エルサレムの20世紀

エルサレムの20世紀

出版社: 筑摩書房
著者: マーティン・ギルバート、白須 英子
  • 国家建設を目ざすユダヤ人、抵抗するアラブ人、諸国の思惑。エルサレム市民が生きた激動の日々を、膨大な記録で描きだす臨場感に満ちた百年史。
  • 新国家イスラエル建設に燃えるユダヤ人、対して激しい抵抗を繰り広げるアラブ人、そして両者を操ろうとする大国の思惑。20世紀の聖都エルサレムは、歴史的確執が爆発したように、血で血を洗う場となった。本書はその詳細を緻密に記した100年史である。公的文書のみならず、報道記事、回想録、さらには私信など、あらゆる目撃記録を縒りあわせることによって、エルサレム市民が過ごした日々が浮き彫りにされる。それは、流血事件が続く一方で、努力と活気に満ちた時代でもあった。ウィンストン・チャーチルの公式評伝などで著名な歴史学者による、臨場感あふれる名著。 解説 石田友雄
  • 第1章 眠りから覚めた古代都市 一九〇〇―一九〇九年
    ゲットーよりも薄汚れた〝聖都?/「ユダヤ国家」のヴィジョンと現実/『内側から見たエルサレム』/「青年トルコ人」革命の余波/異国情緒に彩られた町 
    第2章 抗争のはじまり 一九一〇―一九一四年
    エルサレムの再建は近い?/ユダヤ人大学構想と使用言語論争/ 熱狂的なロシア人巡礼団/「シオニストにやられる前に」 
    第3章 第一次世界大戦 一九一四―一九一七年
    英国の策動とトルコの反発/「来年こそはエルサレムで」/オスマン帝国の退場 
    第4章 英国軍による征服 一九一七年一二月
    白旗を掲げたエルサレム市民/アレンビー将軍、聖都へ無血入場/シオニストと正統派ユダヤ教徒の対立 
    第5章 英国の軍政統治 一九一八―一九一九年
    建設熱心な征服者/シオニスト委員会の多難な船出/バルフォア宣言の行方 
    第6章 不協和音のなかで 一九二〇―一九二一年
    自衛団「ハガナー」誕生/英首相ロイド・ジョージの固執/植民地相チャーチルのエルサレム訪問/過激派ムフティの登場 
    第7章 英国委任統治、最初の六年 一九二二―一九二九年
    ニュータウン建設/デ・ハーン謀殺事件/ヘブライ大学とキブツの開設 
    第8章 一九二九年の暴動
    アラブ人の襲撃/暴力行為の正当化とユダヤ人ボイコット 
    第9章 全体主義の影 一九三〇―一九三六年
    共産主義の洗礼/ムフティの反ユダヤ・プロパガンダ/ヒトラー政権成立によるドイツ系ユダヤ人移民の急増
    第10章 一九三六年の暴動とその余波
    「アラブ人は聖地の"ユダヤ化″には同意しない」/ランボールド卿の「異人種」発言/ピール委員会のパレスチナ分割案/ムフティ、ナチスと結託/「英国の二心ある裏切り」 
    第11章 第二次世界大戦 一九三九―一九四五年
    駆け込み寺エルサレム/戦争は終わったが…… 
    第12章 騒乱の町 一九四五―一九四七年
    「フィッツジェラルド計画」の挫折/キング・デーヴィッド・ホテル爆破事件/国連、パレスチナ分割決議案採択/アラブ人の「分割反対闘争」/狙撃、刺殺、投石の日常化 
    第13章 断末魔の英国委任統治 一九四八年一月―五月
    戦場と化した聖都エルサレムを棄てる人々/デイル・ヤシンの殺戮/アラブ人村の破壊/狙われたハダサ護送隊/「すべてがあまりにもひどい」 
    第14章 二週間戦争 一九四八年五月一四日―二九日
    こっそり逃げ出した委任統治政府/戦火のなかの独立宣言/アラブ軍団のエルサレム侵攻/ハガナー奮戦/「棒きれでだっておまえらに勝てた」/「ビルマ・ロード」の建設 
    第15章 再生への道のり 一九四八年六月―一九四九年一二月
    つかのまの平和/国連調停官ベルナドットの暗殺/銃声のなかでのコンサート/エルサレムかテルアヴィヴか 
    第16章 二都物語 一九五〇―一九六七年
    ヨルダン人とパレスチナ・アラブ人の反目/アブドゥラ国王の暗殺/近くて遠い旧市街/分断された都市/「ヤド・ヴァシェム」の建設/アイヒマン裁判/名物市長テディ・コレックの改革 
    第17章 六日戦争 一九六七年六月
    世界中に流されたナセル大統領の電話/「われわれは兄弟だ、われわれは兄弟だ」/「嘆きの壁」で号泣するイスラエル兵/高揚ムードあふれる統一エルサレム 
    第18章 再統合、最初の二年 一九六七―一九六九年
    爆破された東西の壁/実効なき国連決議/「われわれは蟻のようにここにいます」 
    第19章 調和を求めて 一九七〇―一九八〇年
    聖都の景観論争/「贖罪日」戦争/サダト大統領のイスラエル訪問 
    第20章 合併からインティファーダまで 一九八〇―一九八九年
    「エルサレムのゆゆしき愚行」/「私はエルサレムのアラブ人でなくてよかった」/「インティファーダ」勃発「最後に石に当たるとは」
    第21章 エルサレムにはたくさんの顔がある
    「アッラーフ・アクバル!」/エドワード・サイード教授のエルサレム帰還/パレスチナ暫定自治「原則宣言」調印/イスラーム教徒にとっての民主主義/ラビン首相暗殺
    解説 ユダヤ人とエルサレム―離散した民族の心を結ぶ永遠の都  石田友雄 
    訳者あとがき 
    文庫版のための訳者あとがき 新しい世代がエルサレムの未来に向けてできること
    エルサレム略年史/文献目録/人名索引

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