 「ヴァナキュラーな価値」の普遍的帰結の可能性、そして現代的課題 【松山聡史】
    はじめに
    1 「普遍的なもの」の西洋的なあり方──制度化された「普遍的なもの」
    2 ヴァナキュラーな価値──「制度化された価値」の根本的な対義語
    3 「普遍的なもの」のもう一つのあり方──制度化されていない「普遍的なもの」
    おわりに
    第3部 東洋・日本の思想と普遍主義
    第8章 現代コミュニタリアニズムの普遍性──西洋の普遍主義と東洋の普遍主義 【菊池理夫】
    はじめに
    1 現代コミュニタリアニズムは特殊主義なのか?
    2 英米の自由主義と「自由な帝国」
    3 西洋帝国主義とアジア主義の普遍主義
    おわりに
    第9章 反普遍主義の政治──ハイデガーと京都学派の場合 【轟 孝夫】
    はじめに
    1 ハイデガーの反普遍主義
    2 京都学派の反普遍主義
    3 反普遍主義の可能性
    おわりに
    第4部 ポストモダン以降の政治と法における普遍主義
    第10章 アイデンティティ政治のパラドクス──普遍性はどのように回復されるべきか 【有賀 誠】
    はじめに
    1 アイデンティティ政治の興隆とその問題
    2 リベラルの処方箋とその問題点──A・センとW・ブラウン
    3 普遍主義の回復──A・バディウと出来事
    4 普遍的なものはどこに見出されるのか──S・ジジェクの「ポスト政治」批判
    5 出来事を見出すのは誰か
    おわりに
    第11章 I・M・ヤングにおける「普遍主義」──「構造」をめぐる議論を「経験」へと開くこと 【大場優志】
    はじめに
    1 「普遍性」に対するヤングの立場
    2 「普遍性」をめぐる疑問
    3 「経験」に基づいて「構造」を論じるなかでの「普遍性」
    4 ヤングにおける「普遍主義」の現代的意義
    おわりに──依然として残されている研究課題
    第12章 法の普遍性への不信──批判法学とその後続者たちに見る信仰喪失の諸相 【見崎史拓】
    はじめに
    1 批判法学──法の普遍性に対する信仰とその喪失
    2 信仰喪失の普遍化可能性
    3 多様な信仰喪失──批判法学的な信仰喪失との距離
    4 信仰喪失の先に──再び普遍性へ?
    5 それでも不信を貫くならば
    おわりに
    あとがき  【田上孝一】
    索引

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