サルトル「特異的普遍」の哲学

サルトル「特異的普遍」の哲学

出版社: 法政大学出版局
著者: 竹本 研史
  • 冷戦下、マルクス主義との伴走過程で生まれた大著『弁証法的理性批判』は何を問題としていたのか。個と集団の力学を掘り下げた労作。
  • 冷戦下、マルクス主義との伴走過程で生まれた大著『弁証法的理性批判』を中心に、個と集団のサルトル的ダイナミズムを示す「特異的普遍」概念を掘り下げた労作。
  • サルトルの後期主要概念である「特異的普遍」。時代の刻印を明確にとどめたこの概念に宿る哲学的潜在力とはどのようなものか。冷戦下、マルクス主義との伴走過程で生まれ、集団や権力、社会運動への原理的考察を展開した大著『弁証法的理性批判』を中心に分析し、対他関係の探究から、スターリン主義批判や加藤周一の知識人論までを視野に、特異性と普遍性をめぐるダイナミズムを多面的に捉えた労作。
  • 序 章
    1 問題設定
    2 本書の構成
    第Ⅰ部 個人の実践と対他関係
    第1章 「弁証法的理性」と「分析的理性」──サルトルにおける個人の実践と自由
    1 「弁証法的理性」の方法
       (A)「分析的理性」としてのマルクス主義批判
       (B)「弁証法的理性」とヘーゲルの影
    2 個人の実践と全体化
    3 デカルト的自由、サルトル的自由
       (A)自由と必然性
       (B)デカルトと絶対的自律性
    第2章 サディズムとマゾヒズム──サルトルにおける他者からのまなざしと他者への性的態度について
    1 他者からの「まなざし」
    2 「愛」をめぐる問題の所在
    3 「愛」と「マゾヒズム」
    4 「性的欲望」と「サディズム」
    第3章 暴力と要求──サルトルのモラル論における祈りと呼びかけ
    1 二重の祈り
       (A)「祈り」と「まなざし」
       (B)ボードレールにおける「二重の請願」
       (C)『悪魔と神』における「挫折」
    2 無力な情況
    3 相互の約束としての「呼びかけ」
    第Ⅱ部 個人の実践と集団統合
    第4章 サルトルと共産党──「唯物論と革命」から『方法の問題』へ
    1 唯物論的神話と革命の哲学
    2 共産主義に最接近するサルトル
    3 ハンガリー動乱以後
    第5章 稀少性と余計者──サルトルにおける「集列性」から「集団」への移行
    1 「稀少性」とは何か
    2 労働と階級
    3 「余計者」から特異な個人へ
    第6章 特異な諸個人の実践と集団形成の論理(Ⅰ)──「溶融集団」における「第三者」と「統治者」
    1 「第三者」の存在
    2 理念としての「溶融集団」
    3 自由と複数性
    第7章 特異な諸個人の実践と集団形成の論理(Ⅱ)──「存続集団」と「専任者」
    1 「誓約集団」と「テロル」
    2 「組織集団」と「職分」
    3 「制度集団」と「専任者」
    第Ⅲ部 「特異的普遍」
    第8章 スターリンの「特異性」──『弁証法的理性批判』第2巻におけるソ連論について
    1 一国社会主義か世界革命論か
    2 「包摂的全体化」を行うスターリン
    3 スターリンの「新‐反ユダヤ主義」
    第9章 死せる知に抗して──サルトルにおける「特異的普遍」について
    1 「特異的普遍」とは何か
    2 「特異的普遍」と「具体的普遍」
    3 「死せる知」に抗する「非‐真理」
    4 「特異性」の普遍化
    5 「普遍性」の特異化
    第10章 「古典的知識人」から「新しい知識人」へ──サルトルの知識人論の変遷と「特異的普遍」
    1 「実践知の技術者」から「知識人」へ
    2 「偽知識人」批判と「恵まれない階級」擁護
    3 「六八年五月」以降のサルトルの知識人論
    第11章 「特異的普遍」としての知識人──加藤周一がサルトルから学んだこと
    1 サルトルの「特異的普遍」と加藤周一
    2 加藤周一によるサルトルの知識人論理解
    3 「六八年五月」以降のサルトルと加藤周一
    終 章
    1 個人の実践と対他関係
    2 個人の実践と集団化
    3 「特異的普遍」
    4 今後の課題と展望
    あとがき
    初出一覧
    参考文献
    事項索引
    人名索引

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